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地域の「人」や「物語」を描き出すチャリティショップ

チャリティショップはイギリス発祥の社会貢献店舗です。不要になったものを寄付し、それを店舗で販売することで得た利益を社会課題の解決のための資金とするものです。現在欧米ではさまざまな団体がチャリティショップを運営していますが、日本を含むアジアではあまり知られていません。


このプロジェクトではポップアップのチャリティショップを都内に出現させ、私たちがこれまで経験してきたコミュニティデザインの手法を使いながら、チャリティショップを作りたいと思っています。

プロジェクトに共感してくれた人たちと対話を繰り返し、地域の特色あるアイテムがその地域の人たちの手で販売される。ときには、アーティストやクリエイターの感性を活かしたショップづくりやアップサイクルワークショップを行い、さまざまな関わり合いと人とのつながりを生みだす。

こうした状況を国内のいたるところで創出できたら、たまたま訪れた地域のチャリティショップではどんなアイテムに出会えるだろう、と想像するだけで気持ちが高鳴ります。

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▲イギリスのチャリティショップ「mary's living & giving shop」
世界100カ国以上でこどもの権利に関する支援活動をする
Save the Children」のイギリス支社が展開している

ロイダッツを運営するstudio-Lは、地域の課題を地域の住む人たちが自分たちの力で乗り越えていくためのお手伝いをしています。私たちは、そのお手伝いを「コミュニティデザイン」と呼んでいます。

具体的には、①情報を集める、②一緒にプロジェクトを進める仲間のことを知る、③信頼関係を構築する、④みんなで解決策を考える、⑤みんなで問題解決に取り組むというステップをその地域の特性に合わせてアレンジしながらプロジェクトを進めていくことが多いです。
(活動ノウハウの詳細は、『アスコム『問題解決ノート』をご覧ください)

これらの手法を、チャリティショッププロジェクトでも活用して進めることができるだろうと考え、昨年2019年は実験的に取り組みました。


STEP①地域を知る

国際芸術祭である東京ビエンナーレのアートプロジェクトとしてチャリティショッププロジェクトが動き出した2019年初旬、「ロイダッツ」の名前が付くか付かないかという頃にフィールドに決まったのが千代田区番町エリアでした。

千代田区では、高層マンションの増加によって人口が急速に増えています。また夜間人口が約6.6万人であるのに対して、昼間人口が85万人にのぼります。生活スタイルや地域とのかかわり方が異なる新しい住民の増加に伴い、千代田区内での人のつながり方、コミュニティのあり方の見直しが求められている状況でもありました。(ちよだコミュニティラボ活動報告参照)

地域の人たちとプロジェクトを進めるうえで、こんなことが実現できるといいなと考えながら取り組むことにしました。
●新旧の住民が入り混じりながら、楽しく社会貢献につながるチャリティショップの運営にかかわってもらうことで、ソーシャルアクションを生み出す
●“地域に暮らす人たちの真ん中にある学校を活用する”ということを考え、地域のこどもたちにもかかわってもらい、社会を変えるお金の使い方を学ぶキャリア教育に活用する
●町内会などと協働して住民参加型のまちづくりのきっかけをつくる


STEP②みんなで考える

日本テレビ通り振興会の協力のもと、2019年11月に番町の庭で社会実験としてポップアップのチャリティショップをオープンすることが決まり、プロジェクトに共感してくれた地域の大学生やボランティアと一緒にワークショップを実施しました。

そのワークショップ第1回では、自分年表を書くワークを行ったり、チャリティショップでやりたいことを話したりすることから始めました。

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▲自分年表・チャリティショップでやりたいことを
みんなとシェアする様子

第2回では「ファッション業界の課題」や「環境問題」、「がん患者の置かれた立場」などについて対話を通じて学び合いました。第3回では具体的にどんなチャリティショップのデザインにするか、どんなふうに発信すると良いか話し合いました。


STEP③みんなで取り組む

これまでのワークショップに参加してくれた大学生と協働し、「環境問題」や「がん」について学べる小中学生を対象とした「こども店長ワークショップ」を実施しました。
(チャリティショップの売上は、がんに影響を受ける全ての人を支援している「特定非営利活動法人マギーズ東京」へ寄付します。)

このワークショップでは、社会を変えるお金の使い方を学ぶキャリア教育を目的として、寄付品の仕分け・値付け・販売を体験できるプログラムを盛り込みました。また、小学生と大学生がペアを組んで円滑なコミュニケーションが生まれるように進めました。

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▲ワークショップで値付けをする様子


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▲こども店長が販売する様子


今後の展望

ロイダッツでは、寄付品の回収、開梱、仕分け、値付け、アップサイクル、陳列、販売という一連のプロセスを、お店に来てくれた方にどんどん見てもらえるような見せ方をしたいと思っています。

どんな人たちが、どんなふうにチャリティショップに関わっているかを見せることこそが、ロイダッツを最も理解できる方法だからです。

その場にいる仲間たちと社会課題について対話を通じて学ぶきっかけをつくるとともに、チャリティショップの運営に関わる人にも、活動を通して学んだことをいろいろ語れるような、そんな機会をロイダッツは提供したいと考えています。


まとめ

▶日本を含むアジアにはチャリシティショップがあまり知られていない
▶コミュニティデザインの手法を用いたチャリティショップである
▶寄付品の回収、開梱、仕分け、値付け、アップサイクル、陳列、販売という一連のプロセスを見てもらえるようなお店の見せ方にしたい
▶対話を通じて「ファッション業界の課題」や「環境問題」、「がん患者の置かれた立場」などについて学び、活動を通して学んだことをいろいろ語ってもらいたい


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