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いろんな視点から一つのことを考えるための高校数学。

1から9までの番号札9枚から4枚を同時に引くとき、少なくとも1枚が偶数の番号である確率を求めよ。(数研出版_高等学校数A_p.47応用例題10)


これは、高校数学Aの教科書にある確率の問題だ。

高校数学から離れてしばらく経っている人たちは、これをどうやって解くだろうか。現役の人たちには身に覚えのある問題かもしれない。


考え方としては、

「少なくとも1枚が偶数」という事象は、「偶数が1枚もない」ということであり、すなわち「4枚とも奇数」という事象の余事象を考える。

事象というのは、定めた条件下でおこる事柄のことであり、

余事象というのは、起こる事柄全体からあらかじめ定めていた事象を引いたもののことだ。


この解答は、

9枚の番号札から4枚を同時に引くから、全体の組み合わせは9C4通り。

1〜9までの番号札の中には、1、3、5、7、9の5枚の奇数の札がある。4枚とも奇数を引く場合、奇数5枚の中で4枚を引く組み合わせを考える。5C4通り。

よって4枚とも奇数である確率は、5C4/9C4=5/126(126分の5)。

求めるのは「少なくとも1枚が偶数の番号である確率」であるため、「4枚とも奇数である確率」の余事象だから、1ー5/126=121/126(126分の121)となる。


これは、「少なくとも1枚」を考えるのではなく、「それを除くもの」を考えてそれを全体から引くというやり方で問題を解く。

「少なくとも1枚」を素直に考えるより、全体からそれ以外を引く方が簡単に解けるというわけだ。


大学入試で私には数学3Cまで必要じゃなかったから、高3のときの数学の授業に無気力な時期があった。そのときに、数学の先生(高2の頃に担任だった)に、

「数学はいろんな見方でひとつの問題を考えることを身につけるためにやるんだ」

と言われた。

へぇ〜、なんかいいこというじゃん。

とそのときはふんわり思っていた。


最近、高校数学をやり直していてこの言葉をときおり思い出す。この確率の問題を解いていたときにズキュンときた。

ひとつの問題に解き方はいろいろある。ひとつだけではない。正面から問題を解いてもいいし、いろんな方程式を使って解くのもいい。


でも、いろんな方法で解けることがわかっていなければ解けない。

方程式も知らなければ問題は解けないし、なおかつ、使いこなせなければ方程式を覚えていても宝の持ち腐れになる。


数学をやるということは、ただ数式を解くことだけじゃない。ひとつの課題をいろんな方向から眺めて、今の手持ちの道具でなにが使えるかを考えることだ。

「日常生活に高校数学なんて必要ない」ということは全くないのだ。



いろんな視点から一つのことを考えるための高校数学。


2020年5月5日火曜日。

今日もいい天気だった。原付で出かけて気持ちがよかった。洗濯もたくさん干せた。数学も英語もたくさん問題を解いていい日だった。

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