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【必読!!】DXの本質を理解しているか? 情シス部員が知っておくべきDXの定義と事例


昨今、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が頻繁に使われています。しかし、DXの定義を正しく理解していないと、単なるアナログ作業のデジタル化で終わってしまう危険性があり、実際にそうなっているプロジェクトもあるんではないでしょうか。これは、DXの定義を確認していないのに目標設定をしてしまうため、時には大きくなり過ぎてしまったり、時には小さくなり過ぎてしまう事があるのではないでしょうか。
私は2024年4月からDXに関わるにあたって、今一度その定義を確認し、ビジネスとしてのゴールを設定するために、この記事で、一緒にDXについて勉強し直しましょう。

堅苦しくないバージョンで読みたい方は以下リンクに進んでください。



DXの構造(経済産業省「DXレポート2 中間取りまとめ」より)

デジタル化(デジタイゼーション)とは

デジタル化とは、アナログ情報をデジタル情報に変換することを指します。金融業界では、紙の書類を電子化することなどが該当します。ただし、デジタル化はDXの第一歩ではありますが、それ自体がDXというわけではないので誤用する事がないように注意が必要です。

デジタル化は、業務のデジタル化を進める上で重要な役割を果たしますが、単にアナログ情報をデジタル形式に変換するだけでは、業務プロセスや事業モデルを根本的に変革することにはつながりません。

DXを実現するためには、デジタル化された情報を活用し、業務プロセスの効率化や新たな価値創造につなげていく必要があります。デジタル化は、DXの基盤または第一歩となる重要な要素ではありますが、それだけでDXが実現するわけではない点に気を付けなければなりません。

デジタライゼーションとは

 デジタライゼーションは、デジタル技術を活用して業務プロセスを効率化することを指します。金融業界では、オンラインバンキングの導入や、AIを活用した与信審査の自動化などが該当します。

ただし、ここでもデジタライゼーションとDXが異なる点に注意してください。デジタライゼーションは、既存の業務プロセスをデジタル技術で効率化することを目的としていますが、DXは事業モデルやビジネスプロセスを根本から変革することを目指しています。

例えば、オンラインバンキングを導入することはデジタライゼーションの一環ですが、それだけでは銀行の事業モデルを抜本的に変えることにはなりません。一方で、アリババが提供するようなデジタル技術を活用した新しい金融サービスは、まさにDXの好例と言えます。事業の変革が実現できているのかどうかの確認が必要です。

したがって、デジタライゼーションはDXを実現する上で重要なステップではありますが、それだけでDXが実現するわけではありません。真のDXを目指すためには、デジタライゼーションにとどまらず、事業モデルやビジネスプロセスを根本から見直すことが不可欠です。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、単にデジタル技術を導入するだけではなく、企業の事業モデルやビジネスプロセスを根本から変革することを意味します。変革することです。大事なので2回言いました。
DXを実現するためには、業務プロセスの抜本的な見直しと変革が必要不可欠です。
あなたが今進めているDXプロジェクトは変革を伴っていますか?

従来の業務プロセスをデジタル化するだけでは、真のDXを実現することはできません。DXには、既存の業務プロセスを見直し、デジタル技術を活用して新たな価値を創出することが求められます。これには、組織構造や企業文化の変革も含まれます。

DXを成功させるためには、トップマネジメントのリーダーシップとビジョンが欠かせません。DXは一部の部門だけで実現できるものではなく、組織全体で取り組む必要があります。また、従業員のデジタルスキルの向上と意識改革も重要です。
自分たちで考えることが非常に重要です。

以下に、金融業界を中心にDXの事例を紹介します。これらの事例からも、DXには業務プロセスの抜本的な変革が必要であることがわかります。

Amazonの事例

Amazonは、オンライン書店からスタートし、今や世界最大級のEコマース企業に成長しました。同社は、顧客データを活用した商品レコメンデーションや、倉庫内の自動化による迅速な配送など、デジタル技術を駆使して事業モデルを変革してきました。

