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2015年7月の記事一覧
untitled(掌編)
雨が降っているのに気付かないで、一階フロアを横切ったら、総務課で一人残業していた澤谷くんと目があった。去年まで同じ課で仕事をしていた彼は、同い年だけれど大学時分の留学などが関係して私よりも一期下だ。年が同じと分かるとため口を聞いてくる輩が多い中で、澤谷くんは几帳面に私に敬語を使ってくれる。
「徳田さん、雨降ってますよ」
「そうなの。まあ、車だからすぐだ」
「そうですね。もう帰りですか」
「うん。
雨が降っているのに気付かないで、一階フロアを横切ったら、総務課で一人残業していた澤谷くんと目があった。去年まで同じ課で仕事をしていた彼は、同い年だけれど大学時分の留学などが関係して私よりも一期下だ。年が同じと分かるとため口を聞いてくる輩が多い中で、澤谷くんは几帳面に私に敬語を使ってくれる。
「徳田さん、雨降ってますよ」
「そうなの。まあ、車だからすぐだ」
「そうですね。もう帰りですか」
「うん。