「メイドインアビス」アニメ第二期!愛しすぎる!
メイドインアビス アニメ第二期始まる!
つくしあきひと先生の「メイドインアビス」のアニメが再び始まった。
その名も「メイドインアビス 烈日の黄金郷編」
…もう名前がとろけるくらいかっこいい。かっこよすぎる。
数年前に漫画「メイドインアビス」に出会ってから、私は完全に虜になってしまった。
なけなしのお小遣いをはたいてひと月二冊ずつ買い集めていくという強硬作戦を決行。全巻そろうまでファミチキがお預けとなったことは言うまでもない。
そんな犠牲をつゆほども後悔をさせないほど、強烈な中毒性がこの物語にはあるのだ。
しかしネット上にあふれる鼻息の荒いコアなファンたちとは裏腹に、現実世界では私の周りで本作にはまっている人にお目にかかったことはない…。
(かつての私もそうであったが)この作品はそのファンシーな画風から、一見萌え系ファンタジー物語であるかのような印象を与える。
したがってそっち系が好きな人でなければまず手に取ろうとは思わないだろう。これは大きな誤解なのであるが…(Phase 1)
ただ、なんの偶然かこの本を手に取り、パラパラとめくったとしても、そこには本作とのすれ違いを生む第二の罠が待ち構えている。
「あ、これはただのエロ、グロ、ロリ漫画だ!」(Phase 2)
さらに偶然が重なってうっかり表紙カバーをめくってしまい、作者の趣味が存分にちりばめられた隠しイラストを目撃してしまった貴殿は確信することとなるだろう。
「あ、これはハードコアエロ、グロ、ロリ漫画だ!!」(Phase 2.5)
確かにそう感じさせるような空気は終始この作品全体に付きまとう。それは認めよう…。だがこの作品の本質はそこではない。
何はともあれこれら様々なすれ違いを乗り越え、アビスの淵にたどり着いた者にのみ、冒険の門戸は開かれる。
本作の設定のように、この冒険に脚を踏み入れたらもうあとには引けない。
むせ返るような呪いと抗いがたい好奇心に脳は絡みとられ、アビスの深淵へと引きずり込まれていくのみ…。
斯くして私のお小遣いも竹書房へと飲み込まれていったのであった。(Phase 3)
魅力的なキャラクター達
この作品の魅力は何といっても、アビスの深淵に何かを求めて進みゆく探窟家たちのキャラクター。
魑魅魍魎が跋扈し、精神も肉体をも変態させてしまう恐ろしい「呪い」の中を自らの意思で潜り進んでいく彼らが求めるものは、あるいは黄金郷であり、あるいは摩訶不思議な古代文明の遺物であり、あるいは「未知」そのものだったりする。
およそ現実社会であれば、死が確実視されている領域へと自ら足を踏み入れるこのような人種の行動は、無謀、蛮勇と評されることの方が多いだろう。
事実、作中でアビスに挑む探窟家のほとんどが社会からはじき出された者たちだ。
ただ、彼らには社会からの評価など聞こえてはいない。全身を隈なく包み込む呪いと危険に身の毛を逆立てながらも、「見たい」「知りたい」という無邪気な欲求に目を輝かせて奈落の底へと歩を進めていくのみだ。
本作を読むにつれ、私は言葉にできない感情が私の中に蠢くのを感じる。
この感情が何なのか整理したくてこの文章を書いているといっても過言ではない。
この気持ちはなーんーだろう
彼らの「探窟」という行為は、見る側の立場によってさまざまな形容の仕方があろう。
はたから見れば「蛮行」であり、社会から排斥された者たちの「自暴自棄」であり、それを行う彼らは心を病んでいるか、功名心や欲望に心を奪われてしまっている憐れなものたちとして映るはずだ。総じて「愚か」であり、嘲笑や同情の対象である。
では彼らと真逆のベクトルに立ち、彼らをそう評するであろう人々は、「賢い」のか。私の中にある何かが「Yes」と言わせてくれない。
この感情の根元にあるものがなんなのかが私にはまだ言語化できず、非常にもどかしいのだ。
つきなみだが挑戦には価値があり、冒険には感動と魂の高揚がある。
私は縁あって留学やらボランティアやらで先進国から途上国まで様々な国を訪れたことがあるのだが、保険も保証もヒントもない絶望的な環境でこそ開花する特殊な高揚感があることを経験的に知っている。
そこでは全ての選択の結果を自分が100%負わなければならず、案内人も仲間も、その選択を批評するものすらもいない絶対の孤独だ。
だがそれゆえに完全に自由だ。
そこで出会う全ては、誰の準備も介在しない完全なる偶然の産物である。
運と経験と知恵のみでそれらを機能させ、場を乗りきっていかねばならない。
そこで見た景色、味わった挫折、絶望、恐怖、感動、出会った人間、匂い、味、そこから産み出される思想、教訓、判断力すべて、保証なき旅に出たもののみが手にすることができる特権だ。
そこで開花される高揚感も、自分の意志と行動と感情が完全に一致する充足感も、あの旅の孤独の中でしか得られない。
我々は恐らく社会の中で毎日毎秒あまりにも守られ、しがらみ、見られ、縛られ、集中力と自分との対話を奪われ過ぎている。
極限の中で感じたあの自分との一体感を経験してしまうと、すべてが隅々まで「保証」で満ちている現代社会という空間が、時として途轍もなく不自然な環境のように思えるときがある。
自分の権益が全て完全に保証され、自分の権利が滞りなく履行されることを露ほども疑わず、横柄な要求をしてくる人々を毎日のように見ていると、彼らは私が海外で遭遇したどの珍獣よりも珍奇な生き物に見えてくる。
生命活動はそんな「手続き通り」に進むわけがなく、社会活動と言ったってそこで行われていることは結局個々の気まぐれな生命活動の集合であり、経済活動だって全て額面のついた紙のやりとりと口約束だけなのに、それを終始一貫統制された安全で安心で完全で清潔なものと無邪気に勘違いしているから、ストレスや被害者意識を抱えながら毎日を過ごさなければならなくなる。
いよいよ賢さと愚かさの基準がわからなくなる。
結局アビスが大好きだ
そんな現代人の歪な価値観に風穴を与えてくれるのが「メイドインアビス」だと私は思う。
特に黄金郷編は私にとっては、「留まり安全であること」が生きる上での至上の価値とは限らない。「求め、挑み、あがいて進み続ける」という生き方にも美しさに似た揺るぎない説得力があるということを感じさせてくれた熱々な章である。
それを、「成功者」を描くことによってではなく、予想を遥かに越える最悪の展開に抗う術なく朽ち果てていく惨めな「脱落者」たちを描くことによって表現している点が、にくい!!
漫画で何度も何度も読み返してはいるが、やはりアニメからも目が離せない。
絶望のどん底を通して希望を見せてくれたあの冒険者たちが、アニメという表現方法のなかでどのように躍動するのか。今後のエピソードもとっても楽しみだ!
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