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シリーズ かくれ念仏

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#最近の学び

【連載】かくれ念仏/No.17~知覧の佐多兵右衛門 — 念仏の聞こえる杉林 —~

【連載】かくれ念仏/No.17~知覧の佐多兵右衛門 — 念仏の聞こえる杉林 —~

●知覧の佐多兵右衛門 — 念仏の聞こえる杉林 —

知覧に佐多兵右衛門という念仏者がいた。
真宗信仰の嫌疑で捕らえられ、役人が「絵像はどこにある」と迫るも、本尊の隠し場所を白状せず、53日に亘って棒で打擲され全身不随になった。

その後、兵右衛門を救うため、親族が偽絵を差し出して許された。(偽絵は頴娃の浦芝原出身で、日向の福島に逃散していた荒嶽史郎兵衛が描いた)

時は流れて15年後、上方から布教

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【連載】かくれ念仏/No.13~鹿児島の真宗民語その5~

【連載】かくれ念仏/No.13~鹿児島の真宗民語その5~

曖昧僧

禁教中の南九州には有志の僧がひそか布教に来ており、西本願寺も使僧を派遣していたが、真宗解禁後はこれらの潜伏僧を「曖昧僧」と呼んで非難した。

というのも、これから政府とともにやっていこうという矢先、過去に公儀に反して禁足地に僧侶を送っていたとなると、本願寺は信用されなくなってしまう。そこで、「薩摩に布教に出た僧侶は、本願寺としては与り知らないもので、私的に本願寺の教えや納金をしていたよう

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【連載】かくれ念仏/No.7~甑島の一字一石経~

【連載】かくれ念仏/No.7~甑島の一字一石経~

甑島の一字一石経

愛川欽也がナレーションを務める、鹿児島県庁フィルム『太陽の旅(9)伝説の島〝甑島〟』によると、鹿児島県薩摩川内市甑島では、海岸沿いに真宗の聖教の一文字一文字が写経された小石が落ちているという。

映像を見てみると、どうやら正信偈を書いているようで、この石を勤行や説教に用い、法座が終わると、石を裏返して隠したという。

これは、史学的に分類すれば、「一字一石経」というものになる。

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