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忘れられない想い出の味「くるみ餅」

母と夕飯時に、録画していた嵐の相葉クンの番組『相葉マナブ』を観ていた時のお話。

番組には、トーストに何をのせて食べたら美味しいか、視聴者からレシピを募集してそれを紹介し、相葉クンたちがNo.1を決めるという「T 1グランプリ(トーストのT)」という企画がある。

その中で「練りくるみ」という調味料をトーストに塗り、さらにその上に砕いたくるみをのせ塩をかけ焼いて食べる、という食べ方が紹介された。

「練りくるみ」というのは岩手のご当地品だそうで、くるみに砂糖、醤油を加えてペースト状にしたものだ。

それを観ていてふと、昔〝くるみ餅〟という美味しい和菓子屋さんのお餅があったのを思い出した。

私「昔よく〝くるみ餅〟食べたよねー」

母「え?」

私「くるみ餅だよ!よく食べたじゃん。覚えてない?」

母「あ〜くるみ餅、はいはい、くるみ餅ね〜」

私「懐かしいねー、美味しかったよね」

私が小さい頃、特に父がまだ病気にかかっていない頃によく、母が買ってきてくれたような記憶がある。

柔らかいお餅にくるみ餡がたっぷり塗ってある…、ではなく、たっぷりのくるみ餡の中に、柔らかい一口大のお餅がいくつも入っている、といった表現が正しいように思う。

その餡もお餅も本当に美味しいのだ。

私の幼少時代の〝幸せの象徴〟と言っても過言ではないくらい、また逆にたくさん食べ過ぎるとバチが当たるのではと思っていたくらい、それほど幼い私にとって〝くるみ餅は〟神聖な『トップオブ和菓子』であった。

結婚を機に地元を離れ、住む先々にその味を探し求めたが、似たような味でさえただの一度も見つけることは出来なかった。

一人暮らしであった母も近くに呼び寄せ、地元に帰ることは無くなり、この先も私が幼少時代を過ごしたその土地に足を踏み入れることはきっと無いであろう。

私「お店の名前なんだっけ?」

母「はぁ〜なんだったかなぁ」

目を閉じると、何となくだが、そのお店の木でできたような大きい立派な看板が頭に蘇った。

その中に確かひらがなでお店の名前が書かれていたような気がするが、店名は思い出せない。

どう頑張ってもふたりとも思い出せなかったので、もうお店は閉まっちゃっているかなぁと、諦め半分でググってみた。
〝〇〇市 くるみ餅〟という風に。

するとなんと真っ先にヒットした!

私「ぽんぽんや!!」

母「ぽんぽんやー!!!」

母は珍しく、最近ではあまり聞かなくなったような大きな嬉しい雄叫びを挙げた。

母「すごいね〜〜!わかるんだぁ」

場所も移転し、店構えも新しくなっていたが、忘れられないあの〝くるみ餅〟は今もなお、お店の名物として地元の方達に愛されて続けているようだった。

調べてみると〝ぽんぽんや〟さんは1933年創業で、88年もの歴史があることを初めて知った。
私が生まれる随分前からある老舗和菓子店だった。

そして見つけたのだ!お店の Instagram を!

そしてそこになんと、私の記憶の片隅にあった木の看板が載っていたのだった!

わかりますか?
この年季の入った看板!

私の記憶は正しかった!
これこれ!幼い私が見ていた看板はこれだった。

新しいお店ではイートインもできるようになっていて、メニューもかなり豊富になっていた。

そしてこれが噂の〝くるみ餅〟!

昔となにも変わっていない!
このビジュアル!

昔はパックにこれでもかっていうほどの餡をぎっしり詰めて売られていて、子供心に『ここの店主はなんて太っ腹なんだろう』と思ったものだ。

お餅と餡を一緒に食べたあとに、残った餡をさらにじっくり堪能するという、二度美味しい贅沢な和菓子だった。

今でもお店があることに感動。
そして今もくるみ餅が作られていることにも感動。

が、しかし。
インスタを見ていて驚くべき事実が発覚する。

どこの新聞なのかは分からないのだが、お店のことが掲載されたようで、その記事をインスタに載せておられ、その中に名物〝くるみ餅〟についてとんでもない事が書かれてあったのだ。

ぽんぽんやの看板商品『くるみ餅』は、懐かしいふるさとの味として地元の人たちに愛されている。
材料は、もち米・砂糖・大豆のみ。
クルミは使わず『大豆餡で餅をくるむ』ということから、くるみ餅と呼び、同店では主力商品として育ててきた。

ーー材料は、もち米・砂糖・大豆のみ…?

「なぬ??クルミの餡じゃないのーー???」

頭にカミナリが落ちたごとく、私は衝撃を受けた。

物心ついた3〜4歳の頃から54歳の現在に至るまで、〝たっぷりのくるみ餡にダイブしているお餅たち〟と、信じて疑うこともなかった。

ーー『大豆餡で餅をくるむ』ということから、くるみ餅と呼ぶ…。

「じゃあ〝くるみ餅〟じゃなく〝くるむ餅〟じゃん!!!」

と大人げない感情を抱いてしまう。

しかもその記事には続きがあり、

さらに、地元にゆかりのあるフリーアナウンサーの川田裕美さんが、出版した本やテレビ番組で〝くるみ餅〟のことを『忘れられない味』と紹介したことから、全国的に知られるようになった。

彼女が〝あんこ好き〟で有名なのはよく知っていた。

しかし地元出身の方だとはこの記事を見て初めて知り、なにより〝くるみ餅〟が全国的に知られていることを私は知らなかったのだった。

しかもしかも〝忘れられない味〟として紹介されたって!?

ーー先を越されていた…。

私の懐かしい思い出の味は、もはやすでに有名人に〝忘れられない味〟として紹介され、全国に知れ渡る商品となっていたのだ…。

なんだか嬉しいような寂しいような悔しいような…複雑な気持ちになってしまった。

ーー食べたい。
ーーくるみ餡食べたい。

呪文のように唱えながら、お取り寄せは出来ないものかと Instagram を読みかえす私であった。




※最後まで読んでいただき有難うございます!
画像は全て〝ぽんぽんや〟さんの Instagram よりお借りしました!
ぽんぽんやさん、応援しています♪

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