さらに、Amazonは自社のITインフラを外部に開放するクラウドコンピューティングサービス「Amazon Web Services(AWS)」を立ち上げ、クラウド業界をリードしています。AWSは、スタートアップから大企業まで幅広い企業のデジタルトランスフォーメーションを支援しており、Amazonの新たな収益源となるまでに大きく成長しました。

また、Amazonは「Amazon Go」と呼ばれる無人店舗を展開するなど、リアル店舗におけるDXにも取り組んでいます。Amazon Goでは、AI・センサー技術を活用した「Just Walk Out」技術により、レジを通さずに商品を購入することが可能です。

このように、Amazonは、Eコマースだけでなく、クラウドやリアル店舗など、様々な分野でデジタル技術を活用し、事業モデルを進化させ続けています。

マネーフォワードの事例


マネーフォワードは、クラウド型の家計簿・財務管理サービスを提供するフィンテック企業です。同社は、人工知能(AI)や機械学習を活用し、ユーザーの金融データを自動的に分析・可視化することで、個人や中小企業の財務管理を支援しています。

加えて、マネーフォワードは、オープンAPIを活用した他社サービスとの連携を積極的に進めており、企業の財務データを起点としたデータ駆動型の経営を支援しています。

マネーフォワードの事例は、デジタル技術を活用して、個人や中小企業の財務管理という従来アナログで行われていた業務を変革し、新たな価値を提供している点で日本におけるDXの好例と言えます。

住友生命のVitality(バイタリティ)

南アフリカの金融サービスグループ、ディスカバリー社と提携し、健康増進型保険「Vitality」を日本で展開しています。Vitalityは、加入者の健康活動をデジタル技術で計測・管理し、その実績に応じてポイントを付与するプログラムです。

加入者は、専用アプリを通じて日々の運動量や食事、睡眠などの健康データを記録し、それに基づいてポイントを獲得できます。獲得したポイントは、保険料の割引や提携先での特典に交換することが可能です。

この事例は、デジタル技術を活用して、従来の保険事故が発生した際に保険金を支払う保険ビジネスに健康増進というエンゲージメントを組み込んだ点が画期的です。加入者の健康増進を促すことで、将来の保険金支払いリスクを低減し、同時に加入者の満足度を高めるという、保険会社と加入者の双方にメリットのあるビジネスモデルを実現しています。

アリババ

アリババによる金融DXの事例 中国のEコマース大手であるアリババグループは、金融分野でもDXを推進しています。同社は、独自の信用スコアリングシステム「芝麻信用」を開発し、これを活用したオンライン融資サービス「アント・フィナンシャル」を提供しています。従来の金融機関では融資を受けられなかった層にもデジタル技術を活用して金融サービスを提供することで、金融サービスの提供を促進しました。

DXは、デジタル技術を活用して競争力を高めるための重要な取り組みですが、それには業務プロセスの抜本的な変革が必要不可欠です。単なるデジタル化やデジタライゼーションにとどまらず、事業モデルやビジネスプロセスを根本から見直すことが、真のDXを実現するためのカギとなります。

DXの要素

DXを成功させるためには、いくつかの重要な要素があります。
まず、顧客中心のビジネスモデルへの転換が必要です。デジタル時代において、顧客のニーズや行動は常に変化しています。企業は、顧客データを収集・分析し、個々の顧客に最適化された製品やサービスを提供することが求められます。この顧客中心のビジネスモデルを考えるのは、普段業務に携わっている私たち自身でなければなりません。
コンサルティング会社や外部ベンダーに丸投げしてしまうのではなく、自分たちの頭で汗をかきながら真剣に考える必要があります。これは、DXを成功させるために非常に重要な点です。

