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日本政府は「殺人マスク」を配布するつもりなのか?

安倍晋三首相は、4月1日に開催された「第25回新型コロナウイルス感染症対策本部」において、日本郵政の全住所配布システムを活用して「1世帯あたり布製マスク2枚」を配布すると述べた。

しかし、安倍首相は、2月29日に行った緊急記者会見では、「マスクは増産支援を行っており、3月は1月の生産量の2倍を超える月6億枚以上の供給をします」と述べたうえ、「十分な供給が確保できます」と確約している。

まず、3月から4月にかけての東京都内、どこに行っても「紙マスク」が売り切れて品切れになっている現状を、どのように説明するつもりなのだろうか?

ついでに、2月29日の記者会見そのものが「茶番劇」だったことは、すでに次の記事で述べたとおりである。

さて、そもそも「先手先手で必要な対策を実施する」と大口を叩いていた首相の対策の第一歩が「1世帯あたり布製マスク2枚」の郵送というのは、あまりにも「ショボ」すぎるだろう。この信じ難い「愚策」に対して、Twitterでは、「エイプリル・フール」のジョークかと思ったら、事実と知ってさらに驚き呆れた、といったニュアンスのツイートが無数に流れた。

日本全国5700万世帯に郵送するとして、郵便切手82円だけでも46億7400万円が掛かる。布製マスクの本体価格や封筒挿入作業の膨大な人件費を含めて考えると、150億~200億円の税金が使われるわけである。この金額があるならば、なぜ「紙マスク」を量産して市場に回さないのか? あるいは、なぜ不足している最優先医療器具の「人工呼吸器」に回さないのか?

しかも理解できないのは、「1世帯あたり布製マスク2枚」というセンスである。私の場合、夫婦に子供2人の合計4人世帯だが、「布製」だから洗って使い回せとでもいう意味なのか? 仮に日本の世帯平均人数から「2枚」という数値を出したのであれば、いかにも現実世界から遊離した「お役所」的な発想で、笑うしかない。

どうしても配布するのであれば、なぜ「国民1人あたり毎週紙マスク3枚」のようにできないのか? たとえば、台湾政府は、買い占めを防止するために生産される紙マスクすべてを買い上げ、大人1人が毎週紙マスク3枚を購入できるようなシステムを構築している。台湾の大人は、アプリで注文して、コンビニでスムーズに紙マスクを受け取ることができる。それに比べて、日本政府の発想は、あまりにもレベルが低すぎる。

さらに、何よりも重要なのは、「布製マスク」は「いかなる状況においても勧められない」と世界保健機関(WHO)が明記していることだ。新型コロナウイルスに対しては、あくまで「使い捨て」の「紙マスク」を使うべきだと推奨し、あらゆる状況で「布製マスク」を完全に否定しているのである。

2019年にオーストラリアとベトナムの国立衛生疫学研究所が行ったマスクの有効性を対象とするランダム化臨床試験の結果によれば、医療用マスクの粒子浸透率44%に対して、「布製マスク」は97%にも及ぶという。そのうえ、「布製マスク」の水分保持率や、不十分な洗浄による再利用が、感染の危険性を増加させる可能性も示唆している。

「布製マスク」を外出時に利用して、家に持ち帰った段階で、屋内にウイルスを撒き散らす可能性がある。即座に使い捨てるべきである。もし老人が不十分に洗浄した「布製マスク」を再利用すれば、それが「殺人マスク」になるかもしれない!

日本政府は、即刻「1世帯あたり布製マスク2枚」の配布という「愚策」を中止すべきではないか!

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