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「年に1度のイベント」2019年の、作文練習


 ルミナリエへ強いこだわりを持つ理由は、年に一度、十日間だけ行われるイベントだからである。この「年に一度」というのが私の中で、異常な執着心に火をつけるのだと分析する。
 ひも解いてみると「これを楽しまないと一年後悔する」、「そもそも来年元気に行けるのだろうか」等いわゆる予期不安が発生している。もちろん「神戸が好き」だとか、「イルミネーションが好き」という前向きな理由が主なものだが、その背後に私の闇が感じられるのである。
 幼いころから誕生日にも、強い意識をもっていた。「プレゼントをもらってうれしい」、「みんなが祝ってくれてうれしい」という肯定的な思いとともに、「今日は完ぺきに過ごさねば」、今日は一年で最も幸福を受け取るの
だ」という考えで圧迫されていたと記憶する。
 いまだにクリスマスもそうであり、恋人もいないのにこの日への準備に余念がない。まず八月末から、移動中クリスマスソングを二十曲聞く。十二月は家中をクリスマス仕様にし、母方の祖母が作ってくれたツリーのカレンダーでカウントダウン。当日、ケーキはもちろんのこと、ルミナリエとは別のイルミネーションに行き、こころを満たす。個人的には幸せの極みなのだが、他人から見れば病的かもしれない。
 そして長年私の一番の趣味が、テレビの「紅白歌合戦」である。昔は歌や曲が好きという純粋な気持ちで見ていたが、今はヒット曲や魅力的な歌手が激減。それでも一年のすべてを、紅白に注いでいる。何か世間で事が起きれば、「どう紅白で扱われるか」と推測する。日々の基準が、紅白なのである。「終わり良ければすべて良し」と言うように、大晦日の四時間半を最高の状態で終えることに生きがいを感じる。ここまで年に一度のイベントに命を燃やすのは、毎日の暮らしにあまり満足していないのか、面白みに欠けているのか。自分でもなかなか解明できていない。

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