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歩き、思う

  最近、歩くことが増えた。歩く時間ができたということもあるし、体を動かしたい欲求もある。何より外の風に当たり、柔らかな陽射しを浴びながら歩くのは気持ちがいい。
  歩いていると気づくことがある。歩かないと気づかないこともある。人の歩みの速さでなければわからないことがある。
  移ろい往く季節の薫り、風の匂い、去り往く夏の草いきれ、深まり往く秋の気配、虫の声。
  ほんの僅かずつ変わり往く日々。変わらないように見えて、同じところにとどまっているものは何もない。
  昨日の景色、昨日の自分。
  今日の景色、今日の自分。
  明日はまた違った景色、違った自分に出会えるのだろう。

夕暮れの水面に映る橋の影

  地方はクルマ社会だ。どこに行くにもクルマで移動することが多い。
  荷物も積めるし、雨に濡れることもない。たしかに便利だ。
  だけども、便利さと引き換えに何かを見落としてはいないか?
  何かを得れば何かを失う。

空に浮かぶ街灯の明かり

  先を急ぐ気持ちは路傍の花を愛でることを忘れる。
  時折、草むらの虫の声に耳を傾け、水面を騒がす魚影を眺める。そんなひとときがかけがえのないもののように感じる今日この頃。

穏やかな川の流れ


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