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続・家族

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私が32歳のとき、61歳でガンで亡くなった父の幸せな最後の話。
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記事一覧

0. 父からの電話

 10月末、秋晴れのさわやかな朝のことでした。  その日、私は、東京郊外の自宅で、二人の息…

てつろう
3年前

1. 実家と私

 誕生日から二週間後、沖縄で行われる高校時代の友人の披露宴に出席する予定で、久しぶりに帰…

てつろう
3年前

2. 父の危篤

◆ 「風に吹かれて」  11月に入り、沖縄に帰省する予定の四日前、私はなんとなくボブ・ディラ…

てつろう
3年前

3. 帰省初日

◆ 最初の面会 父の緊急手術が行われた日、私は上の妹モミジから、父が「一週間、水しか飲ん…

てつろう
3年前

4. 実家の片づけ

◆ 朝の散歩 翌朝、私とユウゾーは、小学校に行く姪達と一緒に朝食をとってから、近所に散歩…

てつろう
3年前

5. 父の若いころ

 その日、作文「家族」が手元にないので、父との面会では、父の話を聞こうと思っていました。…

てつろう
3年前
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6. 「家族」の入手

 その日、ユウゾーを連れて、病院からタクシーで高校に向かいました。学校側のご厚意で、図書室のバックナンバーを閲覧させてもらい、高校一年のときに書いた作文「家族」のコピーを入手することができました。  ここに、そうやって入手した作文を載せます。誤字・脱字、誤用が散見され、恥ずかしさもあるのですが、そのまま載せます。 ◆ 作文「家族」(1996) 僕の父は、性格的にはあのアニマルズの「朝日の当たる家」に出てくる親父に似たろくでなしで、酒ばかり飲んでろくに仕事にも行かない。週三日

7. 父と「家族」

◆ 父、「家族」を読む 次の日、ユウゾーと一緒に父の病室を訪れました。  私は、作文「家族…

てつろう
3年前
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8. 父の別居先

◆ 別居先の掃除 翌日は、父が軽い手術をすることになっていたので、その日の面会は控えるこ…

てつろう
3年前
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9. 「本物」の何か

 次の日、父の病室に入ってみると、ベッドに父の姿はありませんでした。廊下に顔を出すと、父…

てつろう
3年前

10. 痛みと上手に付き合う方法

◆ タイ・マッサージ 次の日、病室に入ると、父と同じ年頃のご夫婦が病室に来ていました。お…

てつろう
3年前
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11. 最後の面会

◆ 最後の面会 その翌日は友人の披露宴でした。もうこのときには、実家のテレビの部屋はだい…

てつろう
3年前

12. 父との電話

◆ 昔の日記 東京に戻った私は、帰省前に東京で再会した旧友に「どうしてテツオはあんな作文…

てつろう
3年前
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13. 父の訃報

◆ 訃報の電話 年が明けて、二週間ほどたった日曜日、その日は長男ゲンタの誕生日でした。私達家族は、ゲンタの希望で朝から家族だけで誕生日パーティをしました。  父は毎年、息子達の誕生日の朝には一言お祝いの電話をかけてきました。しかし、その日は電話がありませんでした。私は、父もそろそろ弱ってきたなと薄々感じていました。  ゲンタがプレゼントを開けて、みんなでケーキも食べて、一段落ついた後、妻と息子達は近くの公園へ遊びに出掛けました。  前の晩、少し食べ過ぎて調子を崩していた私は独