由美子

その瞬間のわたしのぜんぶで感じていることを、みなものひかりのように、ひとつぶのあめのよ…

由美子

その瞬間のわたしのぜんぶで感じていることを、みなものひかりのように、ひとつぶのあめのように、ひとひらのゆきのように、つづっていきたいな、とおもっています。

最近の記事

深い悲しみ

深い深い悲しみが わたしにある 深い深い悲しみが あなたにある そこにふれてしまえば 生きていけないくらいの 深い深い悲しみ ふれないから 笑っていられる 深い悲しみ でもその深い悲しみは いつも きづかないうちに なにかのかたちになって あらわれる その悲しみに ふれたくないから だれかやどこかを 遠ざけたりする    ほんとうにやりたいことが できなかったりする 深い深い悲しみは きっと ひとりではふれられない だから いっしょに ただ 悲しかったねと

    • ゆらゆら

      きもちも からだも 波のように ゆらゆらゆれる 嬉しかったり 悲しかったり 元気だったり しんどかったり 満ちたり ひいたり ゆらゆらゆれる   ゆらゆらゆれながら だんだんと まんなかを知っていく だんだんと わたしを知って きっと ゆるがないなにかが うまれていく

      • 伝えたいこと

        伝えたいことが 伝わらなくて 悲しかった 伝え方を 間違ってしまったと 苦しかった そういうふうに とってほしかったのではないと 悔しかった でも こう返してくれるはずだと 決めつけていたのはわたし おもいどおりでなかったことが 悲しかったのだ その人の観ている世界も わたしの観ている世界も それぞれで 間違いなんかない めのまえでおきた 反応だけに 反応していた でも 伝えたいと思って 伝えたことは きっと なにかの種になって なにかしらのものを 生みだすよう

        • 夜から朝へ

          白い病室の中で 夜眠りについてから 何度も目が覚める 最初は真夜中の深い闇の中 静かなとばり まるでたったひとりの世界のようだ 少し朝方になると まだ暗くても もうすぐ朝だ、と ほっとしたりする 目が覚めるたびに 少しづつ 空気がかわる 色がかわる 音がかわる 気持ちがかわる だんだんと 光がさし 同じ部屋の中が 違う世界のようになる そして 朝が来る あたりまえのような このうつりかわり 夜から朝へ 闇から光へ 朝から夜へ 光から闇へ そのとぎれな

        深い悲しみ

          うつらうつら

          入院中のわたしの いちにちは 水槽の中で 心地よく ぶくぶくと 漂っている魚のようだ 眠ったり 起きたり 食べたり たくさんの人に生かされながら 生きるために生きる とてもシンプルだ うつらうつらとしながら 生きることも 死ぬことも わたしたちがおもうより かぎりなく シンプルなのではないかと 感じている

          うつらうつら

          祈り

          光はいつもふりそそいでいる 愛はいつもふりそそいでいる すべての人の心に 光と愛が 流れ入りますように と祈る ほんの小さなことでも ひとりひとりが 目の前の人と 分けへだち 非難をして 争うことが 大きな戦争へと つながると わたしは思う まずは 目の前の人に 祈りたい すべての人に 光と愛が 流れ入りますようにと

          あたりまえにあること

          あなたが あたりまえに 隣にいること それは あたりまえではないこと あなたが あたりまえに 笑ってくれること それは あたりまえではないこと あたりまえのような あたりまえではないことで 毎日ができている だからわたしは この一瞬を あたりまえとは 思わずに 生きる

          あたりまえにあること

          一輪の花

          彼が送ってくれた牡丹の写真 はっとする一輪の花 どきっとする一輪の花 どくんと心臓が鼓動を打つ みずみずしい雫をまとい これでもかと 幾重にも花びらを踊らせ 燃えたつように この瞬間に咲きほこる 突然の白血病で入院中のわたしは こんなふうに生きようと 心に誓う

          一輪の花

          だれかのための歌

          NHKのど自慢大会がすき わたしと同じように 日々を懸命に生きてる人たちが 大切な仲間と一緒に 入院中のおばあちゃんに 遠くに行くともだちのために それぞれの物語と想いを胸に 自分のきもちにそう歌を 心をこめて 大舞台で歌う その歌声は うまいへたにかかわらず 心にとどく 歌ってすごいな、 と思う だれかがなにかの想いで つくった歌は だれかにだれかのための歌として 歌われていく きっと だれもが 自らの人生を謳っていて そのほんの一瞬を 音として

          だれかのための歌

          沈む

          病室のベッドのうえで いちにち横たわっていると この身の重さの沈みから 深く沈んでいくような 感覚になることがある まるで海の底に 静かに沈んでいくような でもいやな感じじゃない むしろここちよい このまま ゆっくりと 沈んでいきたくなる だけど 海のなかからみるみなもは きらきらしていて だいすきなひとたちの わらい声や はなし声が 聴こえるようだ だから わたしは もうすこし みなもちかくを 漂っていようとおもう

          ここにあること

          いま ここ、にあること いま ここ、にいること について ぼんやりとかんがえていた 世界はひろくて どこにでもいれるはずなのに わたしはいま ここ、にいる いまここ、で すべてのことが おこるべくしておこっていて すべてのことが なるべくしてなっている 病院のベッドの上で やっぱりわたしは そう思う

          ここにあること

          あなたの生まれた日

          きょうは たいせつな あなたの生まれた日 出逢って ともに歩んで いっしょにむかえる6回目の日 誕生日をとくべつに祝う感じがしっくりこないとあなたはいう わたしもおなじ でもこの日に あらためて ほんとうに うまれてきてくれてよかった 死にたいとおもったときも 死ななくて生きてきてくれてよかった 戦いしかしらなかったわたしに ひだまりのような あたたかなやすらぎをくれた 激しい怒りと哀しみに満ちて 身を焦がすように 生きていたわたしを たくさんたくさん 泣かせてく

          あなたの生まれた日

          みえないあまつぶ

          ぽつ ぽつ ぽつ みえない やさしいあまつぶが わたしにふってくるようだ とぎれることなく やさしくふる よこたわる わたしのゆびに わたしのほほに からだぜんぶに ぽつ ぽつ ぽつ と。 そのあまつぶは わたしの からだに すっとはいって わたしになる ひとしずくひとしずくが わたしのことを あいしてくれる ひとたちの わたしをおもうやさしいおもい そのおもいが きょうも こうして わたしを生かす

          みえないあまつぶ

          こたえ

          真夜中に目が覚めた なにかをつづりたいなと おもいながら ぼんやりとしている ものこごろついたころから なぜ生きるのかを 問いつづけ そのこたえをさがすために 生きてきたように思う いま わたしなりに わたしだけの そのこたえが すこしづつ あつまってきているような そんな気がする そうか まるで 冒険をしながら おたからのヒントをあつめていく物語のように しかくい空欄を ひともじひともじ ばらばらにでもうめていくような そういう感じかもしれない そしていつか

          想いの種

          きのうと きょうは 嬉しくて たまらなかった わたしが ずっと ずっと まきつづけた たいせつな人への 想いの種が やっと やっと 実を結んだ とてもながかった

          想いの種

          みずのつぶ

          ふぅ・・・ と息をはく 入院中の白い部屋のなか つらいからだを感じながら 病室の高い窓から 空をみる 今朝の空は 雲が多い その雲が ゆっくりと 部屋のなかに 満ちて しめったあたたかい空気に からだがつつまれていくようだ わたしはいま みずのつぶで満ちている

          みずのつぶ