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コープこうべに聞く、組合員の声を事業を通してカタチにする、継続的な食品ロス削減活動とは

「てまえどり」「フードドライブ」「食品残さ等の有効活用」などの食品ロス対策に、小売業界のなかでもいち早く取り組んできたコープこうべさん。これらの取り組みの多くが組合員からの声がきっかけとなったもので、実験や検討を重ねながら事業を通して、食品ロス問題に継続的に取り組まれています。
今回は、小売の現場で発生する食品ロスとその対策や、組合員の声に耳を傾け様々なことにチャレンジされている様子を取材しました。

お話をうかがったのは
生活協同組合コープこうべ SDGs推進部 環境推進 担当係長
田畑翔一朗さん

※2023年7月取材。本文中の肩書は取材時のものです。


小売の現場で発生している食品ロスと、その対策


一般的に、小売の現場で発生する食品ロスの約7割が『期限切れ』とされています。当生協でも、『期限切れ』や傷みが進み見た目が悪くなった野菜などは、売り場で手に取ってもらえないことからやむを得ず廃棄しております。
年間の廃棄重量で考えると、野菜など『農産物』の廃棄が一番多いですが、傷んだ部分はカットして、1/2サイズや1/4サイズのカット野菜として販売する工夫をしています。「消費期限切れ」以外では、販売量よりも入荷量が結果的に多くなった時や、陳列時の汚損・破損など、『ヒューマンエラー』による廃棄もあります。

さらに、賞味期限が残っていても内部ルールによって販売できない『管理日数切れ商品』や『宅配で発生する余剰商品』、袋が破れた米や凹んだ缶詰など、『品質に問題はないが販売不可の商品』になるものが一定数発生します。もちろん、これらも店頭で販売できればいいのですが、それができない場合は地域の福祉団体やフードバンク、子ども食堂など、提携団体に寄付しています。

また、まだ日本では『フードドライブ』という言葉が浸透していなかった2010年頃から組合員の要望を受け、『フードドライブ活動』の検討を開始しました。
その後、2017年に神戸市と連携して店舗でフードドライブの社会実験を行い、職員から組合員に『余っている食品を廃棄せず、困っているご家庭に届けられる仕組み』を説明し続け、継続可能と判断。活動が軌道に乗るまで時間を要しましたが、現在93店舗で常時受け付けるまでに発展。

2021年度からは、9月と1月の年2回、期間中はコープこうべの全店舗で食品を受け付けるほか、宅配でも商品配達時に玄関先で受け付ける『フードドライブ集中受付キャンペーン』も実施。2022年度には、組合員からお預かりした食品やコープこうべから発生した食品のうち54.5tの食品を、必要とする方々に提供することができました。現在も組合員の声を参考に、「いつ、どんな食品が食品ロスになってしまうのか」をヒアリングし、イベントや季節に合わせて実施時期も含めて検討・実施を繰り返しています。

フードドライブ活動 店舗での食品の受付のようす(画像提供:コープこうべ)

おかげさまで『フードドライブ』に関する組合員の認知率も上がってきており、自宅に食べきれない食品があると「フードドライブに持っていこう」と自然に思い出していただけるようなサイクルが、少しずつではありますができているように思います。取り組みが数字として見えるようになってくると、私たちも「組合員と、地域の皆さんと一緒に食品ロス対策に取り組んでいるんだ」と、実感します。


組合員からの声を、事業を通して持続可能なカタチにするために


コープこうべの食品ロス対策には、組合員から「地域で何かできないか?」というお話をいただいたことがきっかけでスタートしたものがあります。
『てまえどり』も、実はコープこうべの組合員が2016年に始めた活動です。『すぐに食べるなら、手前から取ってね!』というPOPを生鮮食品の棚に設置したものですが、これも食品ロスに問題意識を持った組合員からの提案がきっかけです。

「2022ユーキャン新語・流行語大賞」ではトップ10入りも果たした(画像提供:コープこうべ)

