ハングオーバー

瞳の明るき乙女より
この間は失禮してね。まだ目のまへにチラつきますの、貴方のお顔が――ほゝゝ。私、ラブ？したんぢやないでせうか。ねえ。若し眞實に戀してゐるのでしたら――貴方は什麼なさる。叶へて下さる。ね？

澪子の手紙

朝 肉体の違和感とともに目覚めて 鏡に向かうと 誰だっけこの人 となった まじおまえだれ マジでおまえだれ
んでなにしてるんだっけ めちゃくちゃじゃない
脳には 留美という女がすきで 澪子という女にすかれていたという記憶だけ残っていた

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昨夜 留美が夢にあらわれるやいなや おれの欠点をみっつ指摘して去っていった
ひとつ アゲていない
ふたつ 集中していない
みっつ 私を十年忘れられないでいる

もう傷ついたり落ち込んだりしなくなったと思っていたけど撃ち抜かれた また弱っちゃった なにしてたんだっけなこの十年 なにか学んでなにか得て ずいぶん成長したもんだと ふしぎと強くなれてたけど 実際なにを学んだ⁇ なにか得たか⁇ 虚栄のヨロイは砕けちった なんのキズもないそぶりで 悲しみに満ちた瞬間をやりすごす

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明け方 澪子が夢にあらわれて 慎重におれの欠点をみっつ指摘した
ひとつ 孤独を愛しすぎる
ふたつ ユーモアがすぎる
みっつ わたしへの愛が足りない

そうだね おれも愛するくらい愛されたいと思っていたことがあるよ いまはもう そういうことが人生のうちにあるとはもう期待していないけれど 本心諦めてないのかもしれない ロマンだね 愛するくらい愛されてみたいよね
願っていていいんじゃないかなあ

さて 座敷の雨戸をしめに行かなければならない これは10年前に住んでいた家だが どうやらもう起きるときがきたらしい しかしそのまえに澪子にキスをしてやりたいという慾望が強く起こっていた どこにもいかないでほしい ひとりにしないでほしい それだけのことが言えないまま もう話している時間はないだろうから わずかな時間にあらわす愛情は実際キスのほかなかった
キスしてもいいか(性的同意)ふたりの間に 夜が忍び込んでくる前に…… おれのキスは甚だ乱暴だった 背丈の差40センチ 立ったまま おいかぶさるように抱きしめてやる 小さい澪子は うっ とうなった キックだ
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