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36歳パパ、未経験でフリーランスへ。“妻任せ”から「幸せな家族時間」を育むまでの軌跡

共働きの夫婦が増え、誰もが家庭と仕事の両立で忙しい今。年次が上がるにつれて仕事の責任も増し、家庭の時間との両立に悩む人も多いのではないでしょうか。

今回お話を聞いた、ライター・作家の間宮まさかずさんは、家族とのコミュニケーションの取り方に悩んでいたうちのひとり。

現在は2児のパパとしてお子さんとの時間を大切にしている間宮さんですが、会社員のころは仕事に追われ、家庭のことは見て見ぬふりだったそう。

そんな間宮さんが家族の協力を受けながらフリーランスを目指し、「幸せな家族時間」を育むまでの軌跡を語っていただきました。

家族を大切にしながら新たなキャリアを築きたいと考える方へ、ヒントをお届けします。

《間宮まさかずさんのプロフィール》

1986年生まれ、2児の父、京都在住のライター・作家。同志社大学文学部卒。家族時間を大切にするため、脱サラしてフリーランスになる。最近の趣味は朝抹茶、娘とXGの推し活、息子と銭湯めぐり。
著書/しあわせな家族時間のための「親子の書く習慣」(Kindle新着24部門1位)

家庭のことは見て見ぬふり。妻にすべてを任せていた

―― 間宮さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

間宮さん:

現在はフリーランスのライター・作家として活動していますが、以前は会社員をしていました。前職では電気工事の施工管理を担当していて。在職中に結婚し、子どもが生まれました。

当時は32歳。仕事の責任が増えるにつれて家族の時間が取りにくくなり、家庭と仕事の両立に課題を感じていました。家庭のことは見て見ぬふりで、妻にすべて任せている状態でしたね。

もっと家族との時間を大切にしたい。現状をなんとかしなければ。そう感じて未経験から副業ライターを始め、軌道に乗り出した2023年1月にフリーランスとして独立しました。

現在は、妻が仕事に集中できるように平日の家事は大体、私が担当していて、以前より2人で協力しながら暮らしています。

―― ご家族がいるなかでフリーランスに転身するのは、大きな勇気が必要だったと思います。何がきっかけとなったのでしょうか?

間宮さん:

所属していたコミュニティの存在が、後押しになりました。家庭と仕事の両立に悩んでいたころ、解決策を求めてアンテナを張るなかで、あるオンラインコミュニティを見つけたんです。

そのコミュニティには、経営者やフリーランスなど多様な働き方を実践している人が集まっていて。これまで自分のまわりには会社員しかいなかったのですが、彼らの在り方が身近に感じられたことで、「会社員以外にも働く選択肢があるんだ!」と価値観が大きく変わりました。

―― 新しい価値観に触れたことで、新しい選択肢を知ることができたんですね。

間宮さん:

そうですね。そのコミュニティには、自分のように現状を変えたいと思っているような人が集まっていたので、お互いの挑戦や努力を称え合う文化も励みになり、一歩を踏み出す勇気となりました。悩んでいるときは、アンテナを張りながら行動することも大切ですね。

さらに、自分の心の声にしっかり耳を傾けたのも大きかったと思います。当時、私はよくノートに自分の気持ちを書き出していました。

何度も書くうちに、「家族との時間が取れない今の状況を変えたい!」という自分の強い想いに気づけたんです。さまざまな選択肢を前にして、「時間や場所に捉われないフリーランスなら、家族時間を大切にできるんじゃないか?」と客観的に考えられたことで、腹が決まりました。

何をすべきかわからずに悩んでいると、気持ちも沈みがちです。進むべき道が見えてくると希望が湧き、前向きな気持ちになっていきます。

―― その後、未経験から副業ライターを始められたとのことですが、どのように仕事にしていったのですか?

間宮さん:

noteで記事を発信し始めたことが、最初の一歩です。noteを見た知り合いが声をかけてくれて、それが初めてのお仕事になりました。

自分がやっていることを、まわりに伝えることの大切さを身をもって知りましたね。案件に応募するほかに、「ライターを目指している」「副業でライティングをしている」と積極的に発信して、自分の状況や想いをアピールするようにしていました。

収入が10万円を超えたころ、「さらに執筆に時間を割けば、独立してもやっていけるのでは…?」と微かに確信が持てるようになり、会社を辞めてフリーランスになる決断をしました。もちろん成功の保証はなく、勢いも必要でした。

―― 大胆な選択だったと思いますが、当時奥様にはどのように説明しましたか?

