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失恋噺〜中1の初恋編〜

 前回に引き続き今回は失恋噺エピソード2中一編である。今回は生まれて初めてガチ恋した話をさせていただく。

 はじめに断っておくが甘いラブストーリーは期待しないでいただきたい。失恋した皆さんの笑顔につながればと思い、恥を忍んで語らせていただく。

 時代は中学一年のころ。今から15年ほど前だ。この時期になると周りで付き合い始める人が出てくる。私の周りにもたくさんいた。今になって思うと子どものお飯事のように思えるが、この前中学時代から付き合ってた知り合いが結婚したと聞き馬鹿にはできないな、と思った。

 さて、そんなカップルが生まれはじめる時期、私も彼女が欲しくて欲しくて仕方がなかった。そして私はある女性に恋をしていた。

 彼女は同じクラスの学級委員長をしていたYさんだ。背が高くスタイルが良く、長い髪がきれいな女性だった。しっかり者のように見えてちょっと抜けたところもありそんなところがかわいかった。好きになったきっかけはもう覚えていないが毎日顔を合わせるうちに胸が熱くなっていったのを今でも覚えている。

 毎日Yさんに会うことが僕の学校生活の一番の楽しみだった。とにかく彼女がいるということが何よりの幸福だった。

 そんな絶賛片思い中の私はYさんに恋をしているという自覚が芽生えるにつれて彼女と話すことが出来なくなっていった。とにかく恥ずかしくて恥ずかしくて仕方がないのだ。お調子者だった私はクラスメイトのほとんどにYさんが好きだとばれた、ということも恥ずかしさに拍車をかけた。前は冗談を言って笑わせるなんてことは平気でできたのに、今や顔を見ることすらできなくなっていた。次第に毎日会話していたのにだんだんと話さない日が増えていった。

 このままではいけない!私はついに告白を決意した。部活が終わった後、Yさんの友人に協力してもらい人通りの少ない場所に連れてきてもらうようにお願いしたのだ。さぁ、あとは告白するだけだ!

 しかしここで事件は起きた、、、

 協力してもらった友人が間違えて校門から丸見えの場所でYさんと待っていたのだ。噂を聞きつけた私の部活の仲間、先輩、クラスメイト、知らない人などなどとにかく大量の野次馬に囲まれてしまった。耐えきれなくなったYさんが「話があるなら今度にして!」といい解散となった。

 もはやYさんに好きだということがばれたわけだし、今度こそちゃんと告白するぞ!と興奮していた私だが失恋は突然やってきた。

 Yさんに彼氏ができたのだ。しかも相手は同じクラスの小学校時代から僕の友人で、よくその人の家に遊びに行っていたような仲だった。もちろん彼は僕がYさんのことが好きだということは知っていた。その事実を知った時訳が分からず家に帰り一人泣いた。あぁ失恋とはこんなに辛いのか。今でも胸が苦しくなる。

 どうやら二人は前々からいい感じの雰囲気があったようだ。僕がYさんに告白しようとしていることを聞き、彼は居ても立っても居られずYさんに告白したそうだ。

 言っておくが私は彼を恨んではいない。それははっきりと言える。Yさんがもし僕が好きだったら彼を振っているはずだし、彼は彼で僕のことを考えて悩んでいたと思う。結局、僕さえいなければ彼らはもっと早くに結ばれていたのだ。何とも情けない一人芝居であった。勝手に惚れて勝手に盛り上がって勝手に撃沈して、自分が情けなくなりまた、涙が込み上げてきた。

 何が辛いって、彼らと同じクラスいるんだから嫌でも二人の姿を見なくてはならない。満面の笑みで彼に話しかけるYさんを毎日見る。Yさんが彼とどこそこにデートに行ったという友達との会話も嫌でも聞こえてくる。嫌だったなぁ。

 でも、やっぱり私はYさんが好きだった。中学校生活はまだ長いし、後々チャンスがめぐって来るかもしれない。私は諦めていなかった。

 しかし物語は意外な展開で終息を迎える。

 Yさんが転校したのだ。

 家庭の事情で中学二年生から別の学校に通うことになったそうだ。はじめてそれを知った時衝撃だった。信じられなかった。

 中学一年生最後の日。女友達に囲まれ涙を流している彼女を僕は眺めていた。結局話しかけることはできなかった。それが僕が彼女を見た最後であった。いったい今どこで何をしているのだろうか。

 まったく、情けない話である。


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