次に、データ活用による意思決定の重要性が挙げられます。DXにおいては、データがビジネスの中心的な資産となります。企業は、様々なソースから収集したデータを統合・分析し、それに基づいて迅速かつ的確な意思決定を行う必要があります。
DXの検討に時間がかかるようであれば、先に活用すべきデータの取得から進めてもいいかもしれません。

また、DXを推進するためには、組織文化の変革が不可欠です。従来の縦割り組織や硬直的な意思決定プロセスでは、DXの実現は困難です。柔軟でアジャイルな組織文化を醸成し、イノベーションを促進することが重要です。

最後に、テクノロジーの活用が挙げられます。クラウド、ビッグデータ、AI、IoTなどのデジタル技術を効果的に活用することで、業務プロセスの効率化や新たな価値創造が可能となります。ただし、テクノロジーはあくまでも手段であり、ビジネス戦略に基づいて適切に選択・導入する必要があります。

これらの要素を踏まえ、組織全体でDXに取り組むことが、DXの成功には不可欠です。特に、顧客中心のビジネスモデルを考えることは、私たち自身が真剣に取り組まなければならない課題です。繰り返しますが、DXはコンサルティング会社や外部ベンダーに丸投げできるものではありません。自分たちの頭で考え、汗をかきながら進めていくことが重要です。

DXの課題

DXを進める上では、いくつかの課題があります。
まず、レガシーシステムの存在が挙げられます。多くの企業では、長年にわたって構築されてきた基幹システムが存在しており、これらのシステムをDXに対応させることは容易ではありません。レガシーシステムの刷新や連携には、多くの時間と費用が必要となりますが、そのために思考までレガシーになってしまう事が多いことも大きな課題です。


そこで、人材育成とスキル不足の問題があります。
DXを推進するためには、顧客中心のビジネスモデルを考えられかつデジタル技術に精通した人材が不可欠ですが、そのような人材は大変不足しています。
企業は、社内での人材育成や外部からの人材獲得に努める必要がありますが、獲得できたとしても長い間培ってきたビジネスモデルへの理解が不十分な場合もあり、新たな課題も出てきています。

また、セキュリティとプライバシーへの対応も重要な課題です。DXの進展に伴い、サイバー攻撃のリスクが高まっており、堅牢なセキュリティ対策や人材が求められています。
同時に、顧客データの適切な取り扱いや、プライバシー保護にも留意が必要です。
さらに、組織の抵抗と変革マネジメントの難しさも課題として挙げられます。DXは、従来のビジネスモデルや業務プロセスを大きく変えるものであり、組織内の抵抗が生じることが多々あります。
トップマネジメントのリーダーシップの下、丁寧な変革マネジメントを行うことが求められています。
これらの課題に適切に対処していくことが、DXの成功には欠かせませんので、高いハードルであることが分かります。

まとめ

まとめ デジタルトランスフォーメーション(DX)は、単なるデジタル化やデジタライゼーションとは異なり、ビジネスモデルや業務プロセスを抜本的に変革する取り組みです。
DXを実現するためには、業務プロセスの見直しと変革が必要不可欠であり、組織全体で取り組む必要があります。 DXの成功には、顧客中心のビジネスモデル、データ活用による意思決定、組織文化の変革、テクノロジーの活用といった要素が重要です。
同時に、レガシーシステムの存在、人材育成とスキル不足、セキュリティとプライバシー、組織の抵抗と変革マネジメントといった課題にも適切に対処していく必要があります。 情報システム部門の一員として、DXの本質を理解し、ビジネスゴールを明確にしながら、その推進に貢献していくことが求められています。
Amazon、マネーフォワード、アリババ、住友生命などの事例を参考に、金融業界におけるDXの可能性を探っていきましょう。
DXには課題もありますが、デジタル技術を活用して競争力を高めるためには避けては通れない取り組みです。私たち情報システム部門が中心となって、組織全体でDXを推進していくことが重要です。
DXの実現に向けて、一緒に一丸となって取り組んでいきましょう!!

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