見出し画像

お仕事お休みなら

 まみ先生はよく園長に意見していた。
 「土曜日はお仕事お休みなんだから、登園してもらわないようにしていいんですよね?」
 「今日はお仕事お休みとのことだから、16:00お迎えでお願いしていいんですよね?」

 保育園には保育基本時間というものが規定されている。月曜日から土曜日まで毎日11時間の保育時間を確保することになっており、現行の保育の必要量「保育標準時間」と同じである。それ以上長い保育時間は「延長保育」となる。ちなみに「延長保育」も法令に依拠した保育時間であるため、法令に依拠した保育が実施される。法令に依拠しない幼稚園の「お預かり」と根本的に異なる点である。
 ベテランといわれる保育士のなかにはこの制度を学んでいなかったり、保育園の歴史的変遷を理解していなかったりして、保育園は母親の就労支援の場だと思い込んでいる人がいる。
 そして、登園児数が一人でも少ない方がラク、という意識も働く。

 保育園は法改定により乳幼児教育・保育を実施する場となっており、親の事情によらずそれを受ける権利が子どもにある、と考える。つまり、親が働いているか否かといった親の事情によって、子どもが保育を受けることが左右されることはない。

 家庭にいたほうが、その子にとって最善の利益が実現するならば、保育園をお休みすればよい。保育園の方が最善の利益が実現するならば、登園する。実にシンプル。ぜひ、毎日登園してほしい。
 もちろん、保育園は、運営者の個人的な考えや告示にないことをビジョンにしたりせず、告示に規定された適切な保育をしてほしい。そうでなければ家庭の方が子どもの最善の利益を実現できることになり、保育の意義がなくなる。


この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?