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ビジョンを定める③~「免疫力を上げる」って?・・・TBSグロウディア組織開発日記#5


「届ける」だけじゃ弱い

2020年の10月、何もないところから考え始め、半年かけてようやくTBSグロウディアのビジョンがまとまりました。最終的にはわかりやすさを優先し、「ザ・ビジョン」にならって「パーパス」「ビジョン」「バリュー」そして「行動規範~グロウディズム」に落とし込みました。
 
パーパスは「どんな会社にしたいか?」というディスカッションの中で社員から多く出たワード「楽しさ」「わくわく感」「感動」などを取り入れ、こんな言葉に定めました。

「楽しさや感動、わくわく感を届け、人々の免疫力を上げる」

「皆の思い」をまとめるだけであれば「楽しさや感動、わくわく感を届ける」だけでいいと思います。「企業の目的」としては十分成立します。

でも、なんかありきたりですよね?ありきたりなものは刺さらないし、浸透しない。世間によくあるビジョンにはない、新しい言葉はないか?こう考えて、自分が選択したオリジナリティ=差別化できる言葉が「免疫力」というワードだったのです。
「届ける」で終わらず、その結果「免疫力を上げる」。これを私達のメッセージとしてさらに強く打ち出しました。

こうしたこだわりは、幼少時から培われた、僕のエンタテインメントに対する思いから来ているような気がします。

人の「尊敬」を笑うな

自分は幼少時より人を楽しませるのが大好きで、それは間違いなく、父親の影響だと思います。

6人兄弟の長男だった父親は、酒を愛し怒ると怖い、ある意味典型的な九州男児でしたが、人付き合いをとても大切にする人で、家の中にはいつも親戚や会社の人がいて、ガヤガヤと宴会が行われておりました。
幼いころから自分はそこに駆り出されては、宴会のダシにされていたようです。それで人前でウケる味をしめたのが、ある意味自分の原点のような気がします。

父親は映画も好きで、よく映画館につれていかれました。すると気づけば小学五年生の分際で「ゴッドファーザー」をひとりで観に行き、コッポラについて語るようなマセた小僧になっていました。
 
高校は田舎の進学校でしたが、忘れられない記憶があります。
二年生の時に、教育実習の大学生がやってきました。なんの授業か忘れましたが、「尊敬する人を紙に書く」という時間がありました。

自分は当時「イグアナ」のマネで鮮烈なデビューを飾り、オールナイトニッポンのトークが泣くくらい面白かった芸人タモリさんと、QUEENの天才ボーカリスト、フレディー・マーキュリーの名前を書いて提出したのですが、それを見た教育実習の先生は、「そういうことじゃない」と言うのです。「彼らは、表面上は華やかだが、果たして内実はどうか」みたいな。

おおきなお世話だろ。人が誰を尊敬しようが勝手だろ。と思いましたが授業は続きます。

で、どういう答えが求められたかというと、「父」とか「母」。まあ、これは分かる。でも、びっくりしたのは、「室生犀星」 って書いた女子がいて、その理由を聞いた教育実習の先生が「こういうことでしょう、ソノダ君」みたいな顔をしたのです。
 
「む、室生犀星がメチャメチャ性格悪かったらどうすんじゃあ。プライベートを知っとんのかあー」とブチ切れ、椅子をぶん投げたりはしませんでしたが、なぜかその時「将来絶対、エンタテインメントで食ってやる」と、固く心に誓ったのでした。
 
その7年後、いろんな偶然も重なってTBSに入社し、人々を楽しませることが生業となります。

免疫力が上がるとき

グロウディアのパーパス、「楽しさや感動、わくわく感を届け、人々の免疫力を上げる」は、皆の思いを「免疫力」という言葉でさらに強化させたものです。

実はこの「免疫力」という言葉は、僕の家族の間でよく使っていた言葉なのです。
 
好きな人や推しと会ってドキドキしたり、映画を見て号泣したり、人気薄の軸馬が最後の直線で大外を強襲してゴール前差し切った時。
そんな時に体温が上がり、疲れが一気に吹き飛んだりした経験は、誰しもあると思います。
折しもコロナ禍だったこともありますが、ちょっとしたことで涙が出るくらい大笑いした時などに、「あー、免疫力上がった〜!」といったような使い方をしていたのです。
 
笑いや涙はストレスを軽減し、免疫力を上げる効果があるといいます。
 
TBSグロウディアがお届けするコンテンツや商品は、単に楽しさや感動を伝えるレベルではない。「免疫力を上げる」くらいのクオリティのものをお届けするのだ。

これが、子供のころからの「人を楽しませたい」という原点から進化した、お客様と社会に対する、私たちの誓いとなったのです。

(つづく)

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