間宮さん:

正直、どのような反応が返ってくるか不安もありました。ただ「自分には見込みがある!」と、自信を持っているかのように伝えたんです(笑)。

すると、妻は「そう言うのなら…」と理解してくれましたね。

ほかにも、理解を得るために普段から行動で示すようにしていました。たとえば、案件の数や実際の収入について、つねに正直に妻へ話すようにしていました。「2年やってうまくいかなければ会社に戻る」という現実的な話もしていましたね。

また妻は、本業と副業を夜遅くまでこなしている私の様子を見て、いつも心配していたんです。フリーランスを目指して努力する姿を近くで見守ってくれていたので、不安はありつつもすぐに理解してくれたのだと思います。

「家族時間」を守るための仕事術と環境作りの工夫

―― フリーランスになったとはいえ、子育てと仕事の両立には工夫が必要だと思います。具体的に取り組んでいることがあれば教えてください。

間宮さん:

まず、家族時間と仕事時間をしっかり分けるようにしました。

フリーランスになりたてのころは、仕事と家庭の時間の境界が曖昧になっていたんです。家族のためにフリーランスになったのに、家で仕事中に子どもから話しかけられるとイライラしてしまって。本末転倒だと気づきました。

今では、子どもたちが起床してから私が息子を保育園へ送るまでと、子どもたちの帰宅後から就寝までは仕事をしないようにしています。

家族の時間を優先的に確保し、早朝や昼間、子どもたちが寝たあとなどの時間を仕事に充てることで、集中して仕事に取り組めるようになりました。

また、「お迎えの時間までには仕事を終わらせる」というデッドラインができたことで、仕事をより効率的に進めることもできています。

最初のころは100%を目指して細かい部分にこだわっていましたが、90点を95点にする時間は無駄なときもあります。自主的に短時間でアウトプットをする練習もしていて、限られた時間でパフォーマンスを出せるようにもしていますね。

間宮さんが主体となって立ち上げた「note100日書く部」。仲間とともに、100日間連続でnoteに記事を投稿する活動を行っています。
時には10分ほどで投稿することもあるのだとか。

―― 仕事時間をうまく調整することで、無理なく仕事をすることができているんですね。

間宮さん:

そうですね。あと、仕事を効率的に進めるためには、環境づくりも大切です。私は一時期、集中できる場所探しにこだわっていました。現在は近所にベストな作業場所を見つけていて、特に忙しいときは夜に駆け込むこともあります。

さらに、仕事の締切日を書いた紙を部屋に貼って、家族に見える形で共有もしていますね。妻は、私が忙しい時期にはよりサポートをしてくれるようになりました。状況を共有することで、以前より協力体制が整ってきています。

小さな一歩がもたらす間宮さんと家族の未来

―― 現在、フリーランスになってから2年が経とうとしていますが、最初のころと比べて仕事内容や生活に変化はありましたか?

間宮さん:

やっぱり最初のころは目の前の仕事をこなすのに必死で。とにかく数をこなして収入を上げていたのですが、自分の単価を上げたり、スクールに通ってできることを増やし、違うジャンルの仕事にチャレンジするなど、試行錯誤しています。

今は、クライアントワーク以外の働き方も検討していて、事業経営も視野に入れるようになりました。

Kindleで「しあわせな家族時間のための『親子の書く習慣』」を出版したり、単身でタイに行ってワーケーションをしたり、コミュニティを立ち上げたりなど、家族時間が増えただけではなく、自分のやりたいこともどんどん拡張していっていて楽しいです。

―― フリーランスになったことで、間宮さんの生き方もどんどんアップデートされているんですね。

間宮さん:

そうですね。自分自身が自由な生き方を体現することで、子どもたちにも多様な選択肢があることを伝えたいです。

会社員だけではなく、フリーランス、ひいては海外で働くことや起業することなども、選択肢の一つとしてフラットに捉えられるようになると、よりよい未来を自分たちで切り拓いていけると思います。

どんな理想も憧れがなければ目指すことはできないので、まずはいろんな選択肢を知ってもらいたいです。

―― 最後に、家庭と仕事の両立に悩む方に向けて、メッセージがあればお願いします。

間宮さん:

まずは小さな一歩でも、踏み出すことが大切だと思います。実際に挑戦してみなければ、結果がどうなるかはわかりません。

私自身、フリーランスになってからも、未経験の案件に対して戸惑うことはあります。でも「やったことがないから無理」と言っていると、成長もできません。

思い切って「やります!」と宣言して取り組み、形にしたとき、「経験でしか得られない学びや成長がある」と実感しました。

今の私なら、子どもが何か挑戦したいと相談してきたとき、「まずはやってみたらいいよ」と自信を持って伝えられます。後戻りしたっていいから、まずは重く考えすぎずにスモールステップで始めてみてください!

・・・

今回のインタビューでは、間宮さんが家族を軸にキャリアを築き、支え合いながら前進する姿がとても印象的でした。

仕事を優先し、家庭をあと回しにしていた会社員時代から、行動を積み重ねて家族のためにフリーランスへ転身した間宮さん。

「幸せな家族時間」をテーマにKindle本を出版したことでも、お子さんとの関係を強みに変えた生き方は、働き方に悩むママやパパに大きな勇気を与えるはずです。

このインタビューが、仕事と家庭の、よりよい未来を目指す方にとって、一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。


〈取材・文=朝川真帆(@)/編集=いしかわゆき(@milkprincess17)

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