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うつろいゆく季節

冬の足音が近づいてきた

 猛暑の連続だった夏が終わり、ようやく秋の訪れを感じたと思う間もなく、急に冷え込んできた。先日など、11月に入ったというのに夏日となり、着込んだジャケットを小脇に抱え、汗だくになっていたのがウソのようだ。
 初冠雪も観測され、白く雪化粧した山頂を眺めながら、例年よりもやや遅い冬の訪れを感じていたところだったが、それも季節外れの陽気のため、すっかり元に戻ってしまったようだ。心なしか、山の木々の色づき加減も遅れ気味な気がする。
 今年は麓から見える山腹の万年雪も、何年ぶりかで消え去り、そのことからも猛暑だった夏の日々が偲ばれる。
 気温の変化が激し過ぎて、些か体調を崩し気味ではあるが、重い腰を上げて冬支度を始める。毎年恒例となっている実家の雪囲い作業に手を掛け、ようやく骨組みまでは終わらせた。昨年までだと、母の手も借りていた…というか、下準備などは母の仕事だったのだけど、今年は初夏の頃にケガで入院してしまった。幸いにも順調に回復し、お盆前には無事退院してきたのだけど、無理なことはさせられない。あまり力を使わなくてもいいような作業だけをやってもらうことにした。それにしても下準備から自分がやるとなると、やはり時間も手間もかかる。例年だと二日程度で終わる作業が、一日伸びて三日かかった。その他にも母にやってもらっていた作業が残っているので、それもやらなければならない。やらずに済ませられればいいのだけど、何せ台風並みの季節風が吹き荒れる土地柄だ。おまけに風の吹いてくる方向は見渡す限り田んぼが広がっている。雪囲いを組まないのであれば、簡単に防雪柵が設置できるように支柱を立てるか、地吹雪に耐えられる建物に建て替えるか、冬支度を心配しなくても良い場所に引越すか、いずれかの方法しかないし、そのどれにもコストがかかり過ぎる。このまま積雪も吹雪も無いまま冬が過ぎ去ってくれればいいのだが、そうそう都合の良いことにはなるまい。

腐ったり傷んだりしてきた長木だが、使えるところを騙し騙し使いながら組み上げていく

今年も残りわずか

 昨年の秋から、Webライターとして某YouTubeチャンネルにシナリオを提供してきたのだけど、それも9月初旬の納品を最後に10月からは継続を断った。8月の猛暑の中、朦朧とする意識を振り絞りながらライティングを続けてみたが、ついに力尽きてしまった感じである。いくら元ネタの提示があるとはいえ、8,000字もの字数のストーリーをそう簡単に仕上げられるはずもなく、それでも週に2本ペースで納品したとしても、報酬はスズメの涙ほどしか得られない。コンビニでアルバイトしていた方が、よほど現金収入になる。自分の書いたものを必要としてくれる人がいると思ったからこそ続けてきたのだけど、現れては消えてゆく泡沫なコンテンツの片棒を担いでいたに過ぎず、これ以上自らを消耗しても得られるものは無いと判断した。しかし、弱っていた思考能力の回復には役立ったと思う。
 春先から一念発起して、親類から土地と建物を譲り受け、それを起点に法人を設立し、新たな事業を立ち上げようと足掻いたのだけど、必要な資金の融資が得られず暗礁に乗り上げてしまった。不動産も資産ではあるけれど、それを活用するには現金も必要。バブルの頃ならまだしも、このご時勢、土地だけで融資が得られるはずも無く、その辺りの見通しも甘かったと言わざるを得ない。
 同じ住所で行政書士事務所を平行して開業したものの、資金不足から建物のリノベも進まず、そちらは身一つで案件を受けている状況。実績も無い新米行政書士にそうそう仕事が舞い込むはずも無く、引き受けた貴重な案件をこなしつつ、夏から秋にかけては親戚の農場を手伝って糊口を凌いでいた。まあ、それはそれで貴重な体験だったと思う。
 去る10月半ばに行政書士の新規登録者を対象とした研修会が開催された。年齢もバックグラウンドも全く異なる人たちが一同に集まる機会は、非常に面白いと思った。これまで経験した進学や就職は、ほぼ横並びで同じような年齢だったし、これだけ雑然とした集団なのに「行政書士」という共通点だけで同じスタート地点に立っていることが新鮮に感じた。受講して感じたことは、経験値も知識も圧倒的に不足しているということだ。走りながら学習していく必要があるのだけど、その間の収入の確保に頭を悩ませている。
 当面の現金収入を確保するためと思い、知人や先輩を頼って仕事を紹介してもらおうと思ったのだが、なかなか難しい。ハローワークの求人情報を見ても、フルタイム、パートタイム共に芳しくない。現金収入は喉から手が出るほど欲しいけど、それに傾倒するあまり、せっかく開業に漕ぎつけた行政書士としての知識習得に使うエネルギーが不足しては本末転倒だ。非常に悩ましいところである。
 それにしても、今年も残り2か月を切った。ともかく目の前にあるものを一つずつ片付けていくしかないのだろう。

今年を振り返ってみて

 今年は良きにつけ悪しきにつけ、いろいろなものが変化したと思う。ブレインストーミングのつもりで始めたこのnoteへの投稿にしても、以前ならば書き綴るネタが頭に浮かんできたものだが、最近はめっきり書きたいものが浮かばなくなってしまった。昨年は落ち込んでいたと言いつつ、文章を吐き出す余裕があったのかと思うほどだ。それでも辛うじて精神を保っていられるのは、やはり家族の存在が大きい。特に妻にはいくら感謝しても、し切れないほど支えられている。
 義母の逝去、実母の入院、今まで見て見ぬふりをして過ごしてきた諸々のことが、無視できないほどに膨らんできたような気がする。
 自分自身の終活を含め、ぼちぼち身辺整理を考えなければならないのだろう。


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