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地域包括支援センターのソーシャルワーク#2~高齢者の異変への気づき~

ご近所で「あれ?この高齢者の方、大丈夫かな?心配だな・・・」と思ったことは誰でも一度くらいありませんか。高齢者の見守りで大切なことは「異変に早く気づくこと」と「専門機関に繋げること」です。
 
困っている(困っていそうな)高齢者はSOSを発信できない(発信したくない、発信すべき状況だと理解できていない、発信先を知らない、解決や軽減できる方法を知らない)可能性もあるため、異変に気づいた時に地域の方から地域包括支援センターに繋げてもらいたいと思っています。

異変への気づきのポイント

【外観の気づき】
・何日も同じ洗濯物や布団が干しっぱなしになっている。
・玄関ポスト(新聞受け)に新聞や郵便物がたまっている。
・異臭がする。
・庭が荒れていて放置されている。
・家の中から怒鳴り声や悲鳴、何か倒れたり壊れるような大きな音がする。
・最近知らない人が出入りしている。
【対面での気づき】
・顔色が悪く、具合が悪そうにみえる。
・ふらふらと転びそうに歩いている、移動の負担が大きそうにみえる。
・急に痩せてきた、あるいは急に体重が増加したようにみえる。
・今まで挨拶していたのに急にしなくなった。
・話がかみ合わなくなった、同じ話を繰り返すようになった。
・暴言を吐く、怒りっぽくなった。
・お喋りだったのに無口になったなど性格が変わった。
・髪や服装が乱れている、季節に合わない服を着ている。
・お店などで勘定ができない、同じものを大量に購入している。
・身体にあざがある、その理由を話したがらない。
・認知症や寝たきり等の家族を抱え、介護者が疲れている様子がある。
・長い間顔を見かけていない。
・地域の集まりや行事に急に来なくなった。
 
ご近所の方や友人・知人などその方と継続的な関わりがある方は、その方の「状態の変化」「推測される生活状況の変化」にいち早く気づくことができます。もちろん新聞や宅配業者、商店等が異変に気付く例も多く、様々な方が日ごろから地域での見守りを行っています。

異変への気づきから包括につなげる

地域包括支援センター(包括)は、異変に気づいた地域の皆さんからに連絡(私の働く自治体では便宜上みまもりの‘通報’と表現しています)をいただき、対象の方に対してすで包括の関わりがあるかをまず確認し、地域関係者や関係機関の情報を集めます。
・すでに介護認定を受け介護サービスを利用している(担当ケアマネジャーがいる)方なのか
・他の高齢者向けのサービスを利用されている方なのか
・住民主体の活動やサークル等に行っている方なのか
・すでに複数の通報がある(複数の人・機関から心配されている)方なのかetc.
担当地域の高齢者のことは包括が情報を集約して(フォーマル・インフォーマル含め)おり、包括に情報がないor少なくても、「包括が連携している役所や社会福祉協議会や医療機関等に何か情報があるかもしれない」あるいは「民生児童委員や自治会、地域ボランティア、近所の人で他の情報を知っている人がいるかもしれない」と情報収集の手を広げることができます。そして情報を確認しても積極的な関わりが必要な場合、あるいは情報が掴めていない場合、自宅(あるいは通報者が対応している現場)に訪問し実態を把握し、必要な制度、サービス、関係機関に繋げていきます。通報をくれた方には感謝を伝え、個人情報に留意して結果をフィードバックします。

なかには包括の関わりや医療・介護に繋がることを拒否される方、訪問してもなかなかお会いできない方もいるため、継続的に見守り続け、介入の時期・ポイントを探っていくケースもあります。いわゆる困難ケースへの「アウトリーチ」の重要性については別の機会で述べたいと思います。

包括はただ単に相談に来られた方のみを対応しているわけではありません。地域での見守りネットワークを広げ充実させていくことで、困っている高齢者の早期発見・早期介入ができ、問題の重篤化や高齢者の孤立化を防ぐ一因になり得ると信じて(実績を残して)、今日も精進しております。

*包括の業務はまさに高齢者宅そして担当地域という「現場」での仕事です。瞬発力やフットワークの軽さが大切です。
「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてんだ!」
あのセリフが的を得ています。ちょっと刑事にも似ていますね、この仕事。

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