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「レジェンドの系譜」

NHKEテレ「スポーツ×ヒューマン」を観た。車椅子テニスプレイヤー・小田凱人選手を取り上げ、4大大会制覇までの道のりを密着取材によって追いかけたドキュメンタリー。

骨の腫瘍により小学生で歩行が困難となった小田選手。サッカー選手として成功する夢をあきらめ、失意の病室で見つけた目標は車椅子テニスだった。

国枝慎吾選手の雄姿に刺激を受け、自らも車椅子テニスプレイヤーの道を歩みはじめた小田氏。持ち前の運動神経と両親のバックアップもあり早い段階で才能を発揮。母親のいない病室でひとり泣いていた少年はいつしか、コートで多くの観客を沸かせる凛としたプロ選手になっていた。

強みである若さとエネルギーを前面に押し出しつつ、弱点を補うため新たなテクニックを磨く小田氏。挫折と隣り合わせの厳しいトレーニングの先には、つねに国枝慎吾の姿があった。

番組では本人のトレーニングと合わせ、レジェンドである国枝慎吾との関係性も丁寧に掘り下げられていく。国枝自身も若き小田を正統な後継者として認め、持てるかぎりの知識・スキルを惜しみなく授ける。師弟関係とはまた違う、言葉では言い表せない関係性が爽やかで心地良い。国枝の代名詞であったバックハンドを受け継ぐ展開も物語性がある。

幾多の困難と努力の末、小田氏は見事4大大会制覇という栄光を手にする。テニスでの成績もさることながら、10社以上のスポンサー契約という実績もレジェンドプレイヤーと呼ぶにふさわしい。

だが、本当の勝負はここからだ。17歳という若さは伸びしろの証明であるが、反面、不安定な年代でもある。彼が本当の意味でレジェンドの系譜を受け継ぐことができるかどうか。メディアを通してチェックしていきたい。

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