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公立中学校プログラミング部の活動をヤフーがサポート ~「地域住民に愛されるヤフー」を目指して~

こんにちは。ヤフーのオープンコラボレーションハブ「LODGE」です。

昨今、中高生など若い世代のデジタル関連活動の支援が活発化しています。経済産業省は3月に「Society5.0を見据えた中高生等のデジタル関連活動支援の在り方提言」を公表しています。

ヤフーでは2019年より、千代田区立麹町中学校のプログラミング部の部活動を支援しています。コロナ禍のオンライン活動を経て、3月25日の成果発表会は久しぶりに「LODGE」で開催されました。

今回は発表会の様子を交えながら、ヤフーが進める地域貢献活動をご紹介します。

六本木時代のリベンジ。紀尾井町への地域貢献

以前、ヤフー本社は六本木にありましたが、地元・六本木への地域貢献活動は足りていませんでした。本社移転の際、六本木の住民の皆さんから「ヤフーがいなくなって寂しい」という声は全くなかったそうです。

これを反省し、2016年に千代田区紀尾井町へ移転した後は、「地元・紀尾井町の皆さんからも愛されるヤフー」を目指し、いくつかの地域貢献プロジェクトが誕生しています。

地域貢献と健全なIT市場の育成をテーマに、2019年4月からは隣の区画にある千代田区立麹町中学校とのコミュニケーションを始めました。麹町中学校の工藤 勇一校長、文部科学省嘱託でもあった鵜飼 佑氏(いずれも当時)を交えて議論を重ね、ヤフー社員だけでなく誰でも利用できるスペース「LODGE」で部活動をおこない、SR統括本部をはじめとするヤフー社員有志がボランティアとしてサポートすることが決まりました。 

親、先生以外の大人との交流から「刺激」を

プログラミング部の活動は、隔週決まった時間に部員の生徒たちが「LODGE」にやってきて、ヤフー社員やコワーキング中の大人たちに交じっておこなうスタイルでスタート。プログラミングに興味を示す生徒たちがエンジニアやクリエイター、「親や先生以外の、周囲の大人たち」と交流することで、普段得られない刺激を得ることやIT業界について具体的にイメージを持つことを意識したものです。

感染拡大に伴い2020年に「LODGE」の一般開放がストップしたあとは、Zoomでのオンライン活動に変更。そして感染状況の緩和に伴い、2021年末頃から徐々に「LODGE」でのリアル活動を試行してきました。

ネット上で作品公開も。「好き」を極めた作品の発表会

3月25日に2年越しでようやく実現した、プログラミングの部員たちによる成果発表会。司会進行も生徒が務めました。保護者の見学に加えて、LODGEスタッフのセッティングのもと、オンライン配信も実現しました。

いくつかの作品をご紹介します。

BlockBench」を用いて、「マインクラフト」のMOD(ユーザーが製作する非公式の拡張プログラム)を作った発表。オリジナルのテクスチャ、モデルを作ってゲームで自在に遊べるようにしました。「製作したものを『CURSE FORCE』でいつかリリースしたい」と語りました。

同じくマインクラフトをベースにした発表。キャラクターが手を振るアニメーションを作るために、Javaのソースコード変更にもトライしました。「情報が非常に少ないので、アニメーションを作るのが大変だった。本を買って勉強しました。今後はMODをハイクオリティにしていきたい」と語りました。

Scratch」を用いた日本列島のパズルゲームの発表。白地図に都道府県を正しく合わせると、その土地の有名なものが動画で表示されます。チューターからは「先週までは全く違うものを作っていたのに、完成していて驚いた」とのコメントも。

同じく「Scratch」でUFOキャッチャーゲームを製作した発表。景品を動かし、よりゲームを面白くしました。

このほか、キャラクターを設定しオリジナルゲームを製作した例や、自分で描いたキャラクターを好きな音楽に合わせて動かした作品も。インターネット上で作品にファンがつき、うれしいコメントも寄せられたそうです。

