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【観劇感想】2024年2月 スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内 『ヤマトタケル』

6日、関東にも雪が降った翌日に観劇に行きました。

隼人くんと團子くんのが掲げられてます。
隼人くんのヤマトタケル観劇なので、こちらを。



地元は積もってたので、安全第一と思ってスニーカーで行ってみたら、銀座は雪がなかったの図


あらすじと見どころ


分かりやすいあらすじと見どころは以下↓の歌舞伎美人が良いかと思います。


私のざっくりすぎるあらすじは、前回投稿した、猿翁さんの追悼放送の感想記事の中で書いてます。
ざっくりすぎて怒られるかもしれないレベルですが、簡素なのが良ければどうぞ。

https://note.com/preview/nac9a89790880?prev_access_key=aa5efc1400d08abc1c2a18e13e988c4e


全体的な感想

これから初めて観劇される方にとっては、多少ネタバレも含まれてます。
大丈夫な方は、お進みください。

やっとこの目で観ることができた!!
1つの作品として、ずっと生で観たいと思っていたので、ようやく叶いました。
つぶやきでも書いた通り、隼人くんのヤマトタケル、とても良かった。
最初は、純粋でちょっぴり泣き虫で素直な青年だったのが、討伐を経てだんだん自信をつけていくにつれて、傲慢になってしまう過程を分かりやすく表現されていたと感じました。

帝から各地の討伐を命じられるうちに、5年の時が経ていることも声色などからも感じることができました。


ヤマトタケルという人の人生を垣間見たという感覚になりました。
隼人くん自身の経験や世の中に対する想いとかが投影されてるというよりは、ヤマトタケルとして生きている、そんな感じがして、台詞の一つ一つには重みもあるけれど、ストレートに共感できる重みに感じました。

このヤマトタケル好きだな。うん。

スーパー歌舞伎、自身の想いをメッセージとして舞台に入れることが多いのかなと思うのですが、想いを詰め込みすぎて受け取る側としては凄すぎて重すぎると感じることがありまして。。。。
現在はスーパー歌舞伎のような演出が新作歌舞伎では当たり前になってきて、新作もどんどん作られている。
そういった中で、登場人物一人一人の想いや人間らしさがより浮き彫りになって、心を打つものになっていると感じます。

タケルと一緒に各地を共する、タケヒコ、弟橘姫、ヘタルベも良かった。
それぞれの役割をしっかり表現されていたと思います。
若手なんだけど、隼人くんも含めて見ごたえがありました。

早替りも見事でしたし、立廻りも迫力とスピード感があって、こりゃ大変だなと。
焼津の場面で、舞踊っぽいところがあるのも、やっぱり歌舞伎だなと思う瞬間で好きです。
旗も2人でぶんぶん振っていて、タケヒコのソロがないぶん、タケルの休む時間がなさそうで、時間の問題もありそうですが、若さで乗り切って欲しい!

熊襲の国の場面、映像で見たまんま、大勢の人が宴に参加していて、花道以外の客席の通路にも役者さんが並んで、やっと元の公演形態に戻ったんだと実感しました。
ルパンの時も客席通路通ってたけれど、今回のように後ろまでズラっと並ぶのは本当に久しぶり。途中まで楽しい場面なのに、じーんとしました。

衣装も髪飾りも映像で見た通りで、肉眼で見ると更に豪華絢爛で、ため息が出るほどでした。場面ごとに変わるのと、後ろ姿も上から下まで凝っているので、後ろを向いた瞬間に双眼鏡で眺め、綺麗だわぁと心の中で呟き、それを何度も繰り返して眺めてました。時間の経過や、心情なども表現されているのかなと感じました。

ガラスケースで四方を囲って、前も後ろも見られるようにした衣装展をやってほしい。

『ヤマトタケル』初演から出演されていた澤瀉屋の方々、門之助さん、錦之助さん、お弟子さん方ががっちりと固めていて、役としての想いのほかに色々な想いがあるだろうなぁと感じました。
皇后や新大臣の暗転の前の表情にも注目です。

