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さすがクドカン「俺の家の話」が面白かったという話

TBSテレビのドラマ「俺の家の話」が最終話をむかえた。

(※ネタバレ内容含みます)

脚本は宮藤官九郎。

宮藤官九郎のドラマと言えば、私が一番先に思い出すのは「流星の絆」だ。

「流星の絆」は東野圭吾の推理小説だが、クドカンならではのユーモアがふんだんに散りばめられており、それでいて犯人がいったい誰なのかというサスペンス要素もしっかりあり、毎回見入ってしまう素晴らしいドラマだった。

「俺の家の話」にもユーモアがたっぷり散りばめられていた。

今回はオリジナルストーリーということで、能楽師・人間国宝・プロレスラー・脳梗塞・下半身麻痺・認知症・介護問題・エンディングノート・親子関係・養子問題・離婚・親権・学習障害など…、様々な要素を取り入れているのに、それらが見事に綺麗にまとまっていて、クドカンはやはりすごいなぁと、改めて思えた作品だった。

特に〝親の介護〟という少し重めのテーマを、実にユーモラスにそしてリアルに、西田敏行と長瀬智也が本当の親子のように演じていたのが良かった。

しかし最終話の展開は唐突だった。

まさかの終わり方に誰もがビックリしただろう。

危篤状態になった西田敏行演じる寿三郎が生きのび、健康そのものだった長瀬智也演じる寿一がプロレスの試合中に頭を打って亡くなってしまうのだから…。

しかも寿一が亡くなったことは視聴者には明かさずに、長瀬くんが普通に演じているのだが、それは実は成仏出来ていない亡霊の姿だという展開。

私は『えっ?!』となってわざわざ巻き戻して見直してしまった。

確かに他の演者は寿一と会話をしていない。寿一が一方的に台詞を言っていて、周りにいる人は反応していなかった。なぜなら見えてないのだから。

まんまと狙いどおりの反応をしてしまった私…。

さすがクドカン。
楽しませてくれるじゃないか。

父・寿三郎だけには成仏していない息子・寿一の姿が見えてる訳で、死んでしまったことを受け入れられない父と息子の最後のやりとりが、このドラマのクライマックスであった。

周りの人達はみんな、寿三郎は認知症だから寿一の死を理解できないと思っている。

でもそうじゃない。
我が子だから、大切な我が子だから、寿一の死を受け入れることが出来ないのだ。

『隅田川』という、我が子を探していた母親が途中で子供がすでに亡くなっていたことを知るという悲しいお話の能楽作品を交えながら、ふたりが言葉を交わすシーン。

人間国宝である父親に、昔から一度も褒めてもらったことのなかった寿一は、亡くなって初めて寿三郎に褒めてもらう。

『お前は家の宝だ。お前は家宝だ』と。

そこでやっと寿一は自分の死を受け入れ、成仏することが出来るのだった。

このドラマで能楽の魅力も垣間見た気がする。

特に腹違いの兄弟・寿限無を演じた桐谷健太は、かなり能を練習したのではないだろうか。

最後の寿限無の舞は、私の心を動かすものがあったように映った。

初回からナレーションはずっと長瀬智也演じる寿一なのだが、天国から「俺の家の話」をしていたということだったのだ。

涙と笑いでいっぱいの、とでも良いドラマだったと思う。

やっぱりドラマは楽しい。





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