バンクーバーはLimeを電動キックボードシェアのパートナーに選定
case|事例
バンクーバー市は電動キックボードのシェアサービス導入において、Limeをそのパートナーに選定した。バンクーバー市は2023年11月に公開された提案依頼書(RFP:Request for Proposals)に則って審査を行いLimeを選定した。Limeはバンクーバー市内でサービス提供を行う唯一の企業となる。シェアサービスは今夏から開始される予定。
バンクーバー市とLimeの契約期間は5年間で、その後は5年単位で最大3回の契約延長が可能なオプションが設定され、最大で20年間のサービス提供が可能となる。導入当初は2地区に29ヶ所のドッキングステーションが設置され計100台が配備される。その後、段階的に拡張され、2025年に市内全域でサービスが提供される予定となっている。
バンクーバー市長は、「バンクーバー市は気候変動緊急行動計画(CEAP)に基づき、2030年までに移動の3分の2を徒歩、自転車、公共交通によるものにすることを目指している。アクセスしやすく持続可能な交通の実現に向けて、Limeのサービス導入は理にかなったアクションとなる。」とコメントしている。
今回の導入においては、特に安全面への影響を最小化するために検討が進められている。他都市からの教訓として、歩道や車道を整序化するためにドッキングステーションを整備し、無秩序な駐輪を抑止する。またドッキングステーションの整備にあたっては路上駐車スペースを一部転用し空間の再配分を施す。自動車1台分のスペースでキックボード6台~8台の駐輪スペースが確保できる。また、ヘルメットの着用は必須で、歩道の走行は禁止されるほか、徐行ゾーンや乗車禁止ゾーン、歩道の違反走行の検出機能、ヘルメットのセルフィ―機能、アルコール検知機能、安全教育などの仕組みなどが導入される。ルールに違反した利用者には、109カナダドル(約12,000円)から2,000カナダドル(約227,000円)の罰金が課される。加えて、Limeは、責任ある利用を施し、移動習慣として根付かせるために、警告、罰金、アカウント停止へと段階的な懲罰ポリシーを導入する。バンクーバー市とLimeとの契約書には、Limeが要件を満たさない場合の罰則規定も含まれる。
insight|知見
利用者とサービスを提供する事業者、自治体の責任範囲や罰則規定を明確にし、安全な利用を促す体制と仕組みを事前に設計している点に感心しました。
日本の交通事業の場合、一度導入されると、既得権化してしまい、なかなか行政が影響力を行使して、安全性やサービスの改善の協議が指導が進まないケースがあるように思います。
官民連携は新たなサービス導入において必要な体制だと思いますが、併せて責任範囲やサービス水準などの規定、サービス導入後の協議の体制や仕組みなども必要ではないかなと思います。