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動物園で、思う②

私はテナガザルに会いに来た。


数年前からシロテナガザルの虜である。


近所の動物園にもいると知っていつかは行こうと目星をつけていた。


お目当て発見。
ついでに目の前にベンチも発見。

これは座って永遠に見ていられるぞ。


ベンチに腰掛け、優雅に長い手で綱渡りする彼らを見ていた。


遠くから託児所のご一行と思われる小児達がやってきた。


あまりにも人がおらずしずかだったので、これくらいのガヤはちょうどいいくらいかも。


そう思いながら彼らと目の前のテナガザルを見ていると、


ある男の子が歌いながら駆けていった。


「人間だって動物だ。動物だって人間だ。」



思わず二度見した。

え?それ何かの童謡?


自分で考えたの?


なぜかそのフレーズとメロディが頭から離れず、猿の前で不覚にも猿以外のことを考え始めてしまった。


確かに。人間も動物だよな。
ということは、柵の向こう側にいる立場でもおかしいことではない。


動物も人間?
いや、それはさすがに違うんじゃないか

科、目みたいのあるし。

んんまあ猿は近いしほぼ一緒だけど。



いや、あの子が言っていたのはもしかして間の言葉が省略されているのではないか。語呂が悪くて。

もしかしたら

「動物だって人間  (のようなもの)  だ」

なのではないか。


なるほど、人間のように考え、感情をもつ者であるということか。



ふかい
ふかいぞ少年。


その少年の素晴らしさに気づいた頃もう一度顔を見ようと思い
周りを見ると、もうその子はどこか遠くに行ってしまっていた。


少し奇妙ささえ感じた。

私が今日動物園に来ようと思っていなかったら。

  テナガザルの前でしばらく眺めようと思っていなかったら。


あの歌は聴いていなかったかもしれない。


動物園に癒やしを求めにきた私。

その私に何か語りかけているのではないか。


ああ、もしかしたら人間のエゴがキーワードなのか。


なんだか申し訳ない気持ちになった。人間が楽しむために動物たちが狭苦しい思いをしているのか。


だから今度余裕ができたら動物たちのサポーターとして寄付をしようと思った。


そのポスターも園内でよく目に付いたのだ。
「あなたの好きな動物のサポーターになりませんか?」


うん。間違いない。

今日のこの全ての流れは

動物と人間のエゴについて考える為の時間だったんだ。


ペットをなくそう。動物園をなくそう。

そんなことは私にできたことではない。

じゃあ何だったらできるのか。


いまのこの状況でも動物たちが不便無く暮らせるように

Win-Winな関係をつくること。よいバランスを作ること。


だから私はサポーターになろう。そう思った。


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