今回Wキャストで隼人くんも演じたことによって、更に古典への歩みを進めたんだなと、その瞬間を見たのかなと思っています。
江戸時代から続く古典歌舞伎もこうやって時代を経てきたのかなと。
初演から38年ってほぼ私の人生だし、時代も大きく変わっている。
価値観は変化しているかもしれないけれど、人間の心の根幹はいつの時代でも変わらないし、『ヤマトタケル』で表現されていた想いも、いつの時代の人の心を打つ作品だと思います。

3部始まったくらいから、「帰りたくないなぁー、終わっちゃうなぁ」って思いながら観てました。

今年は5月に御園座、6月大阪松竹座、10月博多座での公演も予定されています。
是非、多くの人に観てほしい。
今回、初めての人も結構いるかな?という印象でした。
拍手のしどころが難しかったりするんだけど、大丈夫です。
あと、1等席でもスニーカーで全然大丈夫。前列は皆無なので、今度から足元はカジュアルにしようかなと思ったくらい。昨年の12月、歌舞伎座公演で隣に座った男性はダメージジーンズでしたが、玉三郎さんの魅力をお連れの方に語っていました。人は見た目によらないなと思いました。
逆に、スーツ着てばっちり決めた男性は、途中眠くて寝たとお連れの方に話していました。
要は、観てみようと思う気持ちが一番大事ということで。
スニーカーごときで追い出されやしないし、値踏みされることもありません。





更なる感想

隼人くんについては結構書いたので、他の役者さんや、舞台についての感想です。

タケヒコの福之助くん、私の中ではもうスーパー歌舞伎ではお馴染みといった感じで、雰囲気に慣れるのが早いなという印象。
オグリの時も、他のスーパー歌舞伎初参加の人達より早く馴染んでた印象。
タケルを支え見守り、意思を継いでいく重要な役割をしっかりと演じられていて、安心感がありました。

ヘタルベの歌之助くん、少年感がすごい!
物語の後半に出てきて、若くて純粋で正義感がいっぱいの少年を見事に演じてました。
新・水滸伝では敵役だったのに、こんな純粋な少年もできるのかぁ!
最後、タケルの墓陵の前で大和の国に来て感じたことを吐露し、泣き、タケヒコに諭される場面で、あまりの純粋さにこちらも涙しました。
ここ、かなり重要場面です。

ワカタケルの子供ならではの質問も純粋でいいなと思いました。
最後はワカタケルが日継の皇子に選ばれるという、希望ある展開で幕になって、こちらも爽やかな心持ちで白鳥となって天翔けていくタケルを見守ることができました。
行きつ戻りつするかなり長い宙乗りで、頑張れ!と思って見てました。
お客さんにとっては、特に2・3階席の方々は近くまでゆっくり来てくれるので、楽しみな場面ですよね。

兄橘姫・弟橘姫の米吉くん、すごく良かったわぁ~!
声色と話し方のテンポで演じ分けされてて、兄橘姫は姉らしくおおらかで美しい女性、妹はまだ少女のあどけなさもあって可愛らしい女の子という感じがしました。
中でも、焼津の場で、弟橘姫がタケル一行を追ってくるところ、「おうすさまーーーーーー!」って花道をすっ飛んできてタケルの胸に飛び込むところが、なんとも可愛らしくて!
「可愛い!」と何度心の中で呟いたことか。
そりゃあタケヒコも困るわけだ。
たまに、米吉くんは確信犯だなと思う。
絶対にかわいいを分かってやってるな、それ。と思うことがある(笑)
走水の海上で本音も言いつつ、強がっていて、本当は怖いし別れたくないという想いがひしひしと伝わってきて、泣けました。
女心もちゃんと分かって台詞言ってるなぁと感心。

