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子供のためのオルセー美術館(41)モネ•働くひとたちのシルエット/ジェルべクスのリアリズム

ここは150年前ねんまえのフランスのセーヌがわ

むこうのほうにえんとつがたくさんえます。
イギリスの産業革命さんぎょうかくめいがフランスにもつたわって、次々つぎつぎ機械きかいつくられたくさんの工場こうじょうができました。
そんな時代じだいをモネはきました。

機械きかいうごかすためには大量たいりょう石炭せきたん必要ひつようでした。

セーヌがわにも ふねいっぱいのまっくろ石炭せきたん
それをりくはこぶ人たちがたくさんはたらいていました。


ふねはこばれてきた石炭せきたんをカゴにれ かたの上にせます。
ジェルベクスが描いたこのにも、むこうのほう工場こうじょうやえんとつがえますね。

ふねりくをつなぐほそいたうえを 川にちないように石炭せきたんはこびます。
ふね石炭せきたんをとりにひとたちは、かごをあたまにかぶってふねかっています。

モネは、いつものように川に反射する光を描きました。
そして工場こうじょう煙突えんとつ太陽たいようらされたはたらく人のシルエットをいたくらいろきました。
鉄橋てっきょうまる曲線きょくせん、そしてふねからのびるたくさんのいたのななめのせん
おおきくひろがっているようにせています。

LES DÉCHARGEURS DE CHARBON
Auteur : Monet Claude 1875
石炭荷揚げ人 1875

モネは、画家のドガや小説家のゾラといった同時代の仲間たちと同じように、現代生活のさまざまな側面を描こうとした。01871年から1878年までアルジャントゥイユに住み頻繁に汽車でパリを訪れ、アスニエール鉄橋でセーヌ川を渡った。手前の橋はアスニエールの道路橋で、灰色の遠くにクリシー橋が見える。
この労働者の光景はモネの作品の中ではめずらしい作品である。
セーヌ川はヨットレースが開催されるような楽しい川ではなく石炭を運ぶはしけの川であり、川岸には木々が茂るのではなく煙突が立ち並ぶ。日曜日に散歩する人たちは、近くの工場に供給するためにはしけの石炭を空にする荷揚げ人に道を譲る。
遠景からの視点は、ありふれた日常の光景の記録として都市の風景に焦点を合わせている。しかし、緑から灰色までの淡い色調が、この光景に落ち着いた雰囲気を与えている。船からの板の上に機械的なリズムを感じるかのように並べられた働く人達のシルエットは、労働者階級の悲哀のイメージでもある。
モネが収集した日本の版画の巨匠、北斎や広重の江戸の風景を彷彿とさせる。

musée d’orsay 

LE COLTINEUR DE CHARBON.
Auteur : Gervex Henri
石炭荷揚げ人 1882

ジェルベクスは、1880年代から非常に人気の高い画家だった。印象派やマネと肩を並べ文学的自然主義の巨匠であるモーパッサンやゾラとも親交がありながら市庁舎の式場の装飾など、公的な依頼を受ける幸運にも恵まれていた。

お読みいただきありがとうございました。
モネの絵としてはいつもと雰囲気の違う作品でした。彩りも緑と灰色、アスニエールの橋のアーチは重々しく、逆光でシルエットだけ見える労働者たちをまるで人形のように配置し、キャンバスを何本もの渡し板の斜線で横切って広がりを表現しました。
浮世絵の影響は深くフランスの美術界の間では議論の余地はないと言われています。

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