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18日目

多様性という言葉が、雑多な電子世界を独り歩きするまでに、そう時間はかからなかった。
同じ人間なのに、違う。その違いをみんなで認めようとする空気感が優しくて、私は馴染めなかった。
席が隣の友達が、本当は人間ではなかった、なんていう結末はこの世界ではなにも珍しいことではないのだ。

生きることも、死ぬこともできないと悟った私は軽かった。(物質的に)

目を閉じてみた。瞼の裏の暗幕が懐かしい。暗い中で目を閉じると、まだ人間になる前だったころのことを意識する。記憶はない。だけど確かに私は0.1ミリの細胞だった。カエルで言うところのたまごのことだ。カエル…カエルになりたい。

アンアン…アンアン…

女の人が泣いている。
泣いてる人の声が聞こえる。

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