「ものづくりへの想いを再認識する機会に」 部活動を支えたチューターたち

昨年からは、チューターとなる社員の社内公募をスタートしています。チューターはボランティアとして隔週の部活動に同席し、生徒からの質問に答え相談に乗るなどサポートを続けました。1年間の活動を通じて、様々な気づきや驚きがあったと語ります。

川原田 健太さん(プラットフォーム/エンジニア)
HACK U(Yahoo! JAPANが運営する学生ハッカソン)のサポーターをしていたこともあり、自分の経験になりそうだと思ってエントリーしました。
Zoomでは顔を映さない生徒さんが多かったので、コミュニケーションが難しいときもありましたが、よい経験になりました。
驚いたのは、自発的に外国の方とやり取りをしている生徒がいたこと。外国の方がアップしたYouTube動画を見て「これはどうやるの?」と直接質問し、解決していました。自分が中学生のころには考えられない行動力で、すごいなと思いました。
発想力や技術にも驚かされましたが、私たちの普段の業務と違い、自分が本当に作りたいものを自由に考えて作っている姿に刺激も受けました。興味関心を育て、成長を見守るにはどうしたらいいかを学びました。

岡崎 真悟さん(検索/エンジニア)
私もHACK Uのサポーターをしていました。今回は、グループで出場するHACK Uと違い、生徒たち一人ひとりがやりたいことを自分で見つけてやるスタイルなので自由度が高かったです。いずれはHack Uのようにグループで作ることもチャレンジできたらと思います。
私も一番印象に残っているのが、外国の方に自分で問い合わせていた生徒さんの例です。「マインクラフト」の拡張機能を使って、手の回転のアニメーションをつけたかったそうですが、チューターに詳しい人がいませんでした。
好きなこと、やりたいことだと行動力も生まれるのだなと驚きました。
チューターの経験は、自分自身、ものづくりへの想いを再認識する機会にもなりました。生徒たちが自由に作っている様子を見て刺激をもらい、業務外でアプリを作るようになりました。

城井 優さん(「エールマーケット」/エンジニア)
いつかは副業で子供たちにプログラミングを教える仕事をしてみたいと考えていたところ、たまたま社内公募を見つけてエントリーしました。
今日の発表会に向けて、どんな作品にしようか迷っている生徒さんがいたので、個別に相談にのっていました。プログラミングに前向きになれない時期もあったようですが、今日の発表で出来上がったものを見て感慨深かったです。一見、そんなに高度なことをしているように見えないかもしれませんが、実は結構難しいことをやっています。自分の好きなものを組み合わせて自由な発想で作っていましたが、この「自分の好きなもの」でやれた部分が非常に良かったと思います。
1年間、「教える」というよりは「みんなが作りたいものを伸ばしたい」気持ちのほうが大きかったです。本人たちのやりたいことじゃないと難しい。押し付けるのではなく、どうやって幅を広げていくか。考えるよい機会になりました。

伊藤 陽さん(Developer Relations /エンジニア)
去年まではチューターを務めていましたが、今年はチューターではなく運営面でお手伝いをしていました。生徒たちはみんな好きなことをやっていて、使用しているソフトなども多様です。それをサポートするチューター陣は結構大変だったのではないでしょうか。
一度だけ「LODGE」でリアルで部活をやったことがありますが、少人数でも楽しそうだったのが印象的でした。ほとんどがオンライン開催となってしまったことが残念です。ぜひまたリアルでの部活動を復活させたいです。

今後にむけて

麹町中学校プログラミング部の活動は、4年目を迎えました。コロナ禍でオンラインをベースにシフトしましたが、生徒たちはチューターと直接対話できる環境を希望しています。

感染拡大状況を見ながら、従来の「LODGE」を使った部活動の再開も視野に入れています。これからも千代田区とのよい関係つくりを模索しながら、プログラミング部の活動を継続していきます。

文:LODGE Maiko Takeguchi

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