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子供のためのオルセー美術館(17)ミレーがどうしても描きたかった絵・ジャックのように

今日きょう羊飼ひつじかいのいた ふたりの画家がかのおはなしです。

ひつじ羊飼ひつじかいは むかし歴史れきしやおはなしによくてきて絵にかれましたが

今目いまめまえにいるほんものの羊飼ひつじかいのく人はいませんでした。

ところがいまから150年前ねんまえ
シャルル・ジャックが 3メートルもあるとても大きなきました。

ひろ草原そうげんにたくさんのひつじがいます
いったいなんびきいるんでしょう、もうかぞえきれないくらい。


たくさんのひつじ一度いちどとおくまであるかせるので 羊飼ひつじかいのおじさんも集中しゅうちゅうしています。


先頭せんとういぬは、いまにもはししそう

ジャックは 羊飼ひつじかいのようすをまるで生きているかのように描いたのです。

このジャックの絵を見た友達ともだちのミレーは 「ぼくもジャックのような羊を描きたい」とつよおもって こんな絵を描きました。


あかいぼうしの羊飼ひつじかいの女の子はうつむいてあみものをしています。

ひつじたちは一心いっしんくさべて

ミレーのいぬは、ひつじがにげないからなんかのんびり


最後さいごに 
この2まいの中にあるおはながどこにあるかつけましょう。

タンポポのわたげが あっちにもこっちにも

そして

ほら、あそこにも


Charles Émile Jacque
dans un paysage Salon de 1861
シャルル・ジャック
羊の群れのある風景 1861 

1861年のサロンで、文人アルフレッド・ネットマンはシャルル・エミール・ジャックの絵を絶賛した。バルビゾンとシャイーの間に広がる大平原の澄んだ光の中で、ジャン=フランソワ・ミレーにも影響を与えたこの画家は、確かなリアリズムの作品を作り上げた。ジャックのように、従来は歴史画に限られていたキャンバスを、フランスの田園風景のために捧げることをためらわなくなった画家もいた。2メートル×3メートルという大きさのこの作品は、従来のジャンル分けを覆そうとする姿勢を示しており、17世紀のオランダの風景画家たちにその起源を見ることができる

Jean-François Millet
Bergère avec son troupeau 1863 Salon de 1864 Exposition Universelle, Paris 1864
ジャン・フランソワ ミレー
羊飼いの少女 1863

1862年の時点で、ミレーは羊の世話をする女羊飼いの絵の構想を練っていた。彼はそのことを誰にも言わなかったが、アルフレッド・サンシエは、このテーマが「彼の心を捉えていた」と伝えている。完成したこの作品は、1864年のサロンに出品され、熱烈な歓迎を受けた。ある人は「精巧な絵」、ある人は「傑作」と評し、農民の哀しみよりも農村の牧歌的な風景を好むすべての人を魅了したのである。

“Adoración de los pastores»,
Murillo (1655-60), Museo del Prado パラド美術館
ムリーリョ
羊飼いの崇拝 1655-60

お読みいただきありがとうございました。
ジャックがサロンで成功を収めた羊飼いの絵の主題に心奪われたミレーもまた、3年後のサロンに出品。するとそれまでミレーに関心を示さなかった人々もこの作品を欲しがったそうです。
羊飼いや羊たちの様子、前景の大地や草花の丁寧な描写、森の木々を抜けてさす陽射しや夕日の美しさも感じていただけると思います。
どちらの絵も赤と青、効いていますね。


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