子供のためのルーブル美術館(25)みんなが大好きいちごのゆくえ/ルノワールと今フランスで一番話題の絵
どっちのいちごが好き?
とれたてのいちごは葉っぱつき。
ルノワールは 折り目がちょっとついた赤い線のテーブルクロスに
大きいお皿いっぱいのいちごを描きました。
レモンにポットのお砂糖、これでおいしいイチゴジャムもできます。
黄色に青、赤。
レモンもいちごもやわらかな丸い線で描かれて
ルノワールのいちごはもう、見てるだけで楽しくなります。
さあ今度は、今フランスで一番話題の絵を見に行きましょう。
300年前、むかしむかしの森のいちご
かごの野いちごは、ピラミッドみたいにじょうずに積み上げられて
なんていい匂いでしょう。
森のいちごは、ひとつひとつ小さいけれど、とってもあまくてすごくいい香りがします。
そしてやわらかいからすぐ潰れちゃうのです。ほらカーネーションの下にも…
ひんやりグラスにうつる白いカーネーションは、
赤いドレスのいちごのすぐそばに。
300年前にシャルダンが描いたいちごはルーブル美術館にあります。
ところが今、この絵がフランスの国外のどこか遠くに売られることがわかり、美術館はみんなから寄付を集めて、なんとか取り戻そうとしているのです。
来年もまたここで見ることができるでしょうか。
そんなこと何も知らない赤いドレスの森のいちごは、今もひっそりと美術館の片隅にいます。
さあ、いちごの大好きなあなた、
どちらの絵がお好き?
Jean Siméon Chardin
le Panier de fraises 1761
ジャン・シメオン・シャルダン
籠の中の野いちご
PIERRE-AUGUSTE RENOIR
Fraises Vers 1905
ピエール・オーギュスト・ルノワール
いちご 1905 オランジュリー美術館蔵
お読みいただきありがとうございました。
以前の記事でも取り上げた魚「エイ」を描いたフランスを代表する画家シャルダン。現在ルーブル美術館では、このシャルダンの絵の海外流出を食い止めようと企業にも個人にも寄付を呼びかけているところです。
真っ赤な野いちごの山と水の入ったグラス、無造作に置かれた白いカーネーション、なんという組み合わせでしょう。
こんもりと積み上げられたいちごから匂い立つ香りは格別、森の野いちごならではです。この絵でそんな香りも感じてみてください。
そしてルノワールの曇りのない純粋さはどうでしょう。安心して楽しめるいちごも是非どうぞ。
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