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コネなしポスドク就活記③ コンタクトするぞ編

僕は国内で博士号を取得し、現在は北欧でポスドクをしています。
コネなしで海外ポスドクの就活をした経験を記録に残しておこうと思います。

あくまで僕の体験であり、n=1での話であるということを記憶にとどめながら見ていただけると幸いです。また、僕の経験はヨーロッパ、とくに北欧に限ります。さらに言うと、生命科学系のウェット系の経験談です。他の地域、分野のことは詳しくないのであしからず。


コンタクトするラボの絞り込み

コネなしポスドク就活記②では、自分がラボ探しで注意した点を書きました。興味のあるラボがリストアップされてきた段階で、どこにコンタクトするかを決めました。ラボの絞り込みをしたら、20-30くらいの候補が5か所くらいになりました。

全部に出してたらきりがないです。
僕の場合は、それぞれに志望動機の文章を考える時間もなかったです。

絞り込みの際に自分が重要視したのは

・発生生物学に強い or 太いパイプがある
・PIの出身ラボが強い
・PI自身はまだ大御所でもリタイア間近でもない
・PIが (大型) グラントを継続して取っている
・メンバー間に業績の偏りがない

・ポスドクを公募している (専門分野が100%一致でなくてもよい)
・ラボHPの集合写真が楽しそうな雰囲気
・ポスドクが最大でも5-7人の規模
・ラボマネージャーがいる (できれば複数)
・アジア人が少ない (日本人がいない) などです。

今までの経験をもとに、自分だったらどんなところで働きたいかを想像するほかないので各自にこだわりポイントはあると思います。もちろん、まずはどんなサイエンスを展開しているかが一番重要だと思います。

一方、ポスドクはあくまで博士取得後のトレーニング期間であるということを念頭に、自分をサポートしてくれる体制が人的、金銭的にあるかということは結構こだわってもいいと思います。ピペット握るだけが研究生活ではないですし、何事も自分一人だけの力では限界がありますから。

書類をそろえる

コンタクトの方法は2通りでした。
・PIへ直接メール (大半はこれ)
・公募のHPに用意されたウェブサイトへの書類アップロード

必要な書類はどこも似たり寄ったりでした。
・CV (履歴書)
・Motivation letter (cover letterと同義)
・References (推薦書)
・List of publications

特に注力したのはCVとMotivation letterの作製です。

Academinc CV

CV (Curriculum vitae) とネットで調べてみて下さい。
作成方法やテンプレートが大量に見つかります。

CVはacademic CVと呼ばれるものです。
これは、自分の研究歴を技能や業績などと共に示すものです。

日本と異なり、欧米圏の履歴書は自由度がとても高いです。
これという固定された様式はありません。自分が良いと思ったように作ればよいです。

たまに顔写真を載せることがありますが、人種で選んだとか思われるとややこしくなるので顔写真は無しで作りました。

一応、自分が作ったものを項目建てで並べてみます。

  • Personal information

  • Education

  • Research capabilities (実験スキルの事です)

  • Scholarships & Fundings

  • Awards & Honors

  • Conferences

  • Publications

  • Members of academic societies

書類作成全体を通して、研究分野を少し変えたこともあり、大学院でやってきたこと、ポスドクでやりたいこと、将来的に成し遂げたいことの繋がりが明らかになるような工夫をしました。
Motivation letterでは、具体的な業績や興味を書くのですが、それらを支持するようなスキルがあることが分かるようにしました。例えば、Research capabilitiesではなるべく詳細にResearch capabilitiesは書きました。箇条書きですが。

Motivation letter

ここは一番力を入れました。自分のやってきたこと、ポスドクでやりたいこと、最終的なゴールが一本線で繋がるよう記述しつつも、小さくまとまらない (広がりを感じる) ことを意識しました。割と時間を費やして試行錯誤しながら作りました。

ここで書いた内容は、メール本文とほぼかぶっています。
PIが最初に見るところなので、しっかりアピールしました。

Motivation letterやcover letterとネットで調べれば、こちらもかなりの例が見つかるでしょう。それらを参考にしつつ、
自分のオリジナルはどこなのか、
博士課程での学問分野や業績がポスドクで期待される仕事とどのように結びつくのか、
更にその先に自分は何を目指していて、ポスドクでの仕事がどのように発展していきそうなのか
自分のバックグラウンドはそのラボでどのように活かされるのか。
ここら辺の学術的繋がり、自分のオリジナリティー、持っている専門性の有意性 (雇う価値、ラボの研究への貢献可能性)、などなどをアピールしました。まとまっている内容であれば、多少の長文でも見てくれると思います。

自分の書いたものを一部隠しながら紹介します。
以下、メール本文に書いたものの例です。

My name is ○○ and I am a Ph.D. candidate in XX lab at YY大学 expecting in 修了予定時期 under supervision of Dr. △△.

