電動キックボードのシェアリングサービスを手掛けるBird社が破産申請
case|事例
北米最大のマイクロモビリティオペレーターであるBird社は、バランスシートの強化など経営の立て直しを図るために連邦破産法第11条の適用を申請した。連邦破産法は日本の民事再生法にあたる。Birdは2017年に設立さたマイクロモビリティサービスを提供するスタートアップで、一時その成長は著しく、世界の数百都市で導入されている。
マイクロモビリティはCOVID19での利用低迷から回復傾向にあったが、NACTOはコストの増加などによって経営の不安があると11月のレポートで警告をしていた。またBirdの株価は低迷を続けており、8月の決算報告には資金調達が失敗に終わった場合、事業の縮小や破産があり得ることが記されており、今回の破産申請はさほどの驚きでもない。9月にライバル企業のSPIN社を買収し余剰人員の整理などを進めたが、経営不振を挽回することはできなかった。
BirdのCEOはプレスリリースの中で、今回の破産申請は黒字化に向けた資本構造の適正化をすすめるためのものであると楽観的なコメントを寄せ居ているが破産による影響は大きい。Biedは、今後、90日から120日の間に、破産手続きの中で資産の売却を完了する。カナダとヨーロッパの事業は連邦破産法の適用外であるため継続される模様。
破産危機にあるマイクロモビリティオペレーターはBirdに限らない。電動キックボードのシェアサービスを手掛けるSuperpedestrianは、経営難を理由に12月31日でサービスを終了する。またMicromobility.comも、自己資本要件や最低株価の基準を満たせずナスダックから上場が廃止されている。
insight|知見
新興のサービスは華々しく世間に登場しますが、その栄枯盛衰ははやいものです。電動キックボードに限らず、パリの小型カーシェアAutolibの廃止、LyftやUberなどのライドヘイリング企業のギグワーカーの雇用・労使問題に起因する経営難など、新興のモビリティサービスが苦境に陥っているケースは少なくありません。なかなか日本では報道されませんが。
これは新しいサービスを海外から輸入するときの学びにもなるように思います。新しいサービスが登場すると、「世界は進んでいて日本は遅れている。既得権がその導入を邪魔している。」と報じられがちですが、その間に世界も変わっていて、経営難や安全性の低下などの課題が顕在化してきます。
なぜか新しい世界のサービスをそのままの形で日本に取り込もうという論調が強いですが、日本との制度の差や海外で顕在化している課題などを踏まえてカスタマイズする姿勢も必要に思います。