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子供のためのルーブル美術館(36)つやつや果物の秘密、実は。/ オランダ絵画ミグノンのヴァニタス

どんなきものがいるかな?


こんなところに、たくさんの果物くだもの
ブドウにモモ、サクランボ、メロンにプラム。とうもろこしもあります。どれがき?

あおやオレンジのきれいなとりえますか。
蝶々ちょうちょうもカタツムリもいます。

あれ?でもちょっとって!
よくよくると、トカゲも毛虫けむしもいるみたい。

それになんだか果物くだものも、くさりかけています。

これじゃあべられない。


しげみの中に、
とりがあるのにがつきましたか?
かわいい水色みずいろたまご

ところが、これも一大事いちだいじ! 
たまごねらっている動物どうぶつがいます。

ネズミだ!
ああ、もうカラがれているのもある。


オランダの画家がかミグノンは、はな果物くだもの本物ほんものそっくりにきました。
そして、ぱっとたらきれいな果物くだものなのに、よくよくるとくさっていたり、せっかくのたまごてきおそわわれていたり。
そんなが、いまから350年前ねんまえのオランダ絵画かいがではたくさんかれました。
きものの一生いっしょうは、たのしいこともあるけど、かなしくて残念ざんねんなこともあるよ、というバニタスとばれるです。

あーあ、これも。

部分

ペア、きなんだけど。

だけどミグノンは、もちろん、こんなきれいないています。

かった。ツヤツヤたくさんの果物くだものたまご大丈夫だいじょうぶです。


でも、をつけて!
どこかにネズミがいるかもしれないから……


あっ! あそこ

↖️🐀


Abraham MIGNON
Fleurs, fruits, oiseaux et insectes sur un fond de ruines, avec une souris pénétrant dans un nid, après 1660
アブラハム・ミグノン
廃墟を背景に花、果物、鳥、昆虫、巣に入るネズミ、1660年以降

Abraham MIGNON
Fruits, corbeille, insectes et papillons sur fond de niche en pierre
フルーツ、バスケット、昆虫、蝶、石の台座の背景 (今回は部分)

A bird's nest in a fruit basket
Staatliche Kunstsammlungen Dresden
フルーツバスケットの鳥の巣
ドレスデン美術館

オランダ絵画の黄金期、ほとんどすべての静物画には道徳的な寓意が込められている。
17世紀半ばに始まった人生の空しさ(ヴァニタス)を表現する作品は多く、一見きれいに見える果物がよく見ると既に腐り始めていたり木が枯れていたり、虚無を表すものが描かれた。
ここでは、ゴシック教会の廃墟を背景に、ネズミが卵を襲うが、卵は本来壊れやすいもの。トカゲは死と破壊の兆候でありこの絵にヴァニタスの精神を与えている。左の鳥はカワセミ、右の鳥はジョウビタキである。

musée d’orsay et wikipédia 

お読みいただきありがとうございました。
一見ではわからないちょっと暗いテーマのオランダ絵画をご紹介しました。
解説にあるように17世紀オランダ絵画の静物画には切っても切れないヴァニタス、いつもはちらと見て通り過ぎてしまうようなこんな絵にも、よくよく見ればその不安定さと儚さが、美しく見える果物にもあります。
お子様の心を持つ方にとっては、興味津々、どこにヴァニタスの象徴が描かれているか、きっと目をこらして探されることと思います。
人気ある美しい絵ばかりではありませんね。ここでは色々な絵をご紹介したいと思います。

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