17世紀の古井戸つき・幽霊パブで乾杯!
中世の頃から続くパブなんて、さほど珍しくないイギリス。昔は宿屋を兼ねて上階が客室、1階がバー&食堂という業態が殆どでした。
まだ2階でB&B(ベッド&ブレックファースト)と呼ばれる民宿を続けている所もありますが、1階のバー部分をメインにパブとして続けているお店が大半。
今回ご案内する「ザ・レッド・ライオン」もその1つです。
古代巨石群に隣接した老舗パブ
このパブが最初に営業ライセンスを取得したのは1802年ですが、宿屋としては400年以上前からあった建物。
とはいえ1000年以上も遡れるパブも幾つかある英国において、特に古いとは言えません。
しかしこのパブには、英国どころか世界でも珍しい特徴が2つあるのです!
その1つは立地で、ストーンヘンジとともに世界遺産に登録されているエーヴベリー古代巨石群の敷地内にあること。
エーヴベリーは村落ごと景観保護団体ナショナルトラストが所有・管理しており、このパブも同チャリティ団体の店子として営業しています。
新石器時代に造られた古代遺跡を歩き回った後、英国ならではのパブでビールやランチを楽しむなんて最高でしょう?
パブの中に17世紀の古井戸、そして幽霊伝説
そして特異な点はもう1つ。それはパブの中に、1600年代からある古井戸が今も残っている事なのです。
その井戸があるのは、古代遺跡を発掘した考古学者アレクサンダー・キーラーの名をとってキーラー・ルームと呼ばれる方の部屋。
これがその井戸。しかも上部に木枠とガラスで作られた天板を据えて、テーブルとして使っているのだから、2度ビックリ!
この井戸が掘られたのは1600年頃で、深さは86フィート(約26メートル)とのこと。
さらに見逃せないのは、'Believed to be the last resting place of at least one unfortunate villager(少なくとも1人の村民が永眠している場所と伝えられている)'の一文です。
その由来も書かれていました。
井戸に関することは、この黒板の左側に書いてあります。要約すると、
「17世紀に内戦から戻った夫が、妻フローリーが別の男性と親密になっている事を知って浮気相手を撃ち、妻を殺して井戸へ落としました。後年この井戸の中を調査したところ、女性の残骸を発見。それは今も井戸の底に眠っています」という内容。
だから彼女の亡霊が出る噂があるのです。また黒板の右側にはそれと別件で、「夜中になるとこのパブに頭部のない馬が曳く馬車が来る」という言い伝えも。
実はこうした古いパブに幽霊伝説があるのは、よくある話でもあります。まぁ何百年も千年も続いていれば、その間に事件だって色々と起きた事でしょう。
地元ビールで鎮魂の乾杯!ランチやお茶もOK
ともあれこのパブには、古代遺跡周辺をウォーキングしに来た時たまーに立ち寄る程度の私たち。
というのもエーヴベリーは村全体がナショナルトラスト所有なので、キーラーも一時期住んでいたマナーハウスや博物館にショップはもちろん、カフェも併設しているからです。
だから大抵は、こちらのカフェでコーヒーを飲むくらい。
でも気分を変えて、時にはこの「ザ・レッド・ライオン」でビールを飲む事も。バーカウンターの隣には年季の入った暖炉があるし、夏は外のテーブルでお茶やランチするのも気持ちいい♪
何を飲もうか迷ったら、カウンターでお勧めの地ビールを試してみて。英国らしい「エール」という種類のビールも沢山ありますよ。
気の毒な最期を遂げたフローリーさんだけど、こうして人々が集う場所だから今は寂しくないよね・・・。どうか安らかに眠っていますように!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?