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私が初めて『せんせい』と呼ばれた日のこと。

(記事内の画像引用元:写真AC

私が幼稚園教諭になって初めて子どもたちに「せんせい」と呼ばれたのは、4年前。

任されたのは、3歳年少児の担任。
幼稚園1年目の子どもたち、私も先生1年目。
担任の欄に私の名前と、そこに15人の子どもたちの名前。
私、この子たちの先生になるんだ
と、気持ちを引き締めて入園式を迎えた日のことを覚えています。

『毎日がサファリパーク』

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初日こそ緊張気味だった子たちも、翌日から大泣きパラダイス。
帰りたい」「ママがいい」とひっくり返って全身で拒否
一人泣けば伝染してまた誰かが泣く。
泣いてる傍で誰かがおしっこの水たまりを作り、保育室の隅ではおもちゃの取り合い。そんな姿ばかりに目を向けていると、誰かは保育室から脱走。
気付けば毎回誰か居ない。

完全に保育室が動物園と化す。

20代始まったばかりの女子が15人の母親になったら、そうも見えてしまうよね。

大好きなママとパパから引き離す先生と幼稚園なんて大嫌い!と、初日から1か月ぶっ続けで泣いている子もいました。
最初はそれが当たり前の日々で、家に帰った瞬間力尽きて、玄関で寝ちゃった日もあったな。
力の抜き方を知らなかった私は、毎日全力だった。

『子どもに悩み、子どもに救われる』

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そんな毎日子どものことで悩んでいた私を、
救ってくれたのは子どもたち。
泣いている子に対応している私の姿を見て、他の子どもたちが真似をし始めた。
手を繋いだり、頭を撫でたり、ティッシュを持ってきてくれたり。
いつの間にか、子どもの泣き声が笑い声に変わっていた。

一度涙が止まったら、
先生の笑ってる顔がよく見えた。
絵本やおもちゃもいっぱいあった。
泣くのをやめたら、
楽しい歌やお友達の声がよく聞こえた。
沢山泣いた分、
お腹が空いてご飯をもりもり食べられた。
あれ...ようちえんってたのしいのかも...?
って気付いた。

その姿が、凄く嬉しかった。
私の今の役目は、その『きっかけ作り』だって子どもたちから学んだ。
泣き声と同じように、そのきっかけはどんどん子どもたちに伝染していく。
そして泣いた分だけ、今度は強くなる。

大丈夫。きっと伝わる。
そう信じながら、ひたすらに向き合い続けて。

毎日毎日泣いていたあの子たちが、門から一人で保育室まで歩いて来れた初めての日は、私が泣いてしまったなぁ。

あの頃の私、全国のお父さんお母さん。
大丈夫です。子どもは自分の力で必ず乗り越えられます。
だから、始めはいっぱいいっぱい泣かせてあげほしいなと思います。って伝えたい。


『毎日が記念日』

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毎日がサファリパーク』だと思っていた日々が、
『毎日が記念日』に変わった。

涙が笑顔に変わった日。
一人で保育室まで来られた日。
楽しそうに自分の話をしてくれた日。
私のために花を摘んで持ってきてくれた日。
お弁当を全部食べられた日。
ずっと握っていた私の手を放して、園庭に駆け出していった日。
友だちと喧嘩した日。
友だちと仲直りをした日。
汗びっしょり遊んだ日。

そんな記念日を毎日積み重ねて。

初めて「せんせい」と呼んでくれた子どもたちは、もう小学2年生。
大きくなったけど、あの頃の面影はそのまま。

ずっと忘れないんだろうなぁ。

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