みやず姫もそうだけど、立場を分かっていつつ、自分の考えや想いをしっかり持っている女性がスーパー歌舞伎には多いという印象で、良いと思います。共感できることも多くて、懸命に生きてる感じが好きです。
昔から女性だって思うことは沢山あったんだぞ!ってね。

猿弥さんと門之助さん、錦之助さんも良かったわぁ。
猿弥さんは特に山神が、門之助さんは姥神が、錦之助さんは熊襲弟タケルと尾張の国造の両方が良かった。
熊襲弟タケル、山神、姥神、三人の最後、果てる時まで目が離せません。

熊襲の場面は人が多い上に、小道具とか沢山あって、レミゼとかミスサイゴンの西洋のミュージカルにある酒場のような、2階建てのセットで、立廻りとなると、酒樽が飛び交って壁もぶっ壊されて、めちゃめちゃになって、よく考えたなって思います。
動きの確認が大変そうで、普段歌舞伎の人達こんなに激しいことしないだろうにって思いますが、十分見ごたえのある場面でした。

門之助さんの姥神、最後はどういう仕組み?
こういう仕掛け古典にもあったような、、、、
「あっ!えーーーーーーー?」と思って拍手もしないままになってしまいました。

猿弥さんの出番が多くて良かった。
ルパンの時、物足りない気がしたから。
錦之助さんとも門之助さんとも息ぴったりで、これこれ!って思いながら観てました。こういう骨太な役はやっぱり猿弥さんだなと思います。

錦之助さんの国造に笑いました。
あまり錦之助さんの舞台を観たことがないのですが、以前、新春浅草歌舞伎で棒しばりだったかな?太郎冠者の台詞を真似する場面があったような気がするのですが、そこでアドリブの台詞も言わされてたので、面白いことも受けてくださる役者さんなんだなと思ったことがあります。

熊襲弟タケルは大変そうだけど、並々ならぬ意思を感じました。


私、人生初歌舞伎観劇の時に錦之助さんも観てるはずなんですが、感動と話を理解するのでいっぱいいっぱいだったので、誰が何役でどうだったかまではよく分かってなかったな。
でも、その演目がとても良かったこと、二十一世紀歌舞伎組のメンバーで演じられていたことが、今に繋がっています。

青虎さん、猿三郎さんの休演もあって、お役が増えたと思ったら、團子くんの分の帝の使者までやることになって、一週間ほど着替えが結構大変だったんじゃないかなと思います。
悪者の役うまいよねぇ。

嘉島さんも色々なお役をされてて、役の幅が広い方。犬神の使者、犬の動きをしながら喋るのが特徴で、台詞とは逆にちょっとほっこりする。
嘉島さんの声はかなり聞き取りやすい。

猿三郎さん、残念ですが回復されることを願っています。普段ブログでは演目についての豆知識や裏話などを綴られています。どうか無理なさらず。東京公演は無理だったとしても、どこかの公演で戻ってこられることを願っています。

そして團子くん、おかえりなさい!
今日14日の公演から復帰の発表がありました。
1公演だけで相当体力奪われそうな演目なのと、家の芸ということを強く意識しすぎていそうなのと、これだけ大きな公演で主演は初めてだと思うので、本当にどんだけ重いもの背負っちゃってるんだろうと思うのです。周りの先輩方に頼りつつ今の團子くんができることをやればいいんだと思います。来月の観劇が楽しみです。


最後に

筋書を開くと、最初に皆の写真がどーん!ってあっていいです。
演目の概要と配役以外に、それぞれの役や公演に対する気持ち、梅原猛さん猿翁さんの過去の公演時の筋書の転載、監修の石川耕士さんのコメント、隼人くん・團子くん・米吉くん3人のお互い対する気持ち、など盛りだくさん載っていて、面白いです。

観劇から一週間経ってやっと書き終えました。
頭のなかの整理と無い語彙力をどうにか駆使して書きました。
長くなってしまいました。
松竹の公式YouTubeでダイジェストが上がっていたのですが、團子くんはまた違った感じに見えました。また観劇後に感想を書きたいと思います。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。



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