2018年に神戸市と連携して行ったキャンペーンでは、『賞味期限が迫った豆腐』と『賞味期限にまだ余裕のある豆腐』のどちらが美味しいか、実際に試食してもらう啓発イベントを実施。結果的に「どちらも変わらない」という声が大半を占め、「新しいほうが美味しい」というイメージが払拭されました。メッセージを発信することだけではなく、このように実際に消費者が体感する機会を設けることも大切だと考えています。

店頭での啓発イベントのようす「どちらの豆腐が新しい製造日の豆腐かな?」
(画像提供:コープこうべ)

食品ロス解消のために「なにか一緒にできないか?」と組合員から声が届く、距離が近い組織として認識され、信頼いただいているのは、当生協としてもありがたいことです。ですが、その想いに応えたい、社会をよくしたいという想いだけが先行し、結果的に短期間で終わってしまっては意味がありません。人も社会も、価値観も変わっていく中で、社会に貢献できるように、事業を通してカタチにして継続させ、組合員の想いに応え続けることが私たちの役目です。検証と実験を重ねながら持続的な活動へと育み、組合員と一緒に食品ロス対策を進めていけることは、当生協の強みだと感じています。


食品ロス問題は、SDGsすべての目標につながっている


当生協では、2030年に向けた環境チャレンジ目標『エコチャレ2030』を2018年に策定し、取り組みを推進しています。『事業活動における食品廃棄物を半減!』も、その一つです。

『コープこうべ コミュニケーションレポート2023』より

食品ロスは出ないこと、出さないことが理想的ですが、コープこうべでは、食品ロスになる前の出さない対策から廃棄物となってしまった際の有効活用まで、それぞれのタイミングで食品ロス対策に取り組んでいます。

店舗で発生する食品残さ等は、コープこうべグループの直営農場である環境共生型農園『エコファーム』へ。野菜くずや肉の加工くずなどを原料に「たい肥」をつくり、そのたい肥を使って育てた野菜を宅配や店舗を通じて組合員にお届けし、『資源循環』を実現しています。ほかにも、店舗廃棄量削減、フードバンクなどへの食品提供拡大、食品リサイクル率向上などを重点施策としており、今のところ基準年比83.8%で推捗しています。これらの取り組みを継続してきたことで、店舗での削減率は安定していますが、さらに『てまえどり』や少量の使い切りパックを推奨するほか、組合員の皆さんと知識と意識の共有を図っていきたいと思います。
そのためにも、食品ロスに対する正しい知識を広く、発信することが大切です。

食品残さ等からつくったたい肥を使って、野菜を育てる環境共生型農園『エコファーム』

食品ロスの問題は単体で捉えられがちですが、『SDGs』の17の目標すべてに関わっていると言えます。現在も、世界中の食品ロスにより、約33億トンの温室効果ガスが排出されており、気候変動の原因の一つとなっていることは紛れもない事実。飢餓や貧困の問題とも密接に関わっていますし、もっと身近なことを言えば、食品ロスによるゴミ処理には税金も使われています。

課題解決のために、小売業界でできることはまだあると思いますが、小売業界だけの努力では限界があります。食品ロスを防ぐためになにができるか、出てきてしまったものをどう対策するか。これからも組合員の皆さんと一緒に協力してアイデアを生み出し、継続的に食品ロスの問題に向き合っていきたいと思っています。


執筆:森千春(株式会社ワードワーク)
取材:明石麻穂(ロスをロスするProject
   森千春(株式会社ワードワーク)
撮影:鹿島祐樹(株式会社エンビジョン
イラスト:三橋元子(ロスをロスするProject


※この記事は、2023年9月27日にロスをロスするProjectのWEBサイト「ロスは、きっとロスできる」に公開した記事をnote用に編集したものです。

WEBサイトも続々更新中ですので、ぜひご覧ください!

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