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これでいいのか。

楽天の期間限定ポイントが残っていたので、
ずっと読みたかったマンガの中古を手に入れた。

本といっしょにこんなチラシが入っていた。
「読み終えた本を送って、暮らしを軽やかに」

確かに。

重いな。

今の暮らしは・・。

今でこそ図書館で借りているが
遠い昔
書店でパラパラ立ち読みしただけで
後先考えずに、レジに向かっていた頃もあった。
調子に乗っていたのだ。

おかげで本が溜まりに溜まっている。

「不要な本を10冊以上、
段ボールに入れてサイトに申し込み、
取りに来てもらうのを待つのみ。
送料無料。
しかも買い取り額に500円上乗せ!という特典付き!」

これは神の声に違いない。

とりあえず、10冊を選ぶことにした。

衝動買いした本もプレゼントされたのも、いっしょくたに並んでいる。

自分の本たちにこんなに正面から向き合ったのは久しぶりではないか。

静かに安住の地を得ていた本たちだが、急に段ボールに詰められ
知らない土地に連れて行かれるのは本意ではないだろう。

感謝と寂寞の思いを込めて、
選んだ本たちのことを振り返りたい。





人のお弁当を見るのが好きで好きで
しょうがない時があった。
思わず衝動買いしたが、家でゆっくりと見て
「やってもたー。買ったけど必要なかった〜」と後悔した本。
どの弁当も、美し過ぎて見ててツラくなる・・。
「コレふた、しまるんか?」と余計な事を考えてしまう。

さようなら。
2冊。
長い間、いてくれてありがとね。


瀬尾まいこさん、好きな作家さん。
何冊か持ってるが、これだけはなぜか「もう読まんな・・」と思う。

言わずと知れたイヤミスの傑作
「告白」
を映画館で見て以来の湊かなえさんファン。
(だが本は読んでない・・)
これを買った頃、頂き物の高額図書カードがあり、
調子にのって表紙買いした。
先入観なしで読んだが、ホントにめちゃ、面白かったです。
でも、ミステリーは再読しないので・・。
表紙が美しくて、なかなか手放せなかった1冊


三五館シンシャのお仕事日記シリーズの漫画バージョン。
文字バージョン読んでて内容知ってるのに、無性に読みたかった。
しかも、紙で。
でも、1度読んだら気持ちが収まった。
ちなみに、文字バージョンのお仕事本シリーズは1冊も買ってない。
新刊が出るたびに、図書館で借りております。
そういえばこの漫画買った時も、
もらった「高額図書カードハイ」の時だったな・・。
哀愁を感じずにはいられない
珠玉の2冊。


プレゼントしてもらった本2冊。
これをもらった時、なかなかに厳しい人生の岐路に立っており、
大いに迷っていたので
参考になった。(ような気がする・・)

1億円当たる事と
その後のしあわせが、
必ずしも
セットではないことはわかった。
人生は予想外。
思ったようになったり、ならなかったり。
結局はその人の気の持ちようで、
どのようにもなる、のか・・。

いろいろ考えさせられた1冊。

末井昭さんの本は、深い。
「凡人なので、なかなかそこまで達観できません。
申し訳ございません」
と無性に謝りたくなった1冊。

※上記の内容に誤りがあります。
「~大いに迷っていたので」➡今も
人生の方向性に大いに迷っております。



いつだったか。
娘が読み終えて「読みたかったら読んで~。いらなかったら処分して~」
と渡してくれた本。
「赤ずきんちゃん、旅の途中で死体と出会う。」
齋藤孝先生もびっくりのおすすめ本やからコレは読まねば!と思ったし、
娘と感想を言い合いたかったけど、
数ページ読んで静かに閉じた。
それからもう、長い間、積読本の仲間入り。
娘よごめん。オカンはもう読まないと思うからサヨナラさせてね。

おかん飯のレシピ本は、10年ほど前に某雑誌の懸賞で当たったもの。
しかも、お二人のサイン付き。
どうやら、ここで一生分のクジ運を使ってしまったようだ。

どれもこれも、おいしそうで素敵な
レシピだが、
ひとつも作ったことはない。
レシピに出てくる、ナンプラー、
コチュジャン、ローリエ。
どれも我が家にはない・・。

宝の持ち腐れの1冊。


合計10冊、それぞれのページをめくれば、
手にしたその時の心持ちが思い出される。

選ばれた本、選ばれなかった本に
大差などない。



これでいいのか・・。

本を段ボールに詰める手が、ふと止まる。

過去になってはいるが、確かに自分の生活の中にときめきをくれた本たち。
色褪せてはいるが、その時々に心のよりどころになってくれた本たち。

いやいや、人生100年時代の折り返し地点を曲がった今、
少しずつ、断捨離せねば・・。



「何やっとんの?」

遠い目をしている私に、夫が聞く。

「これな、中古のいらん本7月15日までに10冊送る段取りしたら、
500円もらえるねん」
「ふーん」

興味なさげだ。

そういえば夫の本棚には、私の2倍の本がある。
「オトンの本もめっちゃあるやん、
処分しようとは思わんの?」

そう問うと、こう言った。

「本なあ・・。全部蔵書やねん。
オレがおらんなったら、全部
古紙に出してくれてええで~」

蔵書か。
それを言うなら
私のこれも蔵書やで。
「ほな、私がおらんなったら、この本たち古紙に出してくれる?」

「了解~」

階下におりていく夫の背中を見る。


送るのやめよかな・・。

本をそっと元に戻す。

これでいいのか?

暮らしは、なかなか軽くならない。

でも、これでよい。











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