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富士山お中道を歩いて自然観察

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富士山の中腹を巡るお中道は火山荒原や森林を横切りながら歩ける遊歩道です。富士スバルラインの奥庭〜5合目駐車場までのお中道の自然を生態学的な視点で解説します。 週1、2回の更新で、…
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2023年5月の記事一覧

【富士山お中道を歩いて自然観察】18 森のとろろ昆布 

植生遷移が進むと、コケ・地衣ともに、より乾燥に弱く暗い場所を好む種類に替わる。終点の5合…

【富士山お中道を歩いて自然観察】17 常緑広葉樹の越冬 

お中道に生育する広葉樹で、冬でも葉をつけたままなのはハクサンシャクナゲとコケモモだけであ…

【富士山お中道を歩いて自然観察】16 ぐにゃりと曲がったダケカンバ

ダケカンバが遊歩道にせり出すように曲がって生えている。なぜだろう? お中道の東より(5合目…

【富士山お中道を歩いて自然観察】15 紅葉と黄葉。 しかし例外も・・・

紅葉と黄葉落葉樹は秋になると、クロロフィルの分解が始まり、葉柄のつけねに離層が形成され始…

【富士山お中道を歩いて自然観察】14 光環境と形態変化

ハクサンシャクナゲの場合お中道を歩いていると、多様な生育場所でハクサンシャクナゲを見るこ…

【富士山お中道を歩いて自然観察】13 表層雪崩

表層雪崩は、冬、雪の表面だけに被害をもたらす。水分の少ない軽い雪が多量に降り積もると、積…

【富士山お中道を歩いて自然観察】12 ミヤマハンノキの窒素利用

遷移初期は、土壌がなく、栄養が乏しい。特に窒素は、雨水にわずかに含まれるだけで、これを根から吸収する一般の植物の成長は大変遅い。 しかしミヤマハンノキは、根に共生する放線菌(窒素固定細菌の一群)が、大気中に80%も含まれる窒素を吸収して作ったアンモニアをもらうことで窒素を得ることができる。その代わりに放線菌は、ミヤマハンノキから光合成産物の炭水化物(糖類)をもらって生活のエネルギー源としている。この両者のような関係を相利共生という。 虫食いだらけのミヤマハンノキ6月の開葉

【富士山お中道を歩いて自然観察】番外編 萌芽能力を持つミヤマハンノキ

広葉樹の多くは、幹が伐採されると根元から何本もの若い幹が伸びて再生する能力をもっており、…