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子供のためのルーブル美術館(25)みんなが大好きいちごのゆくえ/ルノワールと今フランスで一番話題の絵

どっちのいちごがき?


とれたてのいちごはっぱつき。
ルノワールは がちょっとついたあかせんのテーブルクロスに
おおきいおさらいっぱいのいちごをきました。

レモンにポットのお砂糖さとう、これでおいしいイチゴジャムもできます。

黄色きいろあおあか
レモンもいちごもやわらかなまるせんかれて
ルノワールのいちごはもう、てるだけでたのしくなります。

さあ今度こんどは、いまフランスで一番話題いちばんわだいきましょう。

300年前ねんまえ、むかしむかしのもりのいちご

かごのいちごは、ピラミッドみたいにじょうずにげられて


なんていいにおいでしょう。
もりのいちごは、ひとつひとつちいさいけれど、とってもあまくてすごくいいかおりがします。
そしてやわらかいからすぐつぶれちゃうのです。ほらカーネーションのしたにも…

ひんやりグラスにうつるしろいカーネーションは、
あかいドレスのいちごのすぐそばに。

300年前ねんまえにシャルダンがいたいちごはルーブル美術館びじゅつかんにあります。


ところがいま、このがフランスの国外こくがいのどこかとおくにられることがわかり、美術館びじゅつかんはみんなから寄付きふあつめて、なんとかもどそうとしているのです。

janvier 2022 ©Agathe Hakoun


来年らいねんもまたここでることができるでしょうか。


そんなことなにらないあかいドレスのもりのいちごは、いまもひっそりと美術館びじゅつかん片隅かたすみにいます。


さあ、いちごの大好だいすきなあなた、
どちらのがおき?


Jean Siméon Chardin
le Panier de fraises 1761
ジャン・シメオン・シャルダン
籠の中の野いちご

野イチゴの籠は、1761年のサロンでルーヴル美術館に展示されたシャルダンの晩年の静物画の中でも最高傑作である。
哲学者ドゥニ・ディドロは、これらの構図の単純さを賞賛し、シャルダンの「魔法」によってまるで現実のように見える幻想を生み出したと述べている。水の入ったグラスによって見事に拡散された光の透明感と、イチゴのピラミッドと優美でさりげなく散らばったカーネーションによって形成された赤と白のハーモニーのまばゆい輝きは、シャルダンの作品の中でも唯一無二のものである。
ルーヴル美術館のピエール・ローゼンバーグ前館長は、「細部を一切排除し、完璧なバランスを実現した構図の単純さと、大胆な手法」を強調した。
*****
現在、ジャン・シメオン・シャルダンの傑作で国宝に指定されているこの詩的な絵画は、国庫に収蔵されなければフランス国外に流出する危機に瀕している。
そのためルーヴル美術館は、この絵画の寄贈を支援するため皆様の寛大なる協力を呼びかけている。

musée du louvre 

PIERRE-AUGUSTE RENOIR
Fraises Vers 1905
ピエール・オーギュスト・ルノワール
いちご 1905    オランジュリー美術館蔵

この時期、健康状態が悪化し座って仕事をすることを余儀なくされたにもかかわらず、ルノワールは常に陽気さに満ちた作品を描いた。この楽しい小さなキャンバスは、苺は非常に忠実に特に丁寧に描かれている。折り目の走る白いテーブルクロスの上に、さまざまな形や質感のオブジェや果物が並べられている。しかし、構図は単調ではない。左下のテーブルクロスの上に置かれたバターナイフと、シュガーボウルから突き出たティースプーンの柄、そしてイチゴの葉が画面に躍動感を与えている。シュガーボウルの丸みを帯びた形は、レモンやフルーツボウルにも共通している。花瓶やコンポート皿のような容器を除いて、ルノワールはポール・セザンヌ(1839-1906)とは異なり、このナイフのような無機物を静物画に登場させることはほとんどなかった。

musée de l’orangerie 

 お読みいただきありがとうございました。
以前の記事でも取り上げた魚「エイ」を描いたフランスを代表する画家シャルダン。現在ルーブル美術館では、このシャルダンの絵の海外流出を食い止めようと企業にも個人にも寄付を呼びかけているところです。
真っ赤な野いちごの山と水の入ったグラス、無造作に置かれた白いカーネーション、なんという組み合わせでしょう。
こんもりと積み上げられたいちごから匂い立つ香りは格別、森の野いちごならではです。この絵でそんな香りも感じてみてください。
そしてルノワールの曇りのない純粋さはどうでしょう。安心して楽しめるいちごも是非どうぞ。




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