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発達障害グレーゾーンの中受 はじまりのキッカケ

発達障害グレーゾーンと診断され、小学校入学後も市の施設でのトレーニングや担任の先生による面談を定期的に受けていた息子。

2年生の終わりに差し掛かる頃になっても、学習への不安要素は全く消えていなかったが、その後不登校になっていく上の娘に比べ、友だち作りの要領は良いようで、放課後は毎日大勢の友だちとにぎやかに遊んでいた。

そんな息子の楽しく自由な毎日が暗転した。
新型コロナによる緊急事態宣言だ。
上の娘は中3に、息子は小3に進級した春先から学校は臨時休校となり、その後もタブレット端末によるリモート授業や自宅学習となった。
市の施設での発達トレーニングもお休みだ。

私の職場も急遽在宅勤務が許されるようになった。子どものケアを思えば非常に助かったが、エネルギーの有り余る子ども達のおさんどんと並行しての在宅勤務は、ぶっちゃけお仕事にならない状態だった。
重ねて、海外単身赴任中の夫は帰国の目処が全く立たない状態。赴任先が社会主義国だったので、政府の判断次第で全ての営業活動がストップするのだそうで、戦々恐々としていた。

大人も世の中の不穏さにビクつく状態の中、息子はお友だちとの交流が一切遮断状態。
フラストレーショいっぱいの中、当然出された課題へのやる気はゼロで、タブレット授業も集中できるわけもなく、ダラダラとゲームばかりやっていた。
細々ながら続けていた公文も教室が閉鎖となり、自宅学習用に宿題の束のみ渡されたが、私一人が見張る中で真面目に取り組むはずもなく、ほとんと手付かずのままだったので、ついに退会した。
こういう環境の中でも自主的に取り組める子どももいるのだろうけど、息子は完全にお勉強は放棄状態。ただでさえ遅れを取っているのに...これはマズイ。

そこで何らかのカンフル剤にならないか?と、秋も深まる頃、発達障害専門の家庭教師派遣会社に問い合わせ、週一回だけ来ていただくことにした。

なかなか、というか、非常に良いお値段だったので、それ以上は増やせないが、週一回進捗状況を確認してもらうだけでも、先生が来る日までに課題をやらないと、という息子のモチベーション向上に繋がらないかなぁ、と考えていた。
が、何より息子に発破をかけなければならない私自身の尻に、火が付く意義の方が大きかったかな、と思う。

その先生に見ていただく中で気づかせてもらったことは、息子は知的好奇心が旺盛過ぎて興味がポンポン飛び、傍目からは注意力散漫に見えること。頭の中であれこれ考えるスピードと、アウトプットするスピードが追いつかないことへのもどかしさが、机に向かってするお勉強への興味喪失につながっている、という点であった。
営業トークなのかもしれないが、ぼーっとしているばかりだと思っていた私にとって、息子への認識が変わる言葉だった。
受講にあたり、以前、市の施設で受けたものと同じテストを受けさせられたが、以前より全体に改善がみられたし、言語能力については突出して伸びていた。これにも勇気づけられた。

年配の、息子にとってはおじいちゃんよりも年上の先生だったが、先生は子ども向けの会話はしていなかった。歴史好きの息子と、大人と同等の扱いでディスカッションすることもしばしばだった。

「息子くんは、中受向けかもしれませんよ。
公立に進学しても、周囲の子と話が合わなくて、つまらないって思っちゃうかもしれない。
それに、公立は高校受験に向けて内申点を取ることも求められるので、部活動や委員会活動でもうまく立ち回ることを求められるとすると、自由人の息子くんには、少ししんどい環境かもしれないですね。」と、言われた。

私としては息子の中学受験など、能力的にあり得ないぐらいに考えていたので面食らったが、先々を考えるとアリなのかもしれない、と初めて思った。
この時の先生からの指摘が、4年生になってからダメ元でも進学塾に息子を通わせるきっかけになったと思う。

この家庭教師の先生にはコロナ禍の間、息子だけでなく不登校状態となった娘の補習もしていただいた。補習というか、人生相談? カウンセリングに近かったかもしれない。

授業のコマ数を増やすことになったので、夫からはお金の心配をされた。受講料は高額だったので、金額全てを詳らかに伝えたら、止められると思い、夫には本当のことを伝えていなかった。
正直なところ出費は相当厳しく、貯金を切り崩しながらだったので、耳が痛かった。
が、相変わらず彼は帰国ができない中、娘の学校への行き渋りが酷くなり、精神的にも荒れつつあった我が家において、家庭教師の先生からいただく第三者の意見はお金には変え難かった。

また、先生が来る日は見栄もあって多少家の中も整えるので、日々娘とのバトルで物理的にも荒れてきた我が家がリセットされる良さもあった。
その後の進学塾での息子の成績からして学習習熟度への効果はどこまであったか微妙だが、コロナ期間中の我が家を、ギリギリ正常ラインを保つペースメーカー的な役割を果たしていただいたと思う。

振り返ると、コロナ禍は子どもの学習習熟度に大きな差異をもたらしたことは、疑いの余地無しだろう。家庭環境、親の考え方が大きく影響したに違いない。
またいつ何時、あの時のような事態が起きないとも限らない。
この期間の家庭での過ごし方が、子ども達にどのような影響をもたらしたのか?、コロナ期間中の学校側、文科省の対応の成否を評価するためにも、国は詳しく検証してほしいなと思う。

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