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【富士山お中道を歩いて自然観察】14 光環境と形態変化
(この記事は、観察マップ地点14 についての解説です)
動物と異なり、植物は芽生えた場所が好ましくない環境であっても逃げることができないため、その場の環境に合わせて形や機能を変化させる能力が発達しています。光環境に応じてどのような変化が起きるのか見てみましょう。
ハクサンシャクナゲの場合
お中道を歩いていると、多様な生育場所でハクサンシャクナゲを見ることができる。
ハクサンシャクナゲが一番好むのは、暗い林の高木が倒れて地面まで光が差し込む場所(ギャップ)や、カラマツ林の程よく明るい林床、それに林縁などの半日陰である。
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最も生育に適している。繁茂し7月になるとたくさんの花が咲く
ハクサンシャクナゲ
亜高山帯の林内に多い常緑低木。富士山では林縁や明るい林の下で多くみられる。しなやかな枝は高さ1~3mほどになる。葉は枝の先に集まってつき、翌年はその先端から伸びた枝の先に、翌々年はさらにその先にと、段状に葉の集まりができる。しかし葉の寿命は1年半~2年半のため、段は1~3段程度。
ギャップ
森林の樹木が寿命や台風の強風などで倒れて枯れると、その樹木が占めていた空間があいて、太陽光が射し込んで明るくなった場所をいう。
それ以外の場所(開けた明るい場所、暗い森林内など)では、暗から明への光条件にあわせて、葉の色や形を変化させ、その場所で生育する工夫をしている。
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葉を丸めて下向きに垂らし、強過ぎる日差しを避けようとする
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葉を大きく広げて水平にし、できるだけ多くの光を得ようとする
シラビソ稚樹の場合
林床で育つ稚樹の成長はおかれた光環境に左右され、その枝葉ぶりは異なる。もっともスクスク育つのはカラマツ林のようなやや明るい環境である。開けた場所のシラビソは葉全体が黄色っぽく寸詰まり体型になる。シラビソ林のような暗い場所では、地点3で紹介した傘型樹形になる。
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直射日光が長時間あたる。葉の色は黄緑がかっていて痛んだ葉も見られる。
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程よく明るい。葉はお互いが適度に重なる程度。
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葉の間隔はスカスカ。色は濃い。
シラビソの傘型樹形についてはこちら
次回(地点15)は、紅葉についてのお話です。紅葉しないにも関わらず、またまたミヤマハンノキが登場します。
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