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summer situation 〜不思議なこともあるのも生活〜


 このあいだ、STUTS(日本のトラックメイカー)が武道館でライブをしていたみたい。
 見に行った友達がストーリーでその様子をあげていて、素直に「あ〜いいなぁ。」って思った。その影響で最近、彼の携わった楽曲を聞き直している。


 バイト終わりに聞く、「夜を使い果たして」とか「summer situation」とかはド定番だけど外さない。自分の勤務先が渋谷というのもあったり、最近やたらと暑いというのもあって、すごいイイ感じ。こんな自分でもオシャレcity boyになったと錯覚できる。

 しかし、時にそれは逆効果。
 リアルでもっと青春したいとか、夏っぽい恋愛したいとか、劣等感を刺激されてしまう時もある。うがーっ。



 そんな感じに浮かれたり沈んだり、悶々としながら渋谷の路地を歩いていた日。暗闇のむこうに、ぽわっと浮かび上がるアロハシャツを見つけた。

 「妖怪っ!?」と驚くぼく。

 しかし目をよくこらしてみると、禿みたいな髪型。細野晴臣みたいな髭面。だんだんと詳細が見えてきた。

 っていうか、見覚えあるなぁ…。ってよくよく考えてみたらよく知る大学の先輩だった。例の60sロックの先輩。
 「奇遇だなぁ!」と彼。
 「あんた目立ち過ぎでしょう」とぼく。


 

 そこから一緒に坂道を下って喫煙所で一服することにした。(彼らはタバコを巻くとこから始めるほどの愛煙家。)

 彼がなかなか格好良くタバコを吸っている横で、僕は渋谷の街を眺めていた。全く日付ももうじき変わるという時間なのに、相変わらず賑やかである。騒がしさといい、交通量といい……。というか、不思議なこともあるもんだな。こんなところで先輩に出会うなんて。
 と恥ずかしいくらいに一人ごちしていた。ちょっと疲れていたんだ。

 そんな感じに初めて都会にきた観光客よろしく、高層ビル付きの電子広告に目を奪われていると、喫煙所のパーテンションをガンガンと叩く人がいた。
 


 誰だろう、とそちらを見た瞬間に思わず絶句してしまった。
 また別の先輩だったのだ。Aさん。この方はとあるライブハウスで働いていて、色んなところで顔のきくスゴイ人。また色々なことに果敢にチャレンジするバイタリティ溢れる方で、この前まで奄美大島に一人旅をしているはずだった。

 「なんで、こんなところに!」
 「さぁ、たまたまだねぇ。不思議なこともあるのも生活だねぇ。」



 広い渋谷の街、たくさん人だかりの中で2度もいつもの人たちと出会うことなんて、そうそう無いことだろう。パーテションで区切られた中で、煙と笑い声が充満する。その匂いにある種の満足感と青春を感じつつ、不思議なこともあるのも生活、というフレーズが頭の中にリフレインしていた。







 ここであることに気づいた。今までの登場人物、野郎、しかもロン毛髭面野郎しかいない。青春はいいけど、恋愛の萌しは全く見えない………。
 ちすけ、セッ○スしよ!て言ってくれるような女の子なんて居るはずもないし!
 
 男としか出会わないということが、今後の変な暗示にならないといいけど…。


 


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