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旧東海道ひとり旅_2【川崎宿】

東海道五十三次 2番目の宿場町は、川崎です。
 
平間寺へいけんじ(通称: 川崎大師)の門前町として栄えた川崎。品川宿と神奈川宿の間が長かったため、1623年、3代将軍 徳川家光によって、正規の宿場として追加制定されました。
ん? 1623年制定? ということは... と思われた、あなた。その通りです。川崎宿は、今年(2023年)、400年を迎えます。

祝☆起立400年!

今回はガイドブック、Googleマップを参考に、
・六郷の渡し跡
・六郷神社
・万年屋跡説明版
・芭蕉ポケットパーク(駐車場)
・芭蕉句碑
...を訪れることにしました。

■六郷の渡し跡

東海道は川崎宿に入る手前で六郷川(多摩川)に行き当たります。
六郷川には、もともと家康が架けた大橋があったのですが、1688年、なんとその橋は流失してしまったのです。
その後は、渡し船 "六郷の渡し" だけの行き来となりました。

六郷の渡し跡にあったもの…
これだけ

せっかく貴重な時間を割いて読んでやってんのに、立札の写真一枚だけとかふざけんなよ! という声が聞こえてくるようです...
と、いうわけでスマホを手に取り、Googleマップを開いて、近場に何か手頃な観光地はないかと調べると、"六郷神社" なるものを見つけたのでした。

■六郷神社

外観
入り口
中身
石碑 その1
石碑 その2
石碑 その3
ピンクの花
狛犬とおみくじツリー

突然ですが、僕はヒエラルキーの頂点に立つのが大好きです。
そこで、おみくじツリーの頂に降臨してやる! と思い立ち、おみくじを引いてみることにしました。

我こそはキング

大満足で終えた六郷神社見学でしたが、なんと、重大なミスを犯してしまったのです。
実は、六郷神社の境内には、"旧六郷橋の親柱" が据えられているのですが... 大吉を引いて舞い上がってしまい、見るのも撮るのもすっかり忘れてしまいました。
...というわけで、お近くにお住まいの方はぜひ実物を、そうでない方はネットで画像検索をして、見てみてくださいね。

さぁ、ばかなことをしていないで、六郷川を渡り、川崎宿へ入ることにしましょう。

六郷橋に辿り着くまでの階段。
アンドレアは上り切れないだろう
六郷橋

帰宅後、アンドレアにこの写真(↑)を見せたら、
「こんな長い橋を歩いて渡るなんて... 一日がかりだっただろうねぇ」と言われた。

ショベルカーかっこいい!
いよいよ川を渡る…
一日がかりではなかったものの、やっと渡り切った。
途中、大きなトラックが通ると橋が揺れてすげぇ怖かった…

帰宅後、アンドレアにこちらの写真(↑)を見せると、目をキラキラさせて、
「た! ま!! ...た!ま!!」と、はしゃぐ。

一方こちら(↑)を見せると、
È troppo lungo長すぎる」と、早々に読むのを諦めた。

昔の六郷橋… かな?
"六郷の渡し" の歴史

■万年屋跡説明版

"万年屋" とは、『東海道中膝栗毛(十返舎一九 著)』および『【パロディ】東海道中膝栗毛(Loris M. 著)』にも出てくる、看板メニューの "奈良茶飯" が有名な茶店です。
奈良茶飯は、もともと奈良の東大寺などで食べられていた僧食で、大豆や野菜を混ぜたご飯をお茶で炊いた、炊き込みご飯。十返舎一九の『東海道中膝栗毛』に登場したことにより、大名も万年屋に立ち寄り食すほどの名物になったのだとか。

インフルエンサーに取り上げられバズった万年屋

■芭蕉ポケットパーク(駐車場)
観光で駐車場なんか見に行くなんて頭おかしいんじゃねぇのか、と言うことなかれ。
旧東海道を、JR・京急川崎駅から八丁畷はっちょうなわて駅へ向かって歩いていく途中にある、この小さな駐車場には、江戸の門人たちが松尾芭蕉に向けて詠んだ餞別の句が紹介されているのです。

kawasaki-jyukuマップ

■芭蕉句碑
芭蕉ポケットパークに背を向け、八丁畷はっちょうなわて駅へ向かって歩くと、駅の手前には、"芭蕉が関東で詠んだ最後の句" が彫りつけられた碑が据えられています。

ん? この写真(↑)、前にも見たことがある... 使いまわしじゃね? と思われた、あなた。その通りです。でもまぁそう言わず、是非もう一度ご覧ください。僕のお気に入りの一枚なのです。

麦の穂を たよりにつかむ 別れかな
『芭蕉の句碑』解説

この連載では、"1記事につき、できる限り1首または1編の短歌かイタリア語の詩を詠む" というルールを設けていますので、芭蕉の俳句の後に
自分の歌の載せるのはちょっとアレですが、ここで一首...

海図のよう 選ぶはずない 恋の歌
伊勢物語 句碑へ導く

字余り...

こいつ、突然なにを言い出すんだ? と思われるかも知れませんが、生きていると、 "人生が変わる瞬間" ってありますよね。
その一瞬のきらめきを掴ませてくださったある方に、感謝と共にこの歌を捧げたいと思います。
...こんな歌いらない、って? 何をおっしゃいます。返品不可ですので、悪しからず。

東海道五十三次 2番目の宿場町、川崎はここまで。
次回は3番目の宿場町、神奈川へ行ってみたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


参考図書
・ビジュアル版 鑑賞ガイド 地形がわかる 東海道五十三次 (大石学[監修]、朝日新聞出版)
・東海道中膝栗毛(上) (十返舎一九[作]・麻生磯次[校注]、岩波文庫)