「覚えてくれてたことがすごく嬉しくって」
昨日、学部時代からおよそ4年続けていたバイトの最後の出勤日だった。
一昨日も出勤していて、一昨日で最後になってしまう社員さんや派遣さんたちにお礼のお菓子や言葉を頂いていた。
バイトをやるときの私のモチベーションが「頼られないこと」「のんきに仕事を完璧にこなすこと」「学業を優先させること」「突然やめることになっても後に問題が起こらないようにすること」がモットーだったから、こんなに社員さんたちからいろいろ声をかけてもらえるとは思っていなかった。
ひとりの社員さんは、私がバイトとして入る前に、バイトさんとしてこの仕事をしていた。彼女は圧倒的安定感と優しさパワフルさ元気さを兼ね備えている美しい人だった。
そんな彼女は結婚し妊娠した。
バイトと社員の間に交流はほとんどない仕事ではあるが、彼女が産休・育休に入る日を目前に同僚や他の社員さんに挨拶をしている姿がありバイトながら、
『あの社員さんは産休と育休をとるんだなぁ』
と思った。彼女は長期のお休みに入った。
それから、人事異動が何度かあった。部長が変わる。新入社員が入ってくる。学部4年生はバイトを卒業する。
メンバーはすっかり変わってしまった。
そんななか、彼女は会社に戻ってきた。
戻ってきた日、ちょうど私がバイトのシフトに入っていた。
「今日からまた頑張りますねー」
とデスクの島を順番に挨拶する彼女に、
『わー!お久しぶりです!お元気そうでよかったです!戻ってこられたんですね!』
と声をかけた(心の声が漏れ出た)。
そうすると、「今日からなんですよー」と微笑む彼女。
たったそれだけのことだった。
昨日その社員さんから両手いっぱいにお菓子と温かい飲み物を頂いた。
「近くのスタバで何か買ってこようかなって思ってたんだけど、大雪で行けなかったからコンビニのお菓子だけどもらって!」
と。
その社員さんは続けて、
「育休明けたとき声かけてくれたでしょ」
と。
「覚えてくれてたことがすごく嬉しくって」
「人も変わって知らない人も多くなって、バイトさんも変わってるタイミングだったからどうなるだろって思ってたけど、あなたは変わらずいてくれて、、、」
と。
何気ない私のひとことが、彼女にとっては大きな安心感をもたらしたようだった。
そんなことを覚えていてくれたことが私は嬉しかった。
覚えてくれてるって嬉しい。
誰かの記憶の中に私が生き続けられているんだなと思える。
いい職場だった。
またいつかどこかでお世話になるかもしれない。いやぜひとも、お世話になりたい。「この人、ここのバイトさんだっただよね」と言われる日が来るように私は精進するつもりだ。
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