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「ルミナリエと、コロッケと、人生の意味」2019年の、作文練習


「ルミナリエ」
 神戸ルミナリエに訪れることができ、幸せの絶頂である。だがそこまでの道中は、惨憺たるものだった。犯人は、阪神電車である。
 私のここ数年の体調不良、九割型「阪神電車」が絡んでいる。今日は何を血迷ったかラッシュ時の特急に乗ってしまい、パニック症状の雪崩となった。慌てて各駅に乗り換えたがもはや阪神電車自体を信頼していないので、症状軽減に時間がかかった。
 元町へ到着し、気を取り直す。もう人の列から外の音までルミナリエ間近なのだと、気分が高揚する。列に入った時点では、空いていそうだと軽くみていた。しかし中に進むにつれ、混んできた。初日としてはかなりの混みで、会場の盛り上がりを予感させた。直前の並木道も光が施され、荘厳な音楽が流れる。一年待ち焦がれた、ルミナリエが目前である。
 ついに、お目見えの時。例年と比べてもかなり豪華で、二十五周年の力の入れ具合を感じさせた。何より嬉しいのは、周りのお客さんが「綺麗だね」と共鳴していることである。まるで、自分が褒められているような快感に陥る。東遊園地もドーム状となっており、いつもと趣向が違って心躍った。多くの人が訪れており、十日間の来場人数が多いことを期待する。
 その先に「ディライトファウンテン」というものがあり、花時計の上も光で彩られている。また、飲食店が多数出店されている。昨年から通うUCC「ホットチョコ」や、神戸コロッケを食す。最後はグッズを大人買いし、大満足で会場を後にした。
 良い気分で帰宅できると思いきや、またも阪神電車に体調を崩される。折角のルミナリエ万全の状態で通いたい為、JRへの変更を視野に入れようと思う。ともかく十日間、体調の許す限りルミナリエへ賭けようと心に決めた。
「フランクル」
 月曜日大学院で、フランクル哲学を教えて頂いた。「不幸の階段」や「輪廻転生」などの言葉がノートに記されているが、自分と重ね合わせたのはがん患者さんの話である。がんより遥かに軽いパニック障害だが、苦悩していることは変わりない。
 がん患者さんは走れない代わりに、読書や音楽で心を豊かにする。そこで人生に意味をもたらすという。私も見習いたいが、ここから十日間はルミナリエで心を満たす。それが、人生の意味である。

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