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『PERFECT BLUE』:人間という化物

最近、今敏の初監督作品『PERFECT BLUE』を観てきた。
この作品は元々1998年(この前の年に海外で先行上映)のもので
今年で25周年ということで特別興行されている。

私はこの作品を知ってはいたが、近くのゲオでレンタルされてなく、
サブスクサービスで見れるわけでもなかったため
中々機会に恵まれなかった。
そのため、特別興行のニュースを見たときにはすごく嬉しかった。

そして、一昨日実際に見に行ってきた。

チケットは三連休中だったこともあってかかなり売れていた。
そのためいい席を確保するのが難しかった。

映画館に行ってまず驚いたのが観客の年齢層だ。
てっきり当時見ていたおじさまおばさまばかりかと思いきや、圧倒的に若い女性が多かった。「えっ、見る作品間違えてない?」と思うような感じの
人まで来ていて、始まるまで自分が作品間違えたのかもと
錯覚するほどだった。

自分の隣には自分と同じぐらいの歳の女性3人組が座ってきた。
いかにもディズニーと間違えてきてないかと思うような人たちだった。
そして、上映が始まった。
序盤からもうしんどかった。しんどい作品だとは聞いていたが。

自分がドルオタというのもあり余計にくるものがあった。
何よりもストーカーの内田の顔が本当に気持ち悪かった。
文字通りニタッと笑う感じが嫌悪感を煽られた。
未麻が周りの大人たちに流される様子もきついものがあった。

また、作中のドルオタたちの会話の内容も今とそんなに変わらないように思った。偉そうに今後の展望を語り合うところ、勝手にメンバーの優劣を決め価値をつけるところだったりと自分にも刺さるところがあった。

何より描写に容赦がないところが自分にとってショッキングだった。
未麻が露出の多い内容が増えて行ってしまうところやレイプシーン、
「未麻の部屋」、殺害シーン、見ていて本当に怖かった。
隣の女性も怖かったのか飲んでいたビールを置こうとしてこぼしていた。

そして場面が飛び飛びに展開していく様は凄かった。
未麻が精神崩壊していくのが嫌というほど丁寧に描かれるのもしんどかった。何が夢で現かわからなくなる感じの没入感は圧巻だった。
ラストのルミのところも見ていてこれも夢か現かわからなくなっていた。

状況が理解できていないというのもあったからかもしれない。
一番最後のところもお前は誰だ?って感じがぞわっとした。
見終わって出るときに観客が笑いながら出ていくひとたちがいた。
私には狂ってるように思えた。別にどういうリアクションをとっても
いいはずなのにそのときはいい気はしなかった。

ちなみに隣の3人組は終わったあとにラストの展開について真剣にどういうことだったのか話し合っていた。

この作品はとにかく嫌悪感が強かった。なのに展開が難解で面白かったからまた見てみたいと思ってしまっている。
本当に今敏監督がもうこの世にいないことが残念でならない。

この作品の登場人物はどいつもこいつも化物だと思った。
怪しい様やなにかに化けているところ、どこかみんな狂ってるところ
そういうところが化物だと感じられた。
とんでもない作品と出会ってしまったと思う。

嫌悪感はあるが私はとても良い経験を出来たように感じている。
見てから日が経つとよかったという気持ちが勝っている。
人間の醜さをここまでやられると凄いものがある。

『PERFECT BLUE』化物の作品だった。

2023/09/20

p.s
個人的には小ネタで今敏が大好きな平沢進ネタを所々見つけれて
楽しかった。

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