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遊ぶ勇気

思えば人生で家族以外と、学校行事や所属団体でのイベント以外で旅行に行ったことがない。泊まりで遊んでも日帰りで行けるレベルの距離の場所。知らない土地で思いっきり遊んだことがないのだ。

昔から厳しい親に外出の許可を取ろうとすると勉強は大丈夫なの?と聞かれ、挫けてしまっていた。また門限も早いため、大掛かりな計画がしづらかった。

さて、大学生といえば旅行が大切なものに入る人が多い気がする。私も大学生になったら友達とたくさん旅行をして、充実させるつもりでいた。しかし、実際には一度も旅行に行かなかった。気づけば進路のことに向けて、一度遊ぶことを休憩しなければいけない時期になっていた。

親が厳しいだの、予定立てるのが難しいだの、つべこべ言ってしまうが、旅行に行けなかった原因の根底に遊ぶことへの罪悪感があったのだと思う。私は容量が悪く、今ちゃんと勉強している!と思えたことがないため、親からの勉強は大丈夫なのかという問いかけに対して大丈夫だと答えられたことがない。大学では成績発表が長期休みの終盤にあるため、これでひどい成績だったら親に旅行に行くなどと胸を張って言えないと思い、事前の計画を立てるのが怖かった。全て無駄な悩みだったと思う。どれだけ勉強しても完璧だと思える人は稀だろうし、試験の結果が怖いため、休みの予定を立てるのをやめておこうなどと思っていたら楽しめる長期休みなど一生やってこない。そして成績が出た後から慌てて考える計画性のないグダグダな外出願いで親からの信用を得られるわけがない。このようにして非常にもったいない時間を過ごして大学生活が幕を下ろそうとしている。

一方で私が旅行に行けない最大の理由が遊ぶ勇気の欠如だったため、どこにも宿泊に行かなかったというわけではない。ボランティア関係の宿泊を伴うイベントには進んで参加していた。自分なりの目標がそこにはあったため、むしろ知り合いがいない状態でも飛び込めた。出かけることにハードルがあったわけではないのだ。旅行も財産になる。大学生の感覚で触れたもの全てが人生を豊かにするということにもっと早く気づいてさえいれば、、、

同世代の知人が大学生として平等に与えられた休日を使って旅行に出かけているのをインスタグラムの投稿で楽しそうだなと眺めながら、これから旅行に行くんだという話を聞きながら、一度も旅行に出かけないままになってしまったという事実に悔やんで思わず涙が出た今日を一生忘れないでいたい。限りある時間を大切に。

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