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世界の都市・地域の最新事例を紹介するマガジンです(平日毎日更新)。 「case」では海外記事を抄訳して海外の都市計画関連の最新事例を紹介しています。「insight」では海外の最…
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#マイクロモビリティ

メルボルン市は電動キックボードのシェアサービスを廃止

case|事例 メルボルン市は、安全面の理由から電動キックボードのシェアサービスを禁止することを決定した。2022年に電動キックボードのシェアサービスを導入以降、人気が高まり、利用は着実に増えている一方で、歩道走行や二人乗り、ヘルメットを着用しない利用、飲酒運転など違反利用が後を絶たず、市民から不満が寄せられていた。 メルボルン市は、2022年にビクトリア州政府の実証スキームに参加し、Newron社とLime社と協働で2年にわたって事業を運営してきた。この間、サービスを提

英ノーザンプトンは電動キックボードシェアの実証プログラム廃止を警告

case|事例 ウェスト・ノーサンプトンシャー議会は、ノーザンプトンでvoiと実施している電動キックボードの実証について、改善項目に沿った対策が実施されない場合、実証の廃止の可能性があると見解を示した。ノーザンプトンで実施している実証は、2020年からvoiと実施されているが、安全性や違法駐車に対して苦情が相次いでおり、最近も議会で議論が行われていた。 ウェスト・ノーサンプトンシャー議会は、昨年から実証の検証に着手しており、利用者や住民など2,600人からアンケートを回収し

バンクーバーはLimeを電動キックボードシェアのパートナーに選定

case|事例 バンクーバー市は電動キックボードのシェアサービス導入において、Limeをそのパートナーに選定した。バンクーバー市は2023年11月に公開された提案依頼書(RFP:Request for Proposals)に則って審査を行いLimeを選定した。Limeはバンクーバー市内でサービス提供を行う唯一の企業となる。シェアサービスは今夏から開始される予定。 バンクーバー市とLimeの契約期間は5年間で、その後は5年単位で最大3回の契約延長が可能なオプションが設定され

アイルランドは制限速度を20km/hとして公道での電動キックボードの通行を許可

case|事例 アイルランド政府は電動キックボードの公道での通行を認める新たな制度を施行した。アイルランドでは公道での電動キックボードの利用は違法であるにもかかわらず利用が増加しており、警察もそれを黙殺する状況が続いていた。今回の制度によって地方議会はシェアサービスの実施も可能になるが、各基礎自治体で条例を改正をする必要がある。そのため、現時点で公道走行が認められるのは個人所有の電動キックボードに限られる。 運輸大臣は、電動キックボードの違法での利用はますます増えており、

米タンパは電動キックボードの違法駐車に対する罰金制度を導入

case|事例 フロリダ州の都市タンパは、不適切な電動キックボードの駐車に対して新たな取り締まりを開始することを発表した。今後、指定された区画や場所に駐車されなかった電動キックボードに対して最大5ドル(約770円)の罰金が課される。罰金徴収は、Lime、Spin、Helbizの3社が手掛けるシェアサービスの車両が対象となる。また、併せてリワード(報酬)制度も導入され、放置された車両や違法に駐車された車両を駐車しなおした利用者には0.5ドル(約77円)から2.5ドル(約385

欧州都市でのマイクロモビリティの勃興

case | 事例 2010年代半ば以降、世界中の都市で、路上で自由に行き来する電動自転車やキックボードなどの爆発的な普及を目の当たりにしてきた。ドックレス(ポートがない形式)でシェアするマイクロモビリティの事業数で世界の上位10都市は、すべてヨーロッパに位置している。NUMO(New Urban Mobility alliance)はマイクロモビリティを追跡しているが、2019年から2023年の間に、ドックレスでシェアするマイクロモビリティを導入した都市の数は倍増し、事業

電動キックボードの禁止はパリの交通をどう変えたのか

case|事例 2018年にヨーロッパではじめて電動キックボードのシェアサービスを開始したパリ市は、5年後の2023年8月末にその存続を問う住民投票を行った。投票率は7.5%と低水準にとどまったものの、投票したパリ市民の9割は禁止に票を投じ、電動キックボードのシェアサービスは禁止されることとなった。 ピーク時には15,000台の電動キックボードが街中を走り回り、不適切な駐輪によって、歩道は混沌としていた。このような状況から、市民に利用者のマナーや安全性に対する懸念がひろが

ブリュッセル市は電動キックボードシェアリングの運営企業との訴訟で敗れる

case|事例 ブリュッセル市は、電動キックボードの配備台数と運営企業数に制限をかける予定だったが、それを不服とする運営企業が起こした訴訟に敗れた。ブリュッセル市は、不適切な駐車や車両の放置などで歩道が雑然としている状況に対する市民からの苦情に対処するため、2月1日から配備台数を20,000台から8,000台に減らし、運営企業も現状の7社からBottとBoltの2社に限定し許可することを予定していた。しかし、運営企業を選定する入札に負けたLimeとVoiが入札プロセスの不透

ニューヨーク市はマイクロモビリティによる宅配サービスを管轄する新部署を創設

case|事例 ニューヨーク市役所は、電動自転車や電動キックボード、スクーター、モペットなどのマイクロモビリティを利用する宅配サービスの急増に対処するために新たにサステイナブルデリバリー部という専門の部署をアメリカではじめて設立する。新たな部署は、二輪及び三輪のマイクロモビリティ―に依存する荷物や食料品の商用宅配サービスの規制を担う。 マイクロモビリティは、新たな交通手段として、渋滞の緩和や大気汚染の改善に欠かせない。一方で、歩行者との錯綜や搭載バッテリーを原因とする火災

電動キックボードのシェアリングサービスを手掛けるBird社が破産申請

case|事例 北米最大のマイクロモビリティオペレーターであるBird社は、バランスシートの強化など経営の立て直しを図るために連邦破産法第11条の適用を申請した。連邦破産法は日本の民事再生法にあたる。Birdは2017年に設立さたマイクロモビリティサービスを提供するスタートアップで、一時その成長は著しく、世界の数百都市で導入されている。 マイクロモビリティはCOVID19での利用低迷から回復傾向にあったが、NACTOはコストの増加などによって経営の不安があると11月のレポ

エストニアのタリンは歩行者の安全性を確保するために電動キックボードの駐車場を増設

case|事例 エストニアの首都タリンは、歩行者の安全性を確保するために、来年、電動キックボードの駐車場を増設することを決定した。不適切な電動キックボードの駐車が足の不自由な方や高齢者、ベビーカーをおしている方の通行を妨げており問題視されていた。具体的な増設箇所の場所や数は、より詳細な分析を踏まえて来年決定される。 駐車場の増設は、2023年8月からBoltおよびTuulと協働で実施された実証実験の結果を踏まえて決定された。実証実験は、都心部の一部を対象として、段階的に運

マイクロモビリティのシェアサービスに都市は補助金を出すべきか?

case|事例 自転車や電動キックボードのシェアサービスは、都市交通のユビキタス的な特徴を帯び始めている。その中で、いくつかの都市ではより長期的で協調的な資金調達モデルが必要ではないかというような議論を始めている。 その1つがマイクロサブシディという概念で、シェアサービスを提供する事業者が都心以外で幅広いサービス展開を行う引き換えに、交通局などの公的機関がサービスの一部に補助金を拠出するというものだ。COVID-19の影響で経営が痛み資金難に陥っている状況で補助金の拠出は

ベルリンは都心の電動キックボードの配備台数を削減

case|事例 ベルリン州の地域交通省は、ベルリン都心部の電動キックボードのシェアサービスの配備台数を、2024年3月から現状の24,000台から19,000台に減らすことを発表した。今回の措置の背景に電動キックボードマナーの悪化があり、歩道へ車両が放置されたり放置車両が通行を妨げたりという事案が増えていた。2022年に歩行者ロビー団体が実施した調査でも、自転車や電動キックボードのシェアサービスにおいて3分の2が違法に駐輪されている実態が指摘されている。地域交通省の担当者は

メルボルンは電動キックボードの安全利用を先進技術の適用で試みる

case|事例 メルボルン市は、電動キックボードの安全利用を先進技術の適用で実現することを目的とした実証実験に着手する。実証の開始に先立ち、GPSやカメラが搭載された新しいタイプの車両25台が公開された。今回の実証実験では、カメラやGPSを用いて違法な利用を検知し音声による警告を行うことで、違法な歩道走行や都市空間の乱雑化を防ぐ。 メルボルン市は、2022年2月に電動キックボードのシェアサービスを導入し、導入以来延べ500万回(1日平均6,000回)の利用実績がある。また