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コンサル業から供給が「足りなくなる」物流業へ転身 #02 【ハコベル株式会社代表取締役社長CEO 狭間健志】

ロジ人では物流テック(LogiTech)と分類される業界の著名人、サービスをインタビューしていきます。#02では狭間さんがなぜキャリアチェンジをしたのか、そしてその過程で見えた物流の課題についてお聞きしました。

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< プロフィール >

狭間さんプロフィール写真

▼ ハコベル株式会社代表取締役社長CEO 狭間健志氏
2009年に東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了後、ベイン・アンド・カンパニーに入社。2017年に同社を退職し、同年ラクスル株式会社に入社。執行役員ハコベル事業本部長として5年間職務に携わったのち、分社化に伴い2022年8月、現職に就任した。


キャリアチェンジの理由

ー #01の記事では、ハコベルのソリューションが実現する物流のデジタル化について伺いました。狭間さんが物流業界に携わったきっかけを教えていただけますか。

前職はコンサルティング会社で8年間勤務していましたが、物流業界との関わりは一切ありませんでした。物流業界に関わろうと思った理由は二つあります。

一つ目は、世の中の”負”をダイレクトに解決する、インフラに近い産業で働きたいからです。

二つ目は、将来的に物流は需給がひっ迫する可能性があると感じたからです。オンライン販売の増加によりモノを運ぶ需要が高まる一方で、トラックドライバー数は横ばいで、かつ平均年齢が上がっています。需要に対して供給が「足りなくなる」未来が近づいています。

そのため、システム(IT)を用いて業務の生産性を格段に上げることで、需給のひっ迫を解決する必要があると考えました。
ビジネスとしておもしろく、かつ世の中の役にも立つと感じたことが、物流業界に携わったきっかけです。


ー 前職はコンサルティング業をされていたとのことですが、キャリアチェンジを振り返って、物流事業のおもしろさを教えていただけますか。

まず、事業を運営することのおもしろさは、自分が意思決定をできること、それがダイレクトに跳ね返ってくることですね。

コンサルティング業は究極的には「アドバイザー」なので意思決定はできませんし、事業内容が見えない部分も多くありました。

インタビューの様子1

物流業界の変化するスピード

ー キャリアチェンジをした中で、感じたギャップや印象の変化はありましたか?

コンサルタントと事業を運営する立場とのギャップは、変化するスピードの早さです。物流業界に入ったときは、これほど脚光を浴びる業界だと思っていませんでした。

入社して数ヶ月で、週刊誌も「物流クライシス(危機)※」を取り上げたりして…「変化幅が思ったよりも大きいな」と思いました。

※ 物流クライシス(危機):ECサイトの利用、ネットショッピングの利用拡大などによって急増する宅配荷物量に対して、配送する側である宅配会社の体制が追い付かずにサービス水準の維持が難しくなっている問題

ー ここ最近は変化が著しいですね。

そうですね。コロナ禍で物量が増加する反面、物流に関わる人が不足するという状態が起きています。そうした状況下でも、コンビニやスーパーからモノが消えた、食べ物が届かない、宅配便が到着しないという事態にはなっていません。

物流にかかわるビジネスを始めて改めて、いかに日本の物流が高いレベルであるかを肌で感じました。

一方で、物流のクオリティーの高さの裏側には残業したり、夜中まで働いたりする「人の頑張り」もあります。

それは持続可能な状態ではないですよね。テクノロジーやプロダクトで業務を最適化できる解決策があるのではないかと思っています。いつまでも「人の頑張り」の上でサービスのクオリティーが維持されているのは、よくないですよね。

インタビューの様子2

マンパワーに頼る物流の限界

ー 「人の頑張り」で成立している物流の課題について、どう見ていますか。

物流は、極めてオペレーションのレベルが高い産業だと思います。

特に日本では、モノが届かないということがほとんどない。コロナ禍でも店頭からモノがなくなることはなかったですよね。宅配便も細かい時間指定の中で届きます。

最近では物流が週刊誌を賑わせることもあり、この業界が限界に達していることを身近に感じる人も多いのではないでしょうか。

限界でありながら、残業時間が増加し、ムリをすることで維持されている2024年問題※も課題視されていますが、抜本的な解決策は出てきていません。

今の物流のクオリティーを落とさずに、あるいは上げながら「人海戦術のオペレーティングからの脱却」を行うことが唯一の解決策だと思います。

※ 2024年問題:働き方改革の一環で労働時間の規制などに伴う、物流業界の人手不足を含む諸問題

インタビューの様子3


<取材・編集:ロジ人編集部>


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