【随想】I'll be back



身体感覚がおかしい

五感が分裂して繋がらない

複数人でzoomをすると
今、いったいどの人が発話しているのか、
瞬時に把握することができない

声を聞いて、この声はあの人だなと目で探し、
口が動いているのを確認して、
ああやっぱりこの人が話しているんだと確信する

このタイムラグがどうにも気持ち悪い
目と耳が分裂している感じがする

声は空間から分離されて
データとなりイヤホンから耳へと流れてくる

その場にいれば位置情報を伴うはずの何人もの声が
まったく同じ場所から「平等に」流れてきてしまう

これでは本当にその人の声なのか信用ならない
マジックを披露されている時のような気分だ
五感が錯覚させられている

さらに目と耳に置き去りにされた「身体」本体は
zoom内の複数の空間と、自分のいる空間と
両方に気を配らなければいけない

本来であれば一つであった空間情報が
一気に拡張され脳も身体もびっくりである

VRをやったときと同じ感覚
視覚体験の急な拡張に
現実の身体感覚との高低差ありすぎて耳キーンの状態だ

映画が生まれたときも、そんな感じだったのかもしれない
視覚体験だけが拡張されて、人々はびっくりしたわけだから

でも今はなんら平気なわけである
徐々に人間の身体も進化なのか変化なのか、適応しているようだ

そのうち、考えるのをやめるんだと思う
ジョジョの誰かさんのように

今は急な環境の変化に
体験の価値がものすごく高まっている
それは五感がそれぞれ影響しあい
ひとつの身体感覚をつくっているからだ

人々はこの1ヶ月でムキムキかぽっちゃりかボサボサになって帰ってくる

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