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ほんの一瞬のささやかな花見をしてきました

昨日息子の家にひとりで遊びに行ってきた。

お嫁ちゃんのご両親がかなり離れた所に住んでおられるのだが、コロナの関係で自粛されており、およそ9ヶ月ぶりに娘たちに会いに来られたということで、私も呼んでいただいた。

今は動画アプリが優秀で、息子夫婦はあまり会えないご両親のためにマメに1歳の孫の写真や動画をアップしているので、どんな風に成長しているのか画面越しに見ることは出来ていたが、やはり直に会うことに勝ることはない。

1歳の頃の9ヶ月という期間は驚くほどの成長を遂げており、ずいぶん色んな言葉を話すようになってきた孫ちゃんの成長を、お父様もお母様もそれはそれは喜ばれていた。

きっと息子にも気を遣っておられるのだろう。
1週間の滞在で帰られるというご両親の想いを、いつでも会える距離でいる私はしっかり受け止めなければと毎回思うのだ。

お母様とは同年代ということもあり、とても気があった。
気さくな方で優しい方だ。
孫との時間よりお母様とお話している時間が長かったように思えるほど、会うたびに色んな話をしている。

息子夫婦は毎回ご両親のために、孫との時間を少しでも有意義に楽しめるよう、出来る範囲内でいくつもの〝おもてなし〟をしているようだ。

そんな大切な時間にお邪魔させてもらえることは本当に嬉しい。

娘のお婿さんのご両親もそうだが、本当にいい方とのご縁に恵まれたと、感謝している。

ご両親・お嫁ちゃんのお兄さん家族・息子家族のためにほんの気持ちばかりの手土産を用意し、電車で向かったのだが、その日のお天気はあいにくの雨。

最寄り駅から15分ほど歩くのだが、途中遊歩道に小さい桜の木が1本だけ植わっていた。

私が今住んでいる場所は街中であるため、ほとんど桜の木を見かけない。

今年初めて満開の桜を見た。

たった1本の小さな桜の木。

小さいながらも花はいっぱい付いていて、『あぁ春なんだ』と改めて思った。

写真を撮りたいが手が塞がっていて諦めた。

楽しいひとときを過ごし、皆んなに見送られ息子宅を後にし、帰りの夕方の遊歩道で、私は少し足を止めそれを眺めた。

雨は行きより強くなっていた。

雨に打たれていても、花たちは力強くそこに居た。

雨に打たれる桜を間近で見るのは初めてだったかも知れない。

それは〝綺麗〟や〝可愛い〟よりも、むしろ〝強さ〟や〝たくましさ〟を感じた。

ほんの一瞬のささやかな雨の中でのひとり花見。

意外と私の心はその花見で満たされ、今年の春を体いっぱい感じることが出来たのだった。




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