I am writing this letter to ask you if there is a post-doc position available for which I could start from (雇ってほしい時期). I have read a series of your amazing studies in the field of XXXXX, and I am very fascinated in working on YYYYY. My latest work, published in (雑誌名) this year, identified ZZZZZZZZZZZZZ. I believe my strong background in AAA and BBB make me an ideal candidate to study CCC (YYYYYに関連) in your lab.

My current interest goes to DDD, especially EEEEEE. In my graduate work, I identified that GGGGG. I further found HHHHH (a paper under submission). I have spent a lot of time thinking about JJJJJ in my PhD project and found the reality that current techniques and the knowledge of KKK (CCCに関連) research are limited. I envision that LLL (博士で明かにしたことの延長線上で、技術的に実現できなかったこと). I would like to ultimately achieve MMMMM (壮大で良い).

I trust that my previous experiences and background knowledge in NNN will contribute productively to the ongoing research projects in your laboratory. I am highly motivated to delve into the fundamental understanding of OOOOO toward my future goals which are to decipher mechanisms of PPPPP.

I believe my resourceful and collaborative nature, interdisciplinary technical skills, and curiosity in CCC research make me well-suited to work in your lab. I have attached my cover letter, curriculum vitae and published paper for your review. I would greatly appreciate the opportunity to talk with you more about my fit in your lab both online and on-site interview. Thank you for your time and consideration.

こんな感じです。

メール本文とMotivation letterの内容はほぼ同じにしましたが、まとまり的に悪いものや、省かないと長くなりすぎる部分はどちらかに含めました。

例えば、上に示したメール本文に書かずに、motivation letterに書いたものはこんな感じです。

My research goals are to delve into the communication between ○○ and △△ and establish novel therapeutic strategies for □□. As a postdoc, I look forward to acquiring skills in AAA research with installing my skills in BBB in your lab. I am highly motivated to advance the fundamental understanding of CCC toward my future goals. Recent collaborative works with the experts of DDD and EEE study published in XXX and YYY in this year prepared me to throw myself into new research fields. I believe my resourceful and collaborative nature, interdisciplinary technical skills, and curiosity in GGG research make me well-suited to work in your lab. I would greatly appreciate the opportunity to talk with you more about my fit in your lab. Thank you for your time and consideration.

ここでは、分野を変えることに意欲的であることや、その準備ができている証拠を示しました。
ひとつ大事なのは、自分のスキルを示しながらできること、やりたいことを記述することかなと思います。

こんな感じで一通り納得するものをしっかり作りこんでみて下さい。
周りでポスドク留学経験のある方がいれば、見てもらうのも手かなと思います。

最後に - 果報は寝て待て

書類を作ったら、いざメール or 所定の場所にアップロードです。
上にも書いた通り、以下を揃えました。
Referencesは面接が進んでから求められる場合が多かったように思います。

・CV (履歴書)
・Motivation letter (cover letterと同義)
・References (推薦書)
・List of publications

どこでもポスドク不足とは言いますが、人気のラボにはたくさんの応募者が来るものです (倍率数十倍はよく聞く話です)。
自分の今のラボでも定期的にポスドク公募をかけていますが、PIは見ていなかったり、見過ごしていたりします。

1週間たっても返事がない場合は、リマインドを兼ねて同じ内容のメールをしてみましょう。この時、ラボマネージャーやコラボレーターがいるのであれば、Ccするのもありかもしれません。

基本、お祈りメール文化は無いので、返信くればいいなくらいの気持ちでいるのが精神衛生上良いと思います。

以上、コネなしポスドク就活の応募してみる編でした。
では!Moi moi!


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