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ある地名の風景

竜口の太陽    tatsunokuchi

新年あけましておめでとうございます。
今年はどんな地名に出会えることでしょう。

年明け最初は
辰年にあやかって”竜口”(たつのくち)という地名です。

藤沢市の片瀬に竜口寺という日蓮宗のお寺があります。
日蓮が危うく処刑されそうになった
いわゆる「竜口法難」を記念して創建されたお寺。

「竜口法難」からもわかるように
中世にはこのお寺のあたりが
”竜口”と呼ばれていたことがわかっています。

現在の藤沢市にその地名はないのですが、
鎌倉時代から戦国時代にかけて、
片瀬一帯、あるいは片瀬の一部に”竜口”という地名があったわけです。

また当時、このあたりは鎌倉の西の玄関口にあたり、
竜口寺ができる以前から竜口処刑場がありました。

鎌倉時代には多くの罪人が処刑されたといい、
日蓮もこの処刑場の露と消えるところでした。

ところで”たつのくち”とは何でしょう。

「昔、五頭の竜が江ノ島明神の霊力で退治されて山と化した。
その口にあたるのが”竜口”で、竜口寺の背後の山がそれである」
こんな伝説があります。

伝説は伝説なのですが、
私はここで言う「背後の山」が気になります。

関東から東北にかけて”館”(たて)の付く地名が多くあります。
もともと「低地に臨んだ丘陵の端」を意味したのですが、
この地形が城塞にふさわしかったので
中世には土地の豪族とその周りの民家も含めて
”館集落”という形になったとか。

私はこの”たて”が”たつ”に変わったのでは?と思っています。

お寺の裏山は湘南モノレールが走る大船まで丘陵続き。
境川近くに張り出す丘陵の先端は、まさに”たて”!

口は”端”あるいは境川を境界とした西からの入り口だとして、
”たてのくち”が”たつのくち”に変化し、後に”竜”の字が当てられた・・

どうでしょう?
今年も絶好調(笑)

しかしながら、前回の”十二月田”同様
”竜口”という地名を伝えるのは竜口寺だけのようです。

(藤沢